月刊バスケットボール10月号

桜花学園・阿部心愛と聖和学園・阿部友愛の“最初で最後”の直接対決


『Softbank ウインターカップ2024』の開幕まであと5日。開幕直前ということで、大会特集号の「月刊バスケットボール2025年2月号」に収まりきらなかった注目選手やトピックスを紹介していく。

本日紹介するのは女子1回戦で激突する、桜花学園と聖和学園で主軸を担う、阿部心愛(桜花学園)と阿部友愛(聖和学園)の双子の姉妹だ。

初めての直接対決が1回戦から実現

どんな場面においても、兄弟姉妹というのは特別な関係にある。スポーツの世界でも度々兄弟姉妹で活躍する選手がクローズアップされるが、阿部心愛と友愛の双子の姉妹もそれぞれがトップレベルの実力を備えたエリート選手だ。

宮城県出身で、仙台第一中とクラブチームのEarnestで共にプレーし、2022年にはJr.ウインターカップにも出場した。2人ともに当時から175cm近い長身で、姉の心愛は自らシュートを作り出すショットクリエイタータイプ。妹の友愛はリバウンドなどのブルーワークで活躍する縁の下の力持ちタイプの選手だった。

高校でも同じチームでプレーしたい──そう考えていた2人だったが、心愛が選んだのは愛知県の超名門・桜花学園、友愛は地元に残り、こちらも強豪の聖和学園への進学を決意した。

「高校でも同じチームでプレーしたい気持ちはありましたが、私は桜花学園という日本一のチームに挑戦したいという気持ちがあり、友愛は地元の聖和学園を強くしたいという気持ちがありました」(心愛)と、最後はお互いの意志を尊重した形だ。


桜花学園の阿部心愛



別々のチームになったからには、全国大会で対戦したいと2人は思うようになった。

高校進学後、心愛は桜花学園でリバウンドやディフェンスなどにより力を入れる選手に、逆に友愛は小野裕コーチから自由なプレーを許されたことで、ショットクリエイトもできるオールラウンダーになった。中学時代とは真逆のスキルを伸ばしてきた2人は今や、世代屈指の選手となっている。それでも、公式戦での対戦は昨年のU18日清食品トップリーグでの1試合のみで、インターハイとウインターカップでの対戦は実現していない。

過去には、その道が交わりそうになったことも何度かあった。特に昨年と今年のインターハイはどちらかが勝っていれば次のラウンドで対戦できるという勝ち上がりだった。

前者は準々決勝。聖和学園は大阪薫英女学院との大接戦に69-71で敗れたのだが、もしその試合に勝っていれば、準決勝の相手は桜花学園だった。逆に今年のインターハイでは、3回戦で桜花学園が京都精華学園とのクロスゲーム(64-65)に敗れて、準々決勝で待つ聖和学園との対戦はかなわなかった。

準々決勝の前夜には心愛から友愛へのメッセージがあったという。「絶対に勝つという気持ちで、心愛からも『絶対勝って』と電話が来ました。それで、後のことは考えずに目の前の試合だけに集中して、勝とうと思っていました」


聖和学園の阿部友愛

このように、まさにあと一歩のところで交わらなかった2人のキャリアが、高校最後の全国大会の、しかも1回戦で実現することになったのは運命としか言いようがない。

両チームの話をすると、桜花学園はキャプテンを務める心愛を筆頭に、世代屈指のセンター白石弥桜、スピーディーな司令塔の三國ソフィアエブス、2年生スコアラーの金澤杏といったエリート選手がそろうチーム。対する聖和学園も友愛をエースに据え、経験豊富なインサイドプレーヤー内田理香、U18日本代表のPG竹本歩生、得点嗅覚に優れた2年生ガードの齋藤凌花といった優秀な選手を多く抱えている。

ディフェンシブな桜花学園とオフェンシブな聖和学園と、両者のスタイルも対象的。ロースコアゲームなら桜花学園、点の取り合いなら聖和学園のペースといえる試合になるだろう。

本来であればもっと上位ラウンドで見たい…両チームを知る高校バスケファンならそう感じる、1回戦で当たるにはもったいない好カードだ。そして、敗れたチームはウインターカップを去らなければならない。心愛と友愛。交わらなかった2人の道が初めて交わる1回戦は必見だ。


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文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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