月刊バスケットボール10月号

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2024.08.12

【WUBS2024 DAY2レポート】デ・ラサール大、高麗大が決勝に進出――日本学生選抜は白鷗大に快勝

©WUBS2024

811日に第2日を迎えたWUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=世界大学バスケットボール選手権)は、国立競技場代々木第二体育館で順位決定戦と準決勝各2試合ずつが行われた。日本勢の3チーム——日体大、白鷗大、日本学生選抜——はいずれも初日に敗れてこの日は順位決定戦に出場。日体大がペルバナス・インスティテュート(インドネシア)に、日本学生選抜が白鷗大に勝利して最終日DAY35-6位決定戦進出を決めた。ペルバナス・インスティテュートと白鷗大は最終日に7-8位決定戦を戦う。準決勝2試合はデ・ラサール大と高麗大が勝利。どちらも初の決勝進出を果たした。3位決定戦は昨年の王者国立政治大とシドニー大の対戦となっている。


DAY2試合結果

第1試合(WUBS2024 GAME5)
ペルバナス・インスティテュート(インドネシア) 71(23 13 20 15)
日体大(日本、スプリングトーナメント優勝) 94(32 20 22 20)


この試合で16得点を挙げた日体大の西部秀馬(写真/©WUBS2024)

ペルバナス・インスティテュートは、前日のデ・ラサール大戦で足を痛めたインドネシア大学リーグファイナルMVPのグレーンズ・タンクランがスタートで登場。日体大が石川響太郎の3Pショットで先制したが、そのタンクランがすかさずお返しの3Pショットを決め、第1Q半ばまでは接戦を展開する。開始4分過ぎにペルバナスのフォワード、フェルナンド・マナンサンが果敢なアタックからリバースレイアップをねじ込んだ時点で、スコアボードは15-13と日体大が1ポゼッション先行という状況。以降もペルバナスは、ダニエル・サラメナの3Pショットなどで粘り、最初の10分間は32-231桁点差で終わった。しかし第2Q開始早々に、大森尊之が相手ディフェンスを切り裂きレイアップを沈めたあたりからは日体大のペース。9-2のランで41-2516点差まで引き離すと、以降はペルバナスに大きな流れを奪われることなく23点差をつけて勝利を手にした。

この試合は、ガード陣のスピードをムトンボ ジャンピエールとコネ ボウゴウジィディット ハメードの高さにうまく組み合わせて戦う日体大の地力の高さが良く表れていた。タイムシェアをしながら、コネの19得点、西部秀馬の16得点など5人の2桁得点を含む全員得点を達成。前日の悔しさを晴らす快勝と言っていいだろう。一方、昨年は日本のチーム(東海大と白鷗大)に50点差以上を付けられて敗れていたペルバナスの成長ぶりも著しい。昨年はオフェンスを展開する前にターンオーバーを頻発して得点が60に到達したのが1試合のみだったが、今年のチームはここまでの2試合でどちらも71得点を奪っている。ズルファリザルHCは「少しツキもあるかも」と謙虚なコメントだったが、主力の故障がある中で、今年は昨年以上に勝機を感じさせる戦いぶりだ。最終日の7-8位決定戦は白鷗大が相手。昨年は52点差で負けているが、今回は同じ結果にはならないかもしれない。

第2試合(WUBS2024 GAME6)
白鷗大(日本、インカレ優勝) 58(20 17 5 16)
日本学生選抜(日本) 80(22 22 20 16)


深澤桜太のダンク(写真/©WUBS2024)

DAY22試合目は日本勢同士、しかもインカレ王者と日本学生選抜という見どころの多い対戦だったが、特に後半日本学生選抜がディフェンスのインテンシティーを高め、またサイズのアドバンテージを生かして大きく引き離す展開となった。

前半は互角に近い展開の中で、ジョエル モンガのレイアップがゴールに嫌われる場面が何度かあるなど、白鷗大には不運なところもあった。しかし後半は塚本智裕(大東文化大3年)、轟琉維(東海大2年)、菅野陸(山梨学院大1年)らガード陣のスピードやクイックネスが白鷗大のディフェンスを分断し、ビッグマンが攻守に支配的なプレーを見せた。66-42と日本学生選抜がリードした第4Qの41秒過ぎのプレーは象徴的。菅野が華麗なドリブルワークでマッチアップを振り切ってペイントにアタックした後、合わせて左ベースラインをカットしてきた深澤桜太(中央大1年)にバックビハインドパスをつなぎ、豪快なダンクでフィニッシュした。

白鷗大の網野友雄監督は「勝負どころ、流れをつかむところで頑張り切れなかったことで点差につながってしまった」と悔しそうな表情。「チームのディフェンスや強度を見つめなおさなければいけない。簡単にペイントに入られてしまうとヘルプが遅くなり、(相手は)余裕がある中で判断できてダンクが生まれてしまう。そこをもう一度修正しなければ」

一方、日本学生選抜の西尾吉弘HCは、「昨日クローズがうまくいかなかったですが、まずは勝てたことがよかったです」とほっとした様子。サイズのミスマッチからリバウンドの意識を高く持っていたとのことで、「いけばその分だけ取れるというところをしっかり実施してくれました」と選手たちを称えた。オフェンスは合宿初日から全員アグレッシブにプレーメイカーになろうと声を掛けてきた成果との評価。「自分のチームではスクリーナーやシュートを作る役割の選手もいると思いますが、ここでは全員チャンスがあったら点を取りに行くんだと伝えています」とのこと。確かにその姿勢はしっかり体現されていた。

第3試合(WUBS2024 GAME7)
デ・ラサール大(フィリピン) 87(25 26 16 9 11)
国立政治大(チャイニーズ・タイペイ) 82(15 23 21 17 6)


ゴールに襲い掛かるマイケル・フィリップス。オフェンスもディフェンスも非常に力強かった(写真/©WUBS2024)

初出場のデ・ラサール大がディフェンディング・チャンピオンの国立政治大(NCCU)に挑戦したこの一戦は、序盤からデ・ラサール大が208cmのビッグマン、ヘンリー・アグナンネと201cmで柔軟性の高いプレーをするフォワードのマイケル・フィリップスのサイズと機動力を生かし、リードを広げる展開となった。前半を終えて51-38とデ・ラサール大がリード。第3Q開始129秒過ぎには、フィリップスがスティールから豪快なウインドミルダンクをさく裂させて55-40とし、さらにCJオーストリアのドライビングレイアップで57-40とこの試合最大の17点差まで引き離した。

しかし粘るNCCUは、ここから208cmのセンター、ボバカー・エムボを軸に反撃。第3Q終了までに67-591桁点差に詰めると、第4Qには得意のゾーンディフェンスが効果を挙げた。「1-3-1をいろいろと変化させるディフェンスで相手を困らせることができました」とチェン ツーウェイHCが振り返ったこの時間帯に、オフェンスではリー ユンジェ、ソン シンハオらガード陣がビッグショットを連発し、残り2.8秒にシュ トーチが同点フローターを沈めてついに76-76。今大会初のオーバータイムに突入した。

最後の5分は、ボバカーのフリースローとレイアップでNCCU79-76と先行したが、デ・ラサール大はフィリピン代表フォワードのケビン・キンバオがハイポストからのフローターとオフェンスリバウンドからのティップインを決めて80-79と逆転。さらにここで、シューティングガードのEJ・ゴレナが勝利を引き寄せる3Pショットを成功させ、残り約2分半で83-79とリードが2ポゼッション差に拡大。以降NCCUのオフェンスをウー ツーカイの3Pショット1本成功のみに抑え逃げ切った。

第4試合(WUBS2024 GAME8)
シドニー大(オーストラリア) 77(28 16 15 13 5)
高麗大(韓国) 82(22 22 14 14 10)


フィジカルな戦いとなったこの一戦ではリ ドンジン(写真中央)の攻守両面の存在感が光った(写真/©WUBS2024)

昨年の7-8位決定戦の再戦となったDAY2最終戦は、前の試合に続くオーバータイムの末、高麗大が接戦をしぶとく制して決勝進出を決めた。

序盤から大きく点差が離れることのない激闘を先に一歩リードしたのはシドニー大で、ガードのマイキー・ヨーンを中心に28-226点差をつけて第1Qを終えた。しかし第2Qには高麗大がディフェンスの強度を上げ、このクォーターの失点を16に抑えて前半終了時点で44-44の同点に。

後半も一進一退の展開が続く中、シドニー大は第4Q残り150秒にマシュー・ウェイチャーのドライビングフローターで72-675点差をつけて優位に立った。しかし、以降レギュレーションの40分間を終えるまで得点することができず、逆に高麗大はソク ジュンフィのフィールドゴール、リ ドンジンとリ ゴンヒのフリースローで72-72の同点に追いつく。残り24秒のリ ゴンヒのフリースローは、1投目を成功させた後の2投目に逆転がかかっていたが、これはゴールにはじかれ、勝負はそのままオーバータイムに突入した。

オーバータイムはウェイチャーのドライビングレイアップでシドニー大が74-72と先行したが、高麗大はガードのシム ジュオンが速攻でレイアップを決め返して同点。さらにリ ドンジンが残り218秒に値千金の3Pショットを決めて77-74とし、残り2分を切ってからのフリースローで78-74とリードを2ポゼッション差に広げた。結局このリ ドンジンのフリースローが決勝点となり、高麗大の勝利となった。

オーバータイムのヒーローとなったリ ドンジンは24得点。77点目となった3Pショットは「何も考えず無心で打ちました。自信を持って打ちましたし、手を離れた瞬間すぐに入るとわかりました」と笑顔。守っては3-2ゾーンが奏功したが、チュ ヒジョンHCによれば国内ではあまり使わないのだそうだ。「今大会はフィジカル面で相対的に弱さがあると判断して使っています」とのことだったが、チームの強み弱みを整理した好采配だったのではないだろうか。

これでDAY3の決勝戦はデ・ラサール大と高麗大の顔合わせとなった。高麗大は今年1月にフィリピンに遠征した際デ・ラサール大と対戦し、勝利しているとのことだが今回はどうか。見応えのある一戦を期待しよう。

取材・文/柴田 健(月刊バスケットボール)

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