月刊バスケットボール1月号

大学

2024.12.05

インカレ女子展望優勝「最有力は前回女王・白鷗大」

前回女王・白鷗大が最有力候補と見られる

インカレ2024バスケットライブ

前回王者・白鷗の自信と成長不安を乗り越えた全勝優勝

大学界の頂点を競う全日本大学選手権大会(インカレ)。いよいよ昨日からトーナメントがスタートした。その頂点に立つのはどのチームか? 前回女王・白鷗大が最有力候補と見られるが、一発勝負の舞台では何が起こるかは分からない。前回上位進出を果たしたチームを中心に展望していきたい。
※開幕前の情報で書いたものです

11月29日、インカレがついに幕を開ける。過去10年を振り返ると、2014年に早稲田大、翌年に筑波大が頂点に立ったあとは白鷗大が2度、東京医療保健大が6度、それぞれ頂点に立っている。さらに言うと過去5年は両校による決勝という状況だ。それでは、今年はどのチームが頂点に立つのか。最有力候補は白鷗大だ。昨年優勝に導いた主力が卒業し、出場経験が少ないメンバーで迎えた今年度、佐藤智信監督は「春は様子見と考えていました」と言う。しかし、蓋を開けてみればトーナメントは圧倒して優勝し、リーグ戦も14戦全勝で制覇した。さらにリーグ戦途中に出場した国民スポーツ大会(旧国民体育大会)成年女子の部も単独チームで制覇しており、新人戦を除けば今季負けなし。チームとしての上積みも見事なもので、春はインカレ制覇にも貢献した4年生#13オコンクウォ・スーザン・アマカが中心という戦い方だったが、リーグ戦では周りを固める選手が成長。充実した戦いを披露した。


キャプテンの#20舘山萌菜、佐藤智信監督も全幅の信頼を寄せる

キャプテンの#20舘山萌菜は「最初は全員が不安を抱いていたと思いますが、戦うごとに自信が付いてきました。一人一人の気持ちが変化したことで、プレーにいい影響が出たんだと思います」と変化を説明する。このまま、インカレでも頂点まで登り詰めるのか。佐藤監督、#20舘山共に「インカレまでにディフェンスをより向上させる」と語っており、自信を深めて大会に臨むことになりそうだ。

対抗となるのは東京医療保健大だ。白鷗大同様に主力が卒業して新たなラインナップで臨んだ今年度は、トーナメント、リーグ戦共に準優勝という結果だ。チームの中心は 大脇晴、女子代表候補にもなった#5絈野夏海。リーグ戦で監督を担った伊藤彰浩氏は「望んでいた結果は出ませんでした。それでも思うようなバスケを展開できない中で、最後にやるべきことを徹底してくれたと思います。ポイントガードの⑳島村きららをはじめ、チームとして向上できた大会だったと思います」と手応えを感じている。興味深いのは、リーグ戦の2巡目途中から⑤絈野をハンドラーに据えたことだ。リーグ戦序盤では「スランプに入っていた」(#5絈野)という状況もあったのかもしれない。「1番をやりながら、2番で合わせるといったことをやっていく中で やりやすくなってきました」と早くも フィットしてきたようだ。 「この敗戦を糧にしてインカレでは立 場をひっくり返そうと伝えました」と 言う伊藤監督は、インカレでのリベン ジを目指す。リーグ戦途中から欠場が 続いた#3イベ・エスター・チカンソ、 キャプテン#21野坂葵もインカレには間に合う予定で、間違いなく上積みは期待できる。また10月には、パリ五輪で女子日本代表を指揮した恩塚亨氏がチームの監督に復帰。インカレで指揮を執る可能性もある。


ゲームメイクにもチャレンジしている東京医療保健大#5絈野夏海

ジャイアントキリングを起こす可能性があるチームは?

その東京医療保健大に対して、白鷗大以外で土を付けたのが、昨年のインカレ3位で、リーグ戦3位となった拓殖大だ。得点、リバウンドで計算できるインサイド、#3ンウォコマーベラスアダクビクターが大黒柱となるが、#31堂脇さち、#9清水さくら、#32堀越梨々夏、#13黒川菜津奈と高確率で決める力を持つ選手がそろう3Pシュートが面白い。#31堂脇は「ディフェンスが課題ですが、80点以上取るという目標を数多く達成できたのは良かったと思います。(インカレでは)白鷗、医療を倒して優勝したい。そのためにも苦しいところで私が決め切りたいです」と抱負を語っている。スイッチが入れば、どんなチームでも倒すことができる。そんな試合ができるだけに、一発勝負の舞台では興味深い存在になるはずだ。


#31堂脇さち(写真上)をはじめ、スコアラーが揃う拓殖大

そのほか昨年のインカレで4強入りを果たした日本経済大は、九州で10戦全勝での優勝。前回大会を知る選手も多く今回も注目度は高い。さらに昨年インカレベスト8の筑波大、日体大、早稲田大も注目を集めることになる。リーグ戦は4位となった筑波大は今年度、4アウト、5アウトといったフォーメーションに取り組んでいるが、「その完成度は高まってきています」と池田英治監督は成長を口にする。「カギを握るのは#36粟谷真帆、#0山田葵、#22湊﨑天音の4年生3人。そしてローテーションで入る8番目〜10番目の選手。まだ試していないことをやることも考えています」と新たな策を講じる可能性もあると示した。


#36粟谷真帆(写真上)ら4年生がカギを握ると語った池田英治監督

リーグ戦で前年より勝ち星を重ね、5位(7勝7敗)となった日体大の 矢野里美キャプテンは「1年間を通して意識していたディフェンス、リバウンドというところの精度を上げて臨みたいです」と語る。フロントコートにはリーグ戦でリバウンド王に輝いた#19マカヌアンバ・ロリアン、バックコートには#8宮城楽子と軸となる選手がいることは強みだ。早稲田大はエース江村優有(学生スタッフとしてベンチ入り)が故障のため選手登録外になる不運に見舞われたものの、新人インカレでチームを優勝に導き、MVPとMIPをダブル受賞した#1菊地実蘭や#35衣川璃来という2年生が代わりに得点源となる活躍を見せている。大西真由監督は「ハードディフェンスから速攻を出せるようになってきました。その色を出していきたいです」と語る。

そのほか3年連続で8強入りを果たしている愛知学泉大や大阪人間科学大、東北学院大など各ブロックのリーグで結果を残している大学がどんな戦いを見せるのかも楽しみだ。頂点を目指すチームが、し烈な戦いを繰り広げるインカレ。果たして栄冠を手にするのはどのチームになるのか、集大成となる戦いが今始まる。


日体大は#19マカヌアンバ・ロリアン、バックコート、#8宮城楽子(写真上)が得点源



第76回全日本大学バスケットボール選手権大会
期日/2024年11月29日(金)~12月8日(日)、12月14日(土)・15日(日)
会場/国立代々木競技場 第二体育館・エスフォルタアリーナ八王子・横浜武道館・太田市総合体育館
参加チーム/男子42大学 女子40大学
試合球/株式会社モルテン社製 BG5000(男子は12面体7号球・女子は12面体6号球)

インカレ2024特設ページ:https://www.basketball-zine.com/article/detail/115603

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