月刊バスケットボール1月号

NBA

2024.08.08

スケッチャーズ・バスケットボールが日本に初進出——ジュリアス・ランドル(ニックス)とテレンス・マン(クリッパーズ)が原宿店舗に登場

写真/圓岡紀夫/©月刊バスケットボール

昨秋バスケットボール界への参入を果たしたライフスタイル・ブランドのスケッチャーズだが、いよいよ日本でもそのプロダクトラインの展開が始まった。最新バスケットボールシューズ「SKX NEXUS」の発売日だった86日には、原宿の店舗で日本初上陸を記念するイベントも開催。契約アスリートでNBAスターのジュリアス・ランドル(ニューヨーク・ニックス)とテレンス・マン(ロサンゼルス・クリッパーズ)が来場したメディアの取材に応じただけでなく、その後代々木公園のバスケットボールコートで体を動かし、マンは日本の若者たちとのピックアップゲームにも参加した。



代々木公園のコートに登場したマン(左)とランドル(右) 写真/圓岡紀夫/©月刊バスケットボール

当日はアメリカ本部のデビッド・ワインバーグCOOも来訪し、「日本は特別な場所。プロバスケットボール・プレーヤーと一緒に日本に来るのは初めてですが、それもマーケットとして重視しているから。これから何度も来られたらいいなと思っています」と日本のバスケットボール市場への進出に向けた意欲を語った。

日本法人のデイビッドK.トダ代表によれば、バスケットボール界に参入した理由は「若い世代によりアピールして共感していただきたいから」とのことだ。「バスケットボール本来のカッコよさをうまく活用して、ライフスタイル・シューズに加え選手が使える高性能なシューズまで幅広いレンジの商品を提供していきたいと考えています」


左からランドル、ワインバーグCOO、トダ代表、マン(写真/圓岡紀夫/©月刊バスケットボール)

日本におけるバスケットボール・アイテムの取り扱いは、実店舗では原宿、心斎橋、渋谷、新宿の4店舗のみ。しかしこの日からスケッチャーズ公式オンラインショップでの販売が始まっており、全国からスケッチャーズのバスケットボールシューズを購入することができる。

日本市場の開拓の旗艦モデルはテレンス・マン着用「ネクサス」

ランドルの「レイン」も秋口に発売開始

スケッチャーズが同日発売に踏み切ったのは、来日したマンが2024-25シーズンに着用する「ネクサス(SKX NEXUS)」と名付けられた旗艦モデルと、エントリーモデルというポジショニングの「リーグ(SKX LEAGUE)」、そして昨シーズンランドルが着用した「リサグリップ(RESAGRIP)」の3機種。マンはこの日、ネクサスの日本未展開カラーを着用して原宿の街を闊歩していた。

SKECHERS SKX NEXUS BPPK ¥16,390-

BPPK


WBRD


※テレンス・マン、リケア・ジャクソン着用カラー(日本未展開)

またランドルは来シーズン着用するという「レイン(SKX REIGN)」を着用していたが、こちらは秋口の発売予定だという。

SKECHERS REIGN


後発ブランドのスケッチャーズだが、ランドル、マンのほかにジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、リケア・ジャクソン(WNBAロサンゼルス・スパークス)とも契約し、勢いを強めながら日本に乗り込んできている。しかしなぜNBAスターの注目・信用を集められたのか。その背景には、少なくとも3つの要素があるようだ。

一つは開発力の高さ。一昨シーズンまではスケッチャーズを意識することはほとんどなかったというランドルは、昨シーズン着用してみて性能の高さに驚いたという。レインについては、「僕にとって完璧なシューズ。履き心地がめっちゃよくてコート上でプレーしやすいし、外見もかっこよくデザインされています」と絶賛した。異なるタイプのネクサスを着用するマンも、「履き心地が良くて、軽量なのもいいですね。1日中歩き回ったりプレーしていられますよ」と性能に太鼓判を押す。マンは支援体制が充実していることにも言及。ランドルは「シューズに対するとてつもない情熱があるとも思った。ファミリーとしてこの挑戦を真摯に受け止めていると感じて、契約できたことを光栄に思っています」と語っている。


写真/圓岡紀夫/©月刊バスケットボール

多くのNBAスターが敬愛するヒップホップスターのスヌープ・ドッグをはじめとしたブランド・アンバサダーの顔ぶれとその多様性も、スケッチャーズ・ファミリーの価値を高めているようだ。ランドルは「(スヌープと)力を併せて一緒にブランドを応援できるなんて幸せ」と語り、マンも「偉大なアーティストでヒップホップの文化を変えてきた人」と敬意を表していた。


写真/圓岡紀夫/©月刊バスケットボール

さらに、大御所とともに後押しをするブランドが後発であればこそ、スポーツ界を席巻する有名ブランドに対抗しようという下剋上の物語が彼らの挑戦意欲を強く刺激している。マンはスケッチャーズについて、「グラウンドアップ」、「アンダードッグ」という表現を使い、追いかけ、追い抜いていく立場であること自体がファミリーに加わる判断のカギだったと語った。ランドルは「一泡吹かせる力があるし、その力になりたいと思った」とブランドの取り組みに自信を見せている。

スケッチャーズは1992年にアメリカ、カリフォルニアで誕生したライフスタイル・ブランド。しかし近年はピックルボール(テニスに似たラケットスポーツ)、サッカー、ゴルフそしてバスケットボールなど複数のスポーツで機能性を重視したパフォーマンスシューズを市場に送り出し、スポーツ界での存在感を強めている。バスケットボール界への参入は昨年秋で、来日したランドルとマンがブランドファミリーに加わったところが歴史の始まりと言っていいだろう。マーケットにおける新たなプレーヤーとして、バスケットボール界に旋風を巻き起こす予感は十分。スケッチャーズの今後の展開に注目だ。



取材・文/柴田 健 (月刊バスケットボール)

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