オータムリーグ開幕3連勝の日体大にWUBS2024はどう生きているか
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8月12日に閉幕したWUBS2024(世界大学バスケットボール選手権)で日本勢最高の5位となった日体大ライオンズが、そこから2週間と経たず24日に開幕した第100回関東大学リーグ戦(オータムリーグ)で、初戦から3連勝と快調な滑り出しを見せている。開幕初日に明治大を94-61と圧倒すると翌25日の中央大戦は89-66、28日の筑波大戦も85-61といずれも点差を20以上つけて勝ち星を重ねた。
東海大、白鷗大とともに負けなしの3連勝、得失点差で2位というここまでの戦いぶりは、藤田将弘監督が目指す「高さよりも平面的なバスケットボールで80得点以上を奪う」という日体大のスタイルが高いレベルで体現している印象だ。89.3得点はリーグ1位。また、オフェンスのみならずリーグ全体で3番目に少ない平均62.7失点という数字も、チームとしてのフォーカスがしっかり定まっていることを感じさせる。
点数の取り方も良く、チームとしての2P成功率61.9%(113本中70本成功)と3P成功率37.1%(89本中33本成功)のいずれもがリーグ1位(3P成功数11.0本も1位タイ)。個別には石川響太郎が3P成功率54.5%(22本中12本成功)とロングレンジから高い決定率を残し、平均13.7得点で得点ランキング10位に名を連ねている。
リバウンドではムトンボ ジャンピエールがリーグ2位の11.0本(ムトンボは得点も平均12.7でダブルダブルのアベレージ)と力を発揮しているのに加え、コネ ボウゴウジィ ディットハメードも同3位の平均10.7リバウンド。タイトなディフェンスと両留学生の力強いリバウンドを土台にしたトランジションゲームの中で、3P攻勢でぐんぐん点数を伸ばしていくエキサイティングなバスケットボールが日体大のスタイルだ。
「負けという結果からどう行動に移すか」——土家拓大
日体大はWUBS2024で、初戦の国立政治大(NCCU)戦に71-79で敗れた後、ペルバナス・インスティテュート(インドネシア)に94-71、日本学生選抜に93-77と連勝して大会を終えた。この3日間を振り返ると、この大会での経験がオータムリーグに良い形でつながっていることが感じられる。
キャプテンの土家拓大は、自チームの5位という成績について厳しい見方をしながら、「良い結果とは言えないですけど、勝って終われたことは良かったと思います」と評価。日本勢全般の苦戦の要因は「他国のレベルがすごく高かったのと、自分たちの慣れていない相手、高さや大きさ、横の強さへのアジャストがしきれなかったと思います」と分析した。しかし、「次に切り替えて各チームで課題としてやっていけるんじゃないかと思います。負けという結果は変わらないので、ここからどう行動に移すかです」と前を向くコメントを残し、オータムリーグ以降については以下のような抱負を語った。
「自分たちのチーム目標である常勝という点に関しては今回大会で一度途切れてしまったんですけど、ここからリーグ戦を全勝で優勝して、インカレにその流れを持っていきたいと思っています。去年はリーグを思うような結果で終われずに、そのままインカレもズルズルいってしまった印象でした。インカレはもうリーグ中から始まっているということをチームで話して、まずはオータムリーグを一歩一歩大切に勝っていきたいと思います」
土家はWUBS2024最終日、日本学生選抜戦で後半重要な3Pショットを3本決め、自らのロングレンジゲームを「チームの新たな武器にしたい」とも話していた。オータムリーグでは、実際に中央大戦で4本中2本決めて勝利に貢献。ここまでの出場は2試合だが、上記の3Pを含むフィールドゴール成功率62.5%(8本中5本成功)で平均6.0得点、1.5アシストにターンオーバーがゼロと堅実さが光るパフォーマンスを披露した。
日体大はWUBS2024唯一の黒星だったNCCU戦で、フィールドゴール成功率が上がらなかった。3Pは26本のアテンプトで成功が5本のみ(成功率19.2%)。フリースローも21本中8本(同38.1%)しか決められなかった。藤田監督もスターティングガードの月岡煕も「自分たちのシュートパーセンテージが上がってこなかった」と残念な思いを語り、この点を大きな敗因に挙げていた。
WUBS2024 DAY1のNCCU戦での藤田将弘監督(中央・写真/©WUBS2024)
それがオータムリーグに入ってからは、上記の3P・2P成功率に加えフリースローもリーグ3位の70.7%と堅調だ。藤田監督は「WUBS2024を成長できる大会にしたい」とも話していたが、獲るべき得点を獲り、決めるべきショットを決めて畳みかけるようなオフェンスで80得点以上を奪って勝てている現状は、まさしくWUBS2024が成長を促したことを感じさせている。
藤田監督はWUBS2024の最終日に、「来年はこの舞台(決勝)に立てるように、国内のゲームを頑張っていきたいと思います」と秋から冬にかけての戦いに向けた抱負を語っていた。その時点から日体大のオータムリーグとインカレは幕を開けていたのかもしれない。昨年悔しい思いをしたオータムリーグで、連覇を果たしたスプリングトーナメントに続く2冠はぜひとも欲しいタイトルだろう。さらにはインカレを含む3冠へ。輝かしい成長の軌跡をたどることができるか注目だ。
取材・文/柴田 健 (月刊バスケットボール)