月刊バスケットボール1月号

高校生レフェリーの挑戦、中川輝空さんが同世代の試合を担当「楽しむことができました」

写真:石塚康隆/月刊バスケットボール

リーグ最終週で高校生が審判を務める


U18日清食品トップリーグ2024、男子は福岡大附大濠高(福岡)の初優勝、女子は京都精華学園高(京都)の連覇でフィナーレを迎えた。その中で活躍したのは選手ばかりではなかった。最終週では3人の学生レフェリーも存在感を発揮した。その1人が、B級ライセンスを持つ高校2年生の中川輝空さんである。

担当したのは11月16日、女子最終日で行われた桜花学園高(愛知)対昭和学院高(千葉)。同世代の女子トップチーム同士の対戦について、中川さんは次のように振り返った。「最初は緊張していました。でも、クルーチーフを務めた有澤重行さんが声をかけてくださって、後半になるにつれて緊張がほぐれてきて、楽しむことができました。トップレベルの高校生で身長も大きいですし、力強いプレーが多くて激しさも全然違うと感じました」。





福井出身で滋賀・綾羽高に通う中川さんが審判を目指すきっかけになったのが、ミニバス時代だと言う。
「小学5年生くらいにミニバスの監督さんが審判をしている姿を見て、かっこいいと思ったことがきっかけです。その後、Bリーグで加藤誉樹さん審判を務めていて、冷静に判断しているのを見て、自分もやりたいと思い立ちました」

JBA公認審判ライセンスは上からS級、A級、B級、C級、D級、E級の6種類あり、担当できる試合が異なる(S級・A級は18歳以上が受講条件)。中川さんが持つB級は、基本的にブロック大会までの試合を担当することができる(特に優れていると日本バスケットボール協会が認めた場合は全国規模の試合も担当可能)。

実は、滋賀レイクス U18の選手リストにも名前がある中川さんだが、肩の問題などもあって現在は審判活動に専念。週末に地元に戻って地域大会や県大会で笛を吹いて経験を積み重ねており、18歳になったら「A級を取りたいと思っています」と意欲を見せている。





そして、将来的には加藤さんや新潟県の丸山大さんのような審判を目指しているとし、「加藤さんのようにオリンピックで吹けるような審判になりたいと思っています。オリンピックで加藤さんがアメリカ代表のスーパースターに囲まれているシーンがありましたが、その中でも冷静に判定されているのを見て、ああいう風になりたいなと感じました。少しずつでも近づけるように日常生活から見直し、Bリーグでのレフェリングとかもしっかり見るように心がけています」と毅然とし、冷静な判断ができる審判になりたいと語った。

審判という役目でオリンピックという大舞台を目指したいと語る中川さん。努力を続ける姿は、夢を追う人々への励ましとなるだろう。




文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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