月刊バスケットボール1月号

Wリーグ覇者・富士通、前回大会優勝のデンソーがベスト4進出[皇后杯ファイナルラウンド]

富士通がトヨタ紡織を退ける


第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンドが、12月11日 に国立代々木競技場第二体育館においてスタートした。

皇后杯は都道府県予選を勝ち抜いた代表47チームとWリーグ14チームの61チームが参加し、日本一を競う。1次予選、2次予選を経て、ファイナルラウンドへとコマを進めた8チームは、昨シーズン皇后杯優勝のデンソー アイリス、Wリーグチャンピオンの富士通 レッドウェーブを筆頭に、ENEOSサンフラワーズ、シャンソン化粧品 シャンソンVマジック、トヨタ自動車 アンテロープス、トヨタ紡織 サンシャインラビッツ、アイシン ウィングス、東京羽田ヴィッキーズのWリーグ勢が占めた。中でも東京羽田は今シーズンより2リーグ制を敷くWリーグにあって、下位リーグのWフューチャーから唯一のベスト8進出を果たした。

【写真】皇后杯ファイナルラウンド12/11の写真(14点)をチェック

ファイナルラウンド準々決勝第1試合は富士通-トヨタ紡織の対戦。富士通は今シーズンも好調でWリーグ前半戦を終えて(12月8日現在)、15勝1敗と首位を走る。一方のトヨタ紡織は6勝10敗の5位。富士通が#7林咲希、トヨタ紡織が#8東藤なな子とパリ・オリンピック日本代表に名を連ねた主力を欠いての戦いとなったが、#10町田瑠唯、#52宮澤夕貴の代表組を擁する富士通が、選手層の厚さでいえば分がある。

序盤、リーグでの勢いのままに富士通が8-0とリードを奪うが、トヨタ紡織も修正し、何とか食らい付いていく。富士通は先行するものの、3Pシュートが1/15と確率が上がらず突き放すことができない。一方のトヨタ紡織は#6ディマロ・ジェシカがインサイドで奮闘し、前半を29-30と1点のビハインドで終えた。


トヨタ紡織#6ディマロ・ジェシカ

後半に入ると、3Pシュートを立て続けに決めたトヨタ紡織が逆転。しかし、富士通もすぐさま巻き返すと、一進一退の攻防を繰り広げる。それでも#25内尾聡菜、#52宮澤夕貴、#27江良聡菜の3Pシュートに当たりが出てきた富士通が51-46と一歩リード。さらに4Qに入ると、#10町田のドライブから流れに乗った富士通が、持ち前のディフェンスからのファストブレークで一気に点差を2ケタ差に開く。ここで付けた差を守り切った69-56と富士通が勝利を収めた。


富士通#52宮澤夕貴

「前半は相手のピックディフェンスになかなか対応できていなかったのですが、29得点に抑えたディフェンスが良かった。ディフェンスの質が試合を通して下がらなかったです」と富士通のBTテーブスHCは、シュートがなかなか入らない中でも、崩れなかったディフェンスを評価。それはキャプテンの#52宮澤も同じ思いだ。「このチームはディフェンスで我慢でき、結果最後に勝てるという自信があります。オフェンスがうまくいっていなくても、ディフェンスで我慢し続けようというのは、試合前からみんなで話していました。シュートは打てていたので、あとは決め切るだけでしたから、後半もしっかりと打ち続けよう」と動ずることはなかったと話す。昨シーズン、Wリーグチャンピオンとなった富士通は「今年はまず皇后杯で優勝をというのが、チームとして強いです。シーズン中もあまり負けていませんが、勝ちゲームでも内容をしっかりと振り返りながら臨んできました」と宮澤。目の前の一試合、一試合に集中して、2008年以来の皇后杯獲得を目指す。


前年女王デンソーが準決勝進出


第2試合ではデンソーと東京羽田が対戦。2次ラウンドでは上位リーグWプレミアの日立ハイテク クーガーズを破った東京羽田だったが、前大会女王デンソーの壁は高く、大きかった。東京羽田にはパリ・オリンピックの#12本橋奈子が所属するが、デンソーには#0馬瓜エブリン、#8髙田真希、#88赤穂ひまわりが顔をそろえるなど、デンソーの選手層はリーグ屈指。一方で東京羽田は、最長身の#77栗林未和(188cm)、エースの#31高原春季をコンディション不良(共に脳震とうの影響)で欠いての戦いとなり、不運な要素も重なった。



1Qから34-11と大きなリードを奪ったのはやはりデンソー。東京羽田も2Qには互角な戦いを見せるなど奮闘したが、差を詰めるには及ばず。万全のゲームを展開したデンソーが89-51と皇后杯連覇に向けて好発進した。
東京羽田の萩原美樹子HCは「ファイナルラウンド進出はチーム初のこと。選手たちがつかんだ舞台です。来シーズンはWプレミアに上がることを目標に戦っているので、デンソーさんの強度、シュートの精度を改めて体感できたことは、大きかったと思います。この経験をしっかりとリーグの後半戦に生かさなければならないと選手たちとも話しました」と敗戦の意義を振り返った。


デンソー#88赤穂ひまわり

準々決勝残り2試合、アイシン対シャンソン化粧品、ENEOS対トヨタ自動車の対戦は12月12日に行われる。



第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会 ファイナルラウンド
大会方式:トーナメント戦によるノックアウト方式
競技規則:大会各ラウンドとも開催時における最新のバスケットボール競技規則で実施する。但し、2次ラウンド以降は「2025 バスケットボール競技規則 主な変更点」を適用する。※現状においては「2024バスケットボール競技規則 (Official Basketball Rules 2022)」 を最新とし、プレーヤーが競技中に身につけるものは、原則として日本バスケットボール協会の「競技規則 第4条4-4その他の身につけるもの」に準ずる。但し、コンプレッションウエアの着用については、1次ラウンドから認める。
使用球:モルテンB6G5000
出場チーム:女子総数:61チーム
大会日程:2024年12月11日(水)~15日(日) ※12月13日(金)はレストデーのため試合予定なし
会場:国立代々木競技場 第二体育館 (東京都渋谷区)
大会オフィシャルサイト:https://zennihon2024-25.japanbasketball.jp/



写真:石塚康隆(月刊バスケットボール)、文:飯田康二(月刊バスケットボール)

タグ: 皇后杯 デンソー アイリス富士通レッドウェーブ

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