月刊バスケットボール1月号

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2024.12.11

白鷗大、4度の延長の末に連覇達成!歴史に刻まれた3時間の激闘[インカレ2024]

インカレ2024バスケットライブ

約3時間、4度のオーバータイム
歴史に残る激闘となったインカレ女子決勝


インカレ史に残る決勝だった。
12月8日、国立代々木競技場第2体育館で行われたインカレ2024(第76回全日本大学選手権大会)女子決勝は、前年女王で今年度は春のトーナメント、秋のリーグ戦を制覇している白鷗大(関東1位)、それらの大会でも準優勝と涙をのんできた東京医療保健大(関東2位)の対戦となった。試合は約3時間、4度の延長と両チームがすべてを出し切った結果、白鷗大が111-103で勝利して2年連続3度目の優勝を果たした。

試合は東京医療保健大のペースでスタートした。「白鷗大に勝つことだけを考えて準備してきていた。逆算して1ヶ月という限られた時間の中でできることは何だろうと考えてやってきた」と恩塚亨監督。白鷗大の連動性を断って3Pシュートを打たせず。#13オコンクウォ スーザン アマカに対しては2人で守ることで対応。リバウンドで優位に立ってオフェンスに転じるとリーグ戦途中からゲームメイク役もこなし始めた#5絈野夏海がシュートだけでなくパスから得点を演出。さらにリーグ戦での対戦ではわずか3得点に終わっていた#11五十嵐羽琉が3Pシュートやスピードを生かしたドライブで翻弄し、ハーフタイムで36-24とリードを握った。


#5絈野夏海がシュートだけでなくパスから得点を演出


#11五十嵐羽琉が3Pシュートやスピードを生かしたドライブで翻弄



白鷗大・佐藤智信監督は「東京医療さんがうちのフローオフェンスを切ってきて、前半はなかなかリズムに乗れなかった。スイッチでアジャストされて、キャッチ&スリーを打つチャンスがなくなり、ドライブしてもローテーションで守られてズレができなかった」と振り返る。白鷗大が前半で決めた3Pシュートは、#11佐々木凛の1本だけだった。

3Qに入ると、白鷗大は#13アマカにボールを入れてインサイドを起点とするオフェンスに切り替えていく。徐々に白鷗大らしいリズムが出てきたが、17点ビハインドでこのクォーターを終えることになった。しかし、ここからドラマチックな展開が始まる。4Q開始直後、白鷗大は#13アマカがゴール下で決めると、キャプテン#20舘山萌菜のスティールから#75佐藤多伽子の速攻、#23高田栞里がチーム2本目の3Pシュートを沈めるなどで6連続得点。開始4分余りで13-0のランを作って4点差まで迫った。


#23高田栞里が決めたチーム2本目の3Pシュート

「(白鷗大に)そういう力があるのはわかっていました。怖さはあったんですけど、その中で自分たちが今できることをしっかりやろうということでやりました」と語ったのは、東京医療保健大の司令塔#20島村きらら。#91大脇晴がリバウンドから決めて連続失点を止めると、その#91大脇、#3イベ エスター チカンソの得点で再び9点差まで広げた。

その後、白鷗大は#75佐藤、#23高田の3Pシュートで71-73とした。東京医療保健大は残り8秒、#11五十嵐がフリースローのチャンスを得たが2本とも決まらず。そのリバウンドを奪ったのは#13アマカだった。すぐに#5池田凛にパスしたが、そのボールをファンブル。サイドラインを割って相手ボールとなってしまう。
「やってしまったと思いました。でも、その分を取り返すしかないとなりました。(パスを見て)行けると思って跳びつきました」と#5池田。残り3.8秒、東京医療保健大のインバウンドで、#11五十嵐はふわりと浮かせたパスを出す。すると白鷗大#5池田が跳び付いてスティール。そのまま持ち込んでブザービーターとなるレイアップを決めて73-73とし、延長に持ち込んだ。


#5池田凛の値千金のスティール、レイアップで延長に持ち込んだ



3度の延長も決着せず
最後に流れを掴んだのは白鷗大だった


延長は正に一進一退の攻防が続いた。オーバータイム、ダブルオーバータイム、トリプルオーバータイムを終えても決着を見ず。その中で白鷗大は4Q の#20舘山に続いて、#23高田、#13アマカが、東京医療保健大は#3イベ、#91大脇、#20島村がファウルアウトになる。

迎えた4度目のオーバータイム、東京医療保健大は#17門脇瑚羽、#11五十嵐のシュートで103-100とリードを作ったが、これが最後の得点になってしまった。白鷗大は#5池田、#11佐々木の2年生ガードコンビで同点、逆転とすると、左膝の問題によりプレイタイムを制限されていた#13アマカをサポートしてきた#41アダム アフォディヤの3ポイントプレー、試合の中で何度となくピンチを救ってきた#75佐藤のフリースローで締め、111-103。激闘に終止符が打たれた。


4度の延長の末に連覇を果たした白鷗大

「本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。苦しい時間が続いて、白鷗のペースが来るまでがすごく長かったですが、最後は一体感が生まれて白鷗らしいプレーを出して勝利できてすごく良かったなと思います」と喜びを語ったのは、最優秀選手賞に選ばれた#75佐藤。「『もうダメかな』という時間もあったんですけど、コートの仲間もベンチメンバーも『まだいける』とすごく励まし合ってきて、全員のギアがバンと上がりました。言葉や笑顔が本当に力になったのかなと思います」とベンチメンバーも含めて全員で勝ち取ることができたと説明した。

2年連続の栄冠を手にした白鷗大と、全力を尽くして挑み続けた東京医療保健大。最後まで互いに一歩も譲らなかった両校の戦いは、勝者と敗者を超えた名勝負として記憶に残ることだろう。


最優秀選手賞に選ばれた#75佐藤多伽子



《大会結果》
優勝:白鷗大(2年連続3回目)
準優勝:東京医療保健大
3位:拓殖大
4位:山梨学院大

【個人賞】
・最優秀選手賞:佐藤多伽子(白鷗大#75)
・敢闘賞:大脇 晴(東京医療保健大#91) 
・優秀選手賞 舘山萌菜(白鷗大#20)、高田栞里(白鷗大#23)、絈野夏海(東京医療保健大#5)、ンウォコ マーベラス アダクビクター (拓殖大#55)、藤澤夢叶(山梨学院大#5)
・得点王:藤澤夢叶(山梨学院大#5)
・3ポイント王:藤澤夢叶(山梨学院大#5)
・アシスト王:絈野夏海(東京医療保健大#5)、佐藤恋々(拓殖大#17)、日野華希(山梨学院大#55)
・リバウンド王:オコンクウォ スーザンアマカ(白鷗大#20)
・MIP賞:島村きらら(東京医療保健大#20) ・クリーン・ザ・ゲーム賞:山梨学院大
・最優秀監督賞:佐藤智信(白鷗大)


インカレ2024バスケットライブ




写真/山岡邦彦(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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