広島ドラゴンフライズがBリーグ王者として臨む初めてのEASL「どれだけチャレンジできるか楽しみ」
B3リーグがひと足先に開幕し、B1リーグが10月3日、B2リーグが同5日の開幕を控えている。
時を同じくして開幕するのが、昨季千葉ジェッツが初代チャンピオンに輝いた東アジアスーパーリーグ(EASL)だ。今季、日本から参戦するのは2023-24シーズンのリーグチャンピオン広島ドラゴンフライズと、ファイナリストの琉球ゴールデンキングス。
「EASLに出場することでスケジュール的にはかなりタフになりますし、1シーズンの試合数や移動距離も増えるので、選手への負担についてはいろいろな部分を考えて進めていきます。ただ、せっかく国際大会を経験できるので、それを自分たちの大きな成長につなげていかなければなりません。単なる1試合ではなく、EASLにもBリーグにも全力で向き合って、てっぺんを取りにいく。そのチャンスがあると思って向き合っていきたいです」
そう意気込むのは新指揮官の朝山正悟HC。自身も昨季、現役を引退したばかりだが、息つく間もなくBリーグ連覇とEASL初制覇を目論む。
朝山HCが話すように、EASL出場によって他クラブと大きく変化するのがスケジュールだ。基本的にシーズンゲームは水曜日に組み込まれており、Bリーグのレギュレーションと照らし合わせると、土日に試合をこなして月曜日はオフ。EASLでの試合がアウェイ開催の場合は火曜日に出国し、水曜日にゲーム。木曜日に帰国して金曜日を挟んで土日に試合。このように想定されるスケジュールが1〜3週間の間に定期的に挟まってくる。
そこにBリーグの水曜ゲームや天皇杯、選手によっては日本代表活動などが加わってくるため、非常にタフなスケジュールになる。時期によってはチーム練習を行えない過密スケジュールともなるだろう。
では、広島のEASLの日程を、EASLゲーム前後のBリーグの日程と照らし合わせるとどうだろうか。以下が日付順に並べた日程だ。
この中で鬼門となりそうなのが、10月26、27日の琉球戦から10月30日の香港イースタン戦、そして11月2、3日の三遠戦までの5試合。その全てがアウェイゲーム、かつBリーグでの4戦も強豪との対決だ。琉球と三遠は共にフィジカルなぶつかり合いを得意としているクラブだけに、長距離移動による疲労と身体的負担が大きくなってくる。
EASLの開幕戦でも対戦する香港イースタンも侮れないチームだ。同クラブは香港で最も歴史ある球団のひとつで、昨季の香港リーグ王者。ASEANバスケットボールリーグでも16-17シーズンと2023シーズンの2度優勝している。
写真は昨季Bリーグファイナルより
このタフなスケジュールをポジティブに捉えている一人が中村拓人だ。昨季大きくステップアップした23歳の司令塔は、学生時代からアンダーカテゴリーの日本代表として世界と戦ってきた。だからこそ、自身の経験談も踏まえてこう意気込む。
「相手のサイズや当たりの強さはなかなか国内では経験できないものです。そういった部分ではオフェンスもディフェンスもうまくいかない部分があると思っています。僕自身、これまでいろいろな選手と対戦してきた中で本当にそれを感じていますし、だからこそ、EASLは本当に良い機会。どれだけチャレンジできるのかが楽しみです。EASLを通して試合をこなせるのはチームとして成長できるチャンスでもあります。一戦一戦勝ち取っていくのはもちろんですが、その中でチームとして成長していきたい」
EASLでは、外国籍選手の登録枠が2つと、Bリーグよりも1つ少なくなる。となると、普段通りの戦いでは特に外国籍選手への負担が増え、ケガにつながるリスクが高まってしまう。それを避けながら6試合のリーグ戦をBリーグのレギュラーシーズンと並行して戦い抜くためには、日本人ビッグマンの市川真人や帰化選手の河田チリジの起用法、あるいはビッグマンを減らしたスモールラインナップでの戦いなど、普段とは違ったローテーションや戦術で戦い抜くことが必須となる。
その点については中村も「一人一人に成長できるチャンスがあって、総力戦になると思います。僕も含めて、このチームにはまだまだ伸びしろがある選手も多いので、より個々が上を目指してやっていけばチャンスはあると思います」と自信を見せる。
三谷、武内、渡部らフレッシュな戦力の活躍も必要だ
今季の広島は若い。中村、市川、三谷桂司朗、渡部琉が23歳、武内理貴とケイン・ロバーツが22歳と、ロスター13人中6人がこれからBリーグで名を上げようという選手たち。30代は河田(35歳)、ドウェイン・エバンス、山崎稜(共に32歳)の3人のみだ。朝山HCも指導者としては“新米”であり、中村の言う「伸びしろ」を本当の成長に変えていくという意味では、EASLは大きなアドバンテージにもなる。
実際に昨季同大会で優勝した千葉Jは、EASLの試合で金近廉や小川麻斗、内尾聡理(FE名古屋)らが経験を積みながらステップアップし、Bリーグでは第8シードながら、若手の活躍も相まって第1シードの宇都宮ブレックスをチャンピオンシップで撃破した。だからこそ、朝山HCも「昨季、千葉ジェッツがEASLで優勝したことは僕たちにとってもかなり刺激になっている」と、ライバルクラブが成し遂げたタイトル獲得の再現を狙っている。
広島としては、総じてEASLは未知の世界である。手探り状態での戦いが続く中でも確かなステップアップを見せてほしい。そして、日本のバスケットボールの、広島ドラゴンフライズというクラブの認知をアジア諸国にさらに広めてほしいところだ。
時を同じくして開幕するのが、昨季千葉ジェッツが初代チャンピオンに輝いた東アジアスーパーリーグ(EASL)だ。今季、日本から参戦するのは2023-24シーズンのリーグチャンピオン広島ドラゴンフライズと、ファイナリストの琉球ゴールデンキングス。
初出場の広島「てっぺんを取りにいく」
琉球は昨季も同大会に出場するなど、クラブとしての国際大会参加の経験が豊富だが、広島はそうではない。昨季、優勝直後に行われた「2024 Basketball Champions League Asia」には出場したが、長期のリーグ戦となるEASLへの参加は初めてだ。「EASLに出場することでスケジュール的にはかなりタフになりますし、1シーズンの試合数や移動距離も増えるので、選手への負担についてはいろいろな部分を考えて進めていきます。ただ、せっかく国際大会を経験できるので、それを自分たちの大きな成長につなげていかなければなりません。単なる1試合ではなく、EASLにもBリーグにも全力で向き合って、てっぺんを取りにいく。そのチャンスがあると思って向き合っていきたいです」
そう意気込むのは新指揮官の朝山正悟HC。自身も昨季、現役を引退したばかりだが、息つく間もなくBリーグ連覇とEASL初制覇を目論む。
朝山HCが話すように、EASL出場によって他クラブと大きく変化するのがスケジュールだ。基本的にシーズンゲームは水曜日に組み込まれており、Bリーグのレギュレーションと照らし合わせると、土日に試合をこなして月曜日はオフ。EASLでの試合がアウェイ開催の場合は火曜日に出国し、水曜日にゲーム。木曜日に帰国して金曜日を挟んで土日に試合。このように想定されるスケジュールが1〜3週間の間に定期的に挟まってくる。
そこにBリーグの水曜ゲームや天皇杯、選手によっては日本代表活動などが加わってくるため、非常にタフなスケジュールになる。時期によってはチーム練習を行えない過密スケジュールともなるだろう。
では、広島のEASLの日程を、EASLゲーム前後のBリーグの日程と照らし合わせるとどうだろうか。以下が日付順に並べた日程だ。
10月12、13日(土・日)/HOME
vs.佐賀バルーナーズ(Bリーグ)
広島サンプラザホール/16:05、15:05試合開始
10月16日(水)/HOME
vs.香港イースタン(EASL)
エフピコアリーナふくやま/19:10試合開始
10月19、20日(土・日)/AWAY
vs.サンロッカーズ渋谷(Bリーグ)
青山学院記念館/19:05、15:05試合開始
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10月26、27日(土・日)/AWAY
vs.琉球ゴールデンキングス(Bリーグ)
沖縄アリーナ/14:00、14:05試合開始
10月30日(水)/AWAY
vs.香港イースタン(EASL)
修頓場館/19:10試合開始
11月2、3日(土・日)/AWAY
vs.三遠ネオフェニックス(Bリーグ)
浜松アリーナ/両日共に15:05試合開始
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11月30、12月1日(土・日)/HOME
vs.レバンガ北海道(Bリーグ)
エフピコアリーナふくやま/両日14:05試合開始
12月4日(水)/AWAY
vs.水原KTソニックブーム(EASL)
水原KTソニックブームアリーナ/19:10試合開始
12月7、8日(土・日)/AWAY
vs.ファイティングイーグルス名古屋(Bリーグ)
名古屋市稲永スポーツセンター/両日15:35試合開始
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12月21、22日(土・日)/AWAY
vs.横浜ビー・コルセアーズ(Bリーグ)
横浜国際プール/両日14:05試合開始
12月25日(水)/AWAY
vs.桃園パウイアンパイロッツ(EASL)
桃園市立総合体育館/21:10試合開始
12月28、29日(土・日)/HOME
vs.宇都宮ブレックス(Bリーグ)
広島サンプラザホール/両日14:05試合開始
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1月4、5日(土・日)/HOME
vs.秋田ノーザンハピネッツ(Bリーグ)
広島サンプラザホール/両日14:05試合開始
1月8日(水)/HOME
vs.サンミゲル・ビアメン(EASL)
広島サンプラザホール/19:10試合開始
1月10、11日(金・土)/HOME
vs.長崎ヴェルカ(Bリーグ)
広島サンプラザホール/時間未定
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1月18、19日(土・日)
Bリーグオールスター2025
ららアリーナ東京ベイ
1月22日(水)/HOME
vs.桃園パウイアンパイロッツ(EASL)
エフピコアリーナふくやま/19:10試合開始
1月25、26日(土・日)/AWAY
vs.京都ハンナリーズ(Bリーグ)
かたおかアリーナ京都/時間未定
この中で鬼門となりそうなのが、10月26、27日の琉球戦から10月30日の香港イースタン戦、そして11月2、3日の三遠戦までの5試合。その全てがアウェイゲーム、かつBリーグでの4戦も強豪との対決だ。琉球と三遠は共にフィジカルなぶつかり合いを得意としているクラブだけに、長距離移動による疲労と身体的負担が大きくなってくる。
EASLの開幕戦でも対戦する香港イースタンも侮れないチームだ。同クラブは香港で最も歴史ある球団のひとつで、昨季の香港リーグ王者。ASEANバスケットボールリーグでも16-17シーズンと2023シーズンの2度優勝している。
写真は昨季Bリーグファイナルより
このタフなスケジュールをポジティブに捉えている一人が中村拓人だ。昨季大きくステップアップした23歳の司令塔は、学生時代からアンダーカテゴリーの日本代表として世界と戦ってきた。だからこそ、自身の経験談も踏まえてこう意気込む。
「相手のサイズや当たりの強さはなかなか国内では経験できないものです。そういった部分ではオフェンスもディフェンスもうまくいかない部分があると思っています。僕自身、これまでいろいろな選手と対戦してきた中で本当にそれを感じていますし、だからこそ、EASLは本当に良い機会。どれだけチャレンジできるのかが楽しみです。EASLを通して試合をこなせるのはチームとして成長できるチャンスでもあります。一戦一戦勝ち取っていくのはもちろんですが、その中でチームとして成長していきたい」
EASLでは、外国籍選手の登録枠が2つと、Bリーグよりも1つ少なくなる。となると、普段通りの戦いでは特に外国籍選手への負担が増え、ケガにつながるリスクが高まってしまう。それを避けながら6試合のリーグ戦をBリーグのレギュラーシーズンと並行して戦い抜くためには、日本人ビッグマンの市川真人や帰化選手の河田チリジの起用法、あるいはビッグマンを減らしたスモールラインナップでの戦いなど、普段とは違ったローテーションや戦術で戦い抜くことが必須となる。
その点については中村も「一人一人に成長できるチャンスがあって、総力戦になると思います。僕も含めて、このチームにはまだまだ伸びしろがある選手も多いので、より個々が上を目指してやっていけばチャンスはあると思います」と自信を見せる。
三谷、武内、渡部らフレッシュな戦力の活躍も必要だ
今季の広島は若い。中村、市川、三谷桂司朗、渡部琉が23歳、武内理貴とケイン・ロバーツが22歳と、ロスター13人中6人がこれからBリーグで名を上げようという選手たち。30代は河田(35歳)、ドウェイン・エバンス、山崎稜(共に32歳)の3人のみだ。朝山HCも指導者としては“新米”であり、中村の言う「伸びしろ」を本当の成長に変えていくという意味では、EASLは大きなアドバンテージにもなる。
実際に昨季同大会で優勝した千葉Jは、EASLの試合で金近廉や小川麻斗、内尾聡理(FE名古屋)らが経験を積みながらステップアップし、Bリーグでは第8シードながら、若手の活躍も相まって第1シードの宇都宮ブレックスをチャンピオンシップで撃破した。だからこそ、朝山HCも「昨季、千葉ジェッツがEASLで優勝したことは僕たちにとってもかなり刺激になっている」と、ライバルクラブが成し遂げたタイトル獲得の再現を狙っている。
広島としては、総じてEASLは未知の世界である。手探り状態での戦いが続く中でも確かなステップアップを見せてほしい。そして、日本のバスケットボールの、広島ドラゴンフライズというクラブの認知をアジア諸国にさらに広めてほしいところだ。
写真/©︎B.LEAGUE、©︎FIBA 、編集部 取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)