月刊バスケットボール1月号

Wリーグ

2024.09.25

韓国WKBLに挑戦中の永田萌絵、志田萌が「ユナイテッドカップ」で凱旋

元デンソーの永田萌絵

“韓国リーグの選手”として永田、志田が日本でプレー


Wリーグでは10月11日から開幕するレギュラーシーズンに先立ち、9月14日~15日に西地区、9月21日~22日に東地区で「Wリーグ ユナイテッドカップ2024ー25 グループステージ」を開催。西地区からデンソー・アイリスとトヨタ紡織サンシャインラビッツ、東地区からはENEOSサンフラワーズとシャンソン化粧品シャンソンVマジックが勝ち上がった。

【動画】永田選手&志田選手のプレーをチェック

この4チームに加え、昨シーズン優勝の富士通レッドウェーブを加えた5チームが来年2月に優勝を目指し雌雄を決することになっている(富士通は9月26日から開催される「FIBA Women’s Basketball League Asia」に日本代表として出場することもありグループステージを免除)。昨年までは「オータムカップ」が開催されていた開幕前のプレシーズン。Wリーグでは今シーズンより「プレミア」、「フューチャー」と2ディビジョン制を敷くことになったこともあり新しく創設されたカップ戦だ。

「2ディビジョン制となりましたが、Wリーグとしてのディビジョンを超えたカップ戦が必要」と、WJBL長崎俊也事務局長は同大会開催の背景を語る。そんなWリーグのカップ戦ではあるが、その中で韓国リーグのWKBLの清州KBスターズが参加し、新潟アルビレックスBBラビッツとエキシビションゲームを行った。



「以前から日本と韓国とはチームレベルで交流は盛んに行われてきています。近年はリーグ同士も交流を強めており、Wリーグのオールスターゲームに参加してもらったり、逆にパクシンジャカップ(8⽉31⽇〜9⽉8⽇に韓国・忠清南道牙山市で開催された)には富士通、トヨタ自動車、日立ハイテクの3チームが出場しています。前述のとおりシーズン前には日本のチームが韓国へ、韓国のチームが日本へと遠征を行っていますから、今回はそうしたゲームの一部をファンにお見せできるように調整しました。チームにとってもより緊張感のある試合ができたこともあり、好評価でした」と長崎氏。

さらに、清州KBスターズには昨シーズンまでWリーグに所属していた永田萌絵(元デンソー)、志田萌(元シャンソン化粧品)の2選手が所属しており、彼女たちにとっては凱旋試合にもなった。韓国WKBLでは今シーズンよりアジア選手枠(アジアクォーター制度)を創設。その初年度として移籍希望をした日本人選手を対象にドラフトを実施し、永田、志田など9選手が指名されたのだ。

「日本のWリーグのファンの前でプレーできることを楽しみにしていました」と新潟との試合を終えた永田は話す。「試合には敗れて(62-66)しまいましたが、自分らしいプレーができ、そんな姿を見てもらえたのが良かったです」と、スターターとして出場しチーム最多タイの16得点を記録した。
「みんなも親切に接してくれますし、環境も整っています。ウェイトルームなどの器具もそろっていますし、食事もおいしく、すばらしい環境です。日本語の通訳さんもいるので、基本的な部分は困ることはありません。ただ、コートの上では選手だけでコミュニケーションを取らなければならないので、覚えたての韓国語や英語で簡単な言葉で伝えようとしています。そうした部分では、自分の伝えたいことを伝えられなかったり、もどかしくなることはあります」とWKBL事情を教えてくれた。
もともと移籍を考えていたタイミングでWKBLのアジア枠の話を知り、手を挙げたという永田。「海外でのチャレンジは自分にとって価値があるものだと思っていましたし、今は挑戦して良かったと感じています。チームの優勝に貢献できるようにプレーしていきたい」と、充実の日々を送っている。




元シャンソン化粧品の志田萌

一方、他国の選手を受け入れていないWリーグは、今後、どのように進むのだろうか?
「日本でプレーしたいという他国の選手からの問い合わせは増えています」と前出の長崎氏。
「やはり東京2020で銀メダルを獲得したことが大きいと思います。外国籍選手の受け入れについては、正に協議を進めている最中です。女子日本代表が世界で結果を残したことによって、よりグローバルな潮流に向かい合わなければならなくなってきています。一方でWリーグは、日本でトップを目指す選手たちの受け皿でもあり続けなければなりません。それを両立するためにも、我々としてはWリーグに所属するチーム数を増やしつつ、海外の選手への門戸を開いていくといったアプローチができればと思っています」と構想を語った。

今シーズンより上位チームによるプレミア、下位チームによるフューチャーの2リーグ化へと舵を切ったWリーグ。来シーズンからは三井住友銀行のフューチャー参入が決まっており、全15チームとなる。Wリーグの外国籍選手の受け入れも、遠からず実現していくことになりそうだ。






文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)

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