琉球ゴールデンキングス、連勝でグループB首位に【EASL】
苦い思い出の地スタジオシティーで雪辱の勝利
琉球ゴールデンキングスが、10月30日にEASL(東アジアスーパーリーグ)2024-25シーズンの第2戦となるマカオ・ブラックベアーズ戦に臨み、96-93で勝利をつかんだ。この試合は琉球にとって、EASLの今季における初のアウェイゲーム。昨季メラルコ・ボルツ(フィリピン)に延長の末敗れたのと同じスタジオシティーのコートで、試合展開としてもあの時と同じように重苦しい時間帯が長く続いたが、見事に接戦をモノにして悔しい思い出を振り払うことができた。琉球はホームでメラルコを破った開幕戦に続く連勝。通算成績を2勝とし、グループB首位の座を固めている。
【動画】琉球ゴールデンキングス勝利の瞬間をチェック
琉球は開幕初戦と同じく、試合開始のジャンプボールで#45ジャック・クーリーが勝ってオフェンスから試合を始めた。身長230cmというマカオのビッグマン、#23サミュエル・デグアラにゴール下で先制の得点を許したが、#14岸本隆一の2本の3Pシュートで6-2と序盤にリードを奪う。
しかしマカオは、#23デグアラのサイズと司令塔#2ダミアン・チャンキーのクイックネスを生かして琉球のオフェンスにぴったりついてきた。1Qを終わって28-25とリードしていたのはマカオ。その時点ですでに10得点を稼いでいた#2チャンキーのスピーディーなオフェンスと、#23デグアラの高さを生かすゾーンディフェンスに、琉球がリズムをつかみきれないまま最初の10分間が過ぎていった。
元横浜EXの#23サミュエル・デグアラ
2Qに入っても流れは大きくは変わらない。琉球は#14岸本が早々に3Pシュートを決めて28-28と同点に追いついたが、マカオの#7ジンタール・シーラや#31ウィリアム・アルティーノらシュートにも当たり始め、決めても決め返される流れでビッグランを作り出すことができなかった。クォーター終盤には#5ジャマール・マヤリの4Pプレーが飛び出し46-51とビハインドは5点差に。琉球は#45クーリーが#14岸本のミスショットからプットバックを決めて48-51と追いすがるが、前半終了間際に#53アレックス・カークのゴール下のシュートが#31アルティーノの豪快なブロックにかかり、そこからのカウンターで#7シーラにダンクを決められて、48-53の5点ビハインドで後半を迎えることとなった。
3Qも、琉球は#2チャンキーや#7シーラらのしぶといオフェンスに手を焼いた。しかし、相手のゾーンディフェンスに対し粘り強くチャンスを見つけては、#45クーリーや#53カーク、#12ケヴェ・アルマらがペイントで得点を重ねて反撃。特に、#34小野寺祥太からのパスを受けた#53カークがショートジャンパーを沈めて59-61と2点差に詰め寄り、#23デグアラが4つ目のファウルをコールされた3Q残り6分47秒以降、辛抱が徐々に実を結んでいく。3Q終了までに72-73とビハインドを1点にすると、最終クォーター開始1分過ぎには#18脇真大がスティールからのブレークでレイアップを決めてついに74-73と逆転。残り6分9秒で#14岸本が3Pシュートを決め、86-76とし、この試合で初めて2桁リードを広げた。
#14岸本隆一
マカオはそれでも、終盤#23デグアラのポストからの得点などで追い上げた。残り2分半を切って琉球のリードは94-91とわずか3点のみ。さらに残り1分38秒、#31アルティーノのドライビング・フックで94-93と勝負は全くわからない状況に。ただ、最後の局面で琉球は落ち着いていた。残り58秒、#14岸本が果敢なペイントアタックから#45クーリーへとパスをつなぎ、きっちり加点して96-93。その後のマカオのオフェンスをしのぎ、最後は#7シーラの3Pシュートがリムを外れて試合終了となった。
琉球は#12アルマが29得点、13リバウンド、4アシストと大車輪の活躍。プレーヤー・オブ・ザ・ゲームに選出された#12アルマは試合後のインタビューで、「(終盤は)相手のゾーンに対しアグレッシブに、僕が攻めやすいスポットを見つけようとしたのがうまくいった」と振り返った。
プレーヤー・オブ・ザ・ゲームに選出された#12アルマ
琉球では#45クーリーも23得点、19リバウンドとモンスター・スタッツ。また#14岸本も3Pシュート12本中4本成功の18得点に12アシストとダブルダブルを記録していた。故障者が複数出ている琉球は、この試合での登録は9人だけ。そんな中で、主力の活躍を軸としながら全員が辛抱強く40分間持ち味を出し切ってアウェイでつかんだ勝利には、格別の意義がありそうだ。
一方マカオは、24得点でトップスコアラーとなった#2チャンキーのほか、#31アルティーノが17得点、#7シーラと#23デグアラが16得点と4人が2桁得点を記録。#31アルティーノと#23デグアラはリバウンドもそれぞれ20と12でダブルダブルだった。組織立ったプレーこそあまり多くなかったマカオだが、個々の能力の高さは大いに発揮されていたことを、これらの数字が示している。
この日の一戦を終えた時点で、グループBで2勝を挙げているのは琉球のみ。EASLにおける琉球の次戦は12月4日(水)に沖縄アリーナで行われる釜山KCCイージス(韓国)との一戦だが、昨季逃した4強入りを実現するにもこのまま連勝を重ねていきたいところだ。釜山は現時点までまだEASLでの開幕を迎えていないが、11月6日(水)にマカオと対戦することになっている。この対戦の情報も追っておくと、琉球vs.釜山がより楽しく観戦できるかもしれない。
協力=Bリーグ
文=柴田健(月刊バスケットボール)