月刊バスケットボール1月号

【U18日清食品トップリーグ2024】男子・福岡大附大濠の初優勝、女子・京都精華学園の連覇で閉幕

97日の開幕から2か月半にわたって繰り広げられた「U18日清食品トップリーグ2024」が、1116日(女子)、17日(男子)に閉幕を迎えた。今年で3年目となる同大会では、男女各8チームが全国各地で総当たりのリーグ戦を戦い抜き頂点を競う。例年にまして実力が拮抗する展開となった中で、男子は福岡大附大濠が、女子は京都精華学園がそれぞれ61敗で優勝を飾った。



【男子最終順位】
優勝 福岡大附大濠 61敗 ※初優勝
準優勝 美濃加茂 43
3位 福岡第一 43
4位 東山 43
5位 開志国際 43
6位 八王子学園八王子 34
7位 藤枝明誠 25
8位 京都精華学園 16

 【女子最終順位】
優勝 京都精華学園 61敗 ※2年連続2回目
準優勝 岐阜女 52
3位 桜花学園 43
4位 慶誠 43
5位 昭和学院 34
6位 東海大付福岡 34
7位 大阪薫英女学院 25
8位 京都両洋 16

 


4試合で“3点”を制し福岡大附大濠が価値ある初優勝

 
男子優勝の福岡大附大濠は、U18アジアカップで渡邉伶音と高田将吾、そして男子U18日本代表のアシスタントコーチを務める片峯聡太コーチを欠いた期間もありながら、チームの方向性はぶらさず、福岡第一、八王子学園八王子、美濃加茂、東山という手強い4チームを奇しくも全て3点差で下した。大黒柱の渡邉を欠いて開志国際には唯一敗れたものの、最終戦績は61敗。チームとして確かな自信を手にする大会となったことだろう。

今大会で、ハンドラーとしての役目に挑戦した渡邉を筆頭に、高田や湧川裕斗ら経験豊富な3年生がオフェンスを引っ張ったが、得点王やアシスト王となった選手はいない。片峯コーチはチーム作りの上で「個の育成・強化」を重要視しており、まさに5人がどこからでも得点でき、アシストできるような形で勝機を手にしたといえるだろう。また、チームディフェンスも機能し、平均失点68.1得点は男子出場チームの中で最も少ない数字。大濠は昨年のウインターカップが準優勝、今年のインターハイが3位と、優勝候補に挙げられながらも日本一まであと一歩及ばなかった。今大会での初優勝を糧に、冬の全国大会でも頂を狙う。





なお、男子は2位から5位までの4チームが全て4勝3敗で並び、星を分け合う群雄割拠となった。インターハイ優勝の東山は大会序盤、代表活動で抜けていたエース・瀬川琉久との連係などに不安定さも見られたが、徐々にチームにフィット。途中ケガで抜けた試合もあった2年生の佐藤凪や、大澤徹也コーチいわく「最初は先輩たちに対して遠慮もあった」という1年生の中村颯斗も、最終的には主軸として自らの役目を思い切り全うするようになった。松島慎弥らケガ人もリーグ終盤に復帰し、11月15日には美濃加茂を、17日の最終戦では開志国際を撃破。順位としては4位で2冠目獲得はならなかったが、良い形で大会を締めくくったと言えるだろう。今大会で多くの悔しさを経験し、第1シードとなるウインターカップでは、あくまで挑戦者として臨む構えだ。

また、上り調子という点で、名前を挙げたいのが開志国際。ダブルキャプテンの一人である清水脩真いわく、「10月の胎内カップ(交歓大会)が分岐点になったかなと思います。地元の皆さんが応援してくれて楽しく戦うことができ、自分たちのバスケットを見つめ直すきっかけになりました」。その後、地元で行われた11910日のU18日清食品トップリーグでは福岡第一、福岡大附大濠という屈強な福岡勢相手に価値ある2連勝。最終戦こそ東山に敗れたが、富樫コーチは「代表で千保銀河もいなくて、9月はチームができていないままにスタートしましたが、10月、11月になって徐々に良くなってきました。結果は5位ですけど、ウインターカップにつながるかなと思います」と話していた。





タフなスケジュールをはねのけ京都精華学園が意地の連覇


女子は、終わってみればインターハイ女王の京都精華学園が連覇を飾ったが、決して簡単な道のりではなかった。というのも、日程の都合で大会後半に試合が集中し、7試合のうち桜花学園、昭和学院、岐阜女との過酷な3試合を全て11月中に行うスケジュール。さらに1124日にはウインターカップ府予選の決勝リーグがあり、新潟県開催だった111011日の週、山本綱義コーチは「選手たちには疲れも見えます」と明かしていた。

それでも、優勝を懸けて戦った最終戦では、岐阜女を71-64で下して優勝。疲労も蓄積する中、キャプテンの林咲良は「試合をしていく中で、全員で戦わなければならないと思いました。スタート5人だけじゃなくて、周りのベンチの人も含めて全員で戦えることが自分たちの強みだと思います」と、改めて“チームで戦う”ことの重要性を語っていた。山本コーチは「主力がいない試合もあった中、子どもたちがよく頑張ってくれて、大変誇りに思います」と手放しに称賛する。



一方、準優勝となった岐阜女は、ディヤイ・ネイのコンディション不良により日本人5人で戦う試合も多かったが、3年生の岡田紬葵らが頭角を現し、堅いディフェンスからブレイクに走る機動力を生かした戦いを披露。正念場となった1110日にはライバルの桜花学園を4点差(57-53)で下し、揺るぎない強さを証明した。ウインターカップの組み合わせでは、もし東海大付福岡が日本航空北海道との1回戦を勝ち上がれば、いきなり初戦の2回戦で当たることになる。インターハイの準決勝では岐阜女が、U18日清食品トップリーグでは東海大付福岡が勝利した因縁のカードなだけに、注目が集まりそうだ。

そのほか、初出場ながら4位に滑り込んで来年度の「U18日清食品トップリーグ2025」の出場権を獲得し、大きなインパクトを残したのが慶誠だ。1年時から正司令塔を務める岸希、今大会で得点王&リバウンド王(同率1位)に輝いたロー・ジョバのホットラインのみならず、2年生の陽本麻生や澤田樹奈が大会を通じて積極性を増し、3年生の笠夏菜も縁の下の力持ちとしてチームを支えた。インターハイはジョバが長期ブランクから復帰したばかりでベスト8だったが、ウインターカップではさらなるステップアップなるか。

男女合わせて全56試合、全国トップレベルのタフな戦いが繰り広げられたU18日清食品トップリーグ2024。昨年度のウインターカップでは、男子が福岡第一と福岡大附大濠、女子が京都精華学園と岐阜女と、いずれもU18日清食品トップリーグ2023に出場して鍛えられてきたチームが、決勝のひのき舞台まで上り詰めた。リーグ戦と一発勝負のトーナメントとでは戦い方も異なるだろうが、このリーグ戦で得られた課題や収穫は、それぞれのチームにとって進化の糧となるはず。長丁場を戦い抜いた男女全16チームが、冬の全国舞台でも強さを遺憾なく発揮することを期待したい。





(月刊バスケットボール)
 

 



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