【WUBS2024 DAY1レポート】4強出そろう――日体大、白鷗大、日本学生選抜は順位決定戦へ
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第3回を迎えるWUBS(Sun Chlorella presents World University Basketball Series=世界大学バスケットボール選手権)が8月10日に国立代々木競技場第二体育館で開幕した。初日は1回戦4試合が行われ、デ・ラサール大、国立政治大、シドニー大、高麗大がそれぞれ勝利。日本勢は日体大、白鷗大、日本学生選抜とも準決勝進出はかなわなかった。
今大会は日本のほかにインドネシア、韓国 オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ、フィリピンから全8チームが参加して大学バスケットボール界の世界一を決する。明日11日(日)のDAY2は、初日と同じ代々木第二で準決勝2試合と順位決定戦2試合が行われる。
DAY1試合結果
GAME1
ペルバナス・インスティテュート(インドネシア) 71(13 24 17 17)
デ・ラサール大(フィリピン) 117(30 37 22 28)
フィリピンとインドネシアの大学王者同士の対戦となったWUBS2024のグランドオープニング・ゲームは、デ・ラサール大が117-71と快勝を収めた。デ・ラサールはフィリピン代表フォワードのケビン・キンバオが豪快なダンクや軽快なドライビングフローターなど持ち味を発揮して16得点、16リバウンド、4アシスト、2スティールを記録。身長201cmのビッグマンで日本語も勉強中というマイク・フィリップス(15得点、8リバウンド、3スティール)、切れの良いドライブや3Pショットで会場を沸かせたシューティングガードのJCマカララグ(12得点、FG成功率66.7%、3P成功率50.0%)らも躍動した。
ケビン・キンバオのダンク(写真/©月刊バスケットボール)
一方のペルバナスは、5-6とほぼ互角に渡り合っていた試合開始約3分の時点で、インドネシア大学リーグでファイナルMVPに輝いたガードのグレーンズ・タンクランが負傷退場する不運に見舞われたことが、特にオフェンス面では響いた形。序盤はポイントガードのジェイコブ・ロブが相手のプレッシャー・ディフェンスを交わしながらうまくプレーメイクできていたが、デ・ラサール大が第1Q半ば以降フルコートプレスの強度を上げると、ターンオーバーが続いてしまった。10得点を挙げたフォワードのフェルナンド・マナンサンや11得点、6リバウンドのアーガス・サニュディらが奮闘し、タンクランも終盤コートに戻ることはできたものの、デ・ラサール大のインテンシティーに対抗し切れずに突き放された。
GAME2
国立政治大(チャイニーズ・タイペイ) 79(24 11 24 20)
日本体育大(日本、スプリングトーナメント優勝) 71(14 15 18 24)
36得点、26リバウンドというムトンボの驚異的な活躍も及ばず、日体大は順位決定戦に回ることに(写真/©月刊バスケットボール)
ディフェンディング・チャンピオンのNCCUに対し、日本体育大は西部秀馬の3Pショット、小澤飛悠とムトンボ ジャン ピエールのレイアップで7-0のランという好スタート。しかしその後シュートの確率が上がらず逆に7-24のランを食らい、第1Qで14-24と2桁のビハインドを背負った。
NCCUは、ゾーンディフェンスを中心に据えた昨年のチームとは異なるコンセプトで、マンツーマンで守る時間が長かったが、これが効果てきめんだったようだ。チェン ツーウェイHCによれば「④(小澤)と㊶(石川響太郎)に好きにさせないようにということを念頭に、ぴったりくっついていくディフェンスを心掛けた」とのこと。日本体育大はムトンボ ジャンピエールが36得点、26リバウンドというモンスターゲームを披露したが、ペリメーターからのオフェンスがなかなか機能せず第2Q以降もペースをつかむことができないまま。FG成功率は試合を通じて33.8%(71本中24本成功)、3P成功率は19%(26本中5本成功)と苦しみ、逆に相手のドライブ&キックからの3Pショットが要所で決まり、厳しい展開となってしまった。53-70と17点差をつけられた第4Q残り5分56秒から、月岡煕の3Pショットとムトンボの連続得点で9-0のランを展開し追い上げたが、逆転はかなわず。NCCUが準決勝進出を果たした。試合後月岡は、「終盤に3Pなどで流れを作れましたけれど、それが早い時間帯からできていれば…」と唇をかんだ。
GAME3
白鷗大(日本、インカレ優勝) 67(11 19 20 17)
シドニー大(オーストラリア) 70(13 19 24 14)
佐藤はチームハイの18得点に8リバウンド、6アシスト、1スティールでチームを鼓舞したが、昨年に続く4強入りはならなかった(写真/©WUBS2024)
昨年のWUBSでは勝ち星を挙げられずに帰国したシドニー大が、今年は初戦で前回準優勝チームの白鷗大を1ポゼッション差で破る殊勲の勝利を手にした。白鷗大は第1Q半ばまでに9-5とリードしたが、最終的にはこのクォーターを11得点で終え、11-13とビハインドに。その後もオフェンス面でイージーバスケットと思われたところを決めきれないなど波に乗ることができず、逆にシドニー大は、白鷗大が反撃を試みるたびにその勢いをくじくようにガードのマイキー・ヨーンらが得点を重ねた。ヨーンは3P9本中6本成功を含む24得点。また、第4Q残り3分を切って65-65のところからは、センターのキーラン・ゲイツがタフなレイアップと3Pショットを決めきり、69-71の残り10秒には同点の可能性があった佐伯崚介のリバースレイアップを空中で叩き落し勝利を引き寄せた。
試合後白鷗大の網野友雄監督は、「前半は少し自分たちで空回りしている感じで、一人がボールを持ちすぎたりオープンを見つけられなかったりしていました。後半少しずつ良くなってきましたが、決めきらなければいけないシュートやフリースローを落としてしまいましたね」と悔しそうな表情。白鷗大はこの試合でFG成功率が34.2%(73本中25本成功)、3Pは16%(31本中5本成功)と精彩を欠き、フリースローも42%(30本中14本成功)にとどまっていた。ガードの佐藤涼成も「久しぶりの試合で全体的に受け身になった部分がありました。タイムアウト明けに集中が切れて引き離されたり、簡単に決められる2Pを落としたことで追いつけませんでした」と反省しきり。逆に殊勲の活躍だったシドニー大のゲイツは「コーチと仲間たちのおかげでうまくプレーできました。このまま2試合目でも張り切ってプレーしていきたいです!」と笑顔を輝かせた。
GAME4
日本学生選抜(日本) 72(22 19 21 10)
高麗大(韓国) 79(21 20 13 25)
オフェンスでもディフェンスでもアグレッシブにプレーした轟だったが、勝利には届かなかった(写真/©WUBS2024)
接戦となったDAY1最終戦は、高麗大が終盤のスパートで日本学生選抜を倒し4強入りを決めた。第4Q残り6分時点で70-62と8点リードしていたのは日本学生選抜。しかし、チームハイの8リバウンドをつかんだ横山蒼太(東海大2年)がファウルアウトとなったあたりから、高麗大にセカンドチャンスを明け渡す場面が増えた。高麗大は残り4分53秒にムン ヨヒョンがペリメーターでリ ドンジンとのコンビプレーから3Pショットを沈めたところから怒涛の3P攻勢。同時に、日本学生選抜の西尾吉弘HCが「(リードを)守ろうとしたわけではなかったのですが、勝ちが見えてきて疲れも出てきて、(チームメイトを)探し始めてしまった」と振り返ったこの時間帯は、日本学生選抜のオフェンスが機能不全を起こしてしまう。高麗大は一気に14得点を連取。日本学生選抜は塚本智裕(大東文化大3年)が残り1分39秒にタフなコンテストを受けながらレイアップをねじ込むまで自らの得点を動かすことができなかった。
41-41の同点で始まった第3Qの序盤に強度の高いディフェンスから12-0のランを展開するなど、日本学生選抜がペースをつかんでいた時間帯も長かった。62-54でリードしていた第3Q終了時点までは、3Pショットも44.4%の高確率(18本中8本成功)。個々にも、アグレッシブなオフェンスでチームハイの13得点を記録した轟琉維(東海大2年)や、その轟からのアシストでファウルを受けながら豪快なボースハンド・ダンクを叩き込み3Pプレーを成功させた深澤桜太(中央大1年、得点はこのプレーでの3得点のみだが5リバウンドを記録)など、日本学生選抜の名に恥じないパフォーマンスが随所に見られた。
それだけにクローズの時間帯は悔やまれる。逆に高麗大は、疲労が出てくる時間帯に3Pショットを決めきる勝負強さが光った。
取材・文/柴田 健 (月刊バスケットボール)