WUBS2024の悔しさをバネにオータムリーグ連覇を目指す白鷗大——堅固なディフェンスで連勝スタート
第100回大会を迎えた関東大学バスケットボールリーグ戦(オータムリーグ)で、連覇を狙う白鷗大ソルジャーズ。昨年は15勝4敗で王座に就いた後インカレも制し、今夏のWUBS(世界大学バスケットボール選手権)出場権を獲得した。しかし今年度は、5月のスプリングトーナメントでベスト8入りを逃すと、昨年準優勝と結果を残したWUBSでも7位に順位を落とした。
しかしオータムリーグでは、8月24日に同大キャンパスで行われた開幕初週に2連勝。それもディフェンスを引き締めての、白鷗大らしい白星だった。
※白鷗大は28日の明治大戦にも76-66で勝利し、29日現在連勝を3に伸ばしている
日本大との初戦で74-65と粘り勝ちを収めた後、「WUBSが本当に自分たちを見つめ直すよい機会になっていて、今週すごくいい練習ができていました」と話す網野友雄監督の表情も明るかった。「もう1回強度の高いディフェンスからというところを思い出して、1週間いい準備をしてくれました。それがこうやって最初に結果として出てくれて、よかったです」
日本大との一戦は、特に前半は接戦で、流れがどちらに転ぶかわからない展開だった。日本大は長期にわたってケガに泣かされてきたポイントガードの米須玲音が10ヵ月ぶりに実戦復帰を果たし、持ち前のコートビジョンとプレーメイクで7アシストを記録。身長205cmのビッグマン、コンゴロー・デイビッドも16得点、16リバウンドと本領を発揮した。しかし白鷗大は、司令塔の佐藤涼成が3P5本中3本を沈めるなどゲームハイの19得点を奪い、副キャプテンのポーグ健が14得点、根本大も豪快なドライビングダンクを含む11得点と最上級生がリーダーシップを数字としてたたき出し、終盤の日本大の反撃もしのいで勝利した。
8月24日の日本大戦でリムアタックを見せるポーグ健(写真/©月刊バスケットボール)
翌日の大東文化大戦は61-60という大接戦で、第3Q終了時点で41-47の6点ビハインドという苦境を跳ね返して勝ち切った。この試合でも、終盤追い上げる展開の中でポーグ、陳岡流羽がチームを鼓舞する3Pショットを決めるなど、最上級生が価値ある活躍を披露。1点先行されて迎えた残り19.9秒からの最後のオフェンスも、佐藤がトップから鋭いドライブでリムアタックしてディフェンスを揺さぶったところで左ベースライン際を切れ込んできたポーグに絶妙のダイム。ポーグが落ち着いてレイアップを沈め、ここでも最上級生の連係が逆転劇につながった。
WUBS2024の初日にシドニー大に敗れた後、佐藤は「タイムアウト明けに集中が切れて離されていったり、簡単に決められる2ポイントを落として追いつけそうなところで追いつけなかった、突き放せるところで突き離せなかったという感じです」と内面的な準備不足に言及していた。「すごく単発的で、自分たちのバスケットができていなかったです」
WUBS2024初日のシドニー大戦での佐藤涼成(写真/©WUBS2024)
そうした状況を見て、網野監督はWUBS期間中、佐藤やポーグら最上級生たちとリーダーシップについて語り合ったという。「そういう話をもうこの3日間ずっとしていました。この大会を本当にいいきっかけの大会にしたいっていう思いが強くて」
過去5年間連続でインカレベスト4進出を果たし、そのうち2度優勝という白鷗大で、現在所属しているプレーヤーたちは「(白鷗大の)勝ちすぎている姿を見てきている」という見方も網野監督はしていた。「普通にやれば自分たちも同じようになるんじゃないかとか、一番大事にしていることを頭の中から飛んでしまって、新しいことだけを積み上げようとしている感じがずっと今まであった」。選手たちにとっては、耳が痛くなるような言葉だろう。
しかしWUBS2024を通じて、白鷗大が成果を出すために必要なことを再確認できただろうことを、オータムリーグ序盤戦は感じさせる。最初の3試合を終えた時点では、同じく3連勝スタートを切った東海大、日体大との三つ巴の中、得失点差で3位。この3試合の平均失点は63.7に抑えており、チームとしてのターンオーバー数もリーグ3位の平均9.0という数字は、ここまでの結果を受けての内面的な成長の表れではないだろうか。
個々には佐藤が得点(平均15.0)と3P成功数(7本)で3位タイと複数部門でトップ5入り。ブロック部門では境アリームとジョエル・モンガがブロック3位タイ(平均1.3)に名を連ね、スティール部門では陳岡流羽がリーグ1位(平均2.7)に座している(数値はいずれも28日までの3試合終了時点)。序盤戦でこうした順位や個人成績に一喜一憂する必要はまったくないが、不本意な結果に終わったWUBS2024がバネとしてよい方向に作用している証ととらえて間違いないだろう。
「WUBSの結果は本当に本意ではありませんでした。ジョエルも涼成ももっと勝ちたかったし、自分のせいだという感じがすごくありました。彼らには、そこから何とかしてやり返そう、ちゃんと自分の力で勝たせたいという思いがあるんですよ。だからやっぱり、(WUBSの体験は)非常によかったです」。網野監督はそう話した。
新井楽人のドライブを体を張って阻止するジョエル・モンガ(写真/©月刊バスケットボール)
オータムリーグは11月3日(日)まで約2ヵ月半。オータムリーグ連覇、そしてインカレ連覇という大きな目標に向かう白鷗大の正念場はこれからだ。
取材・文/柴田 健 (月刊バスケットボール)
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