パリ2024オリンピックに出場した男子バスケットボール日本代表が8月5日に帰国し、トム・ホーバスHC、渡邊雄太、河村勇輝の3人がメディアの取材に応じた。日本は今大会で、いずれも格上のドイツ、フランス、ブラジルに3連敗を喫したが、開催国フランスを相手にオーバータイムの激闘を演じるなど堂々世界と渡り合える力があることを示した。

ホーバスHCは「本当に目標をできなくて残念」としながらも、「日本のバスケットを世界に見せられたかなと思います。選手たちのエネルギーもバスケットもすごく良かった。全部出しました」とすがすがしい表情。「ワールドカップよりも今回の方がバスケットは良かったと思う」とも話した。

フランス戦のオーバータイム5分間を除くレギュレーションの40分間で、平均94.3失点と苦戦したディフェンス面については、「相手の力かなと思う。全員が小さいアジャストメントをすることでディフェンスは良くなる」と将来的には希望を持っている様子。「去年よりも良かった。そして来年の方がもっとできるかなと思います。ワールドカップとオリンピックの経験もある」と話し、今回のチームに大きな可能性を感じた大会になったようだ。


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男子日本代表のヘッドコーチを継続するかどうかという問いに対しては、「これからJBAといろいろ話します」と話し「やりたい気持ちはすごくある。この選手たちがすごく好きです。でもそんなに簡単な答えじゃないです」とのこと。「終わったばかりで大きな判断をしたくない」と心境を素直に言葉にしていた。

渡邊はこの大会を振り返りながら「このチームの一員になれて誇りに思います。この3試合の戦い方を含めて、日本が今までよりも強くなったなと。過去にいろんな負けを経験しながら感じてきたものと比べて、成長できたなと感じられました」と手応えを語った。「目標に到達できず3連敗で前回と同じという現実は変わらないので、悔しさは残っています。でもみんな最後まで自分たちのやるべきことを集中してコートでプレーできましたし、これをきっかけにまた日本がより強くなれるんじゃないかと感じました」


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今大会での渡邊は出場時間がチームハイの平均36.9分。得点面をジョシュ・ホーキンソンや河村に任せて自身はロールプレーヤーとして大車輪の活躍だった。平均11.7得点、3P成功率35.0％に6.3リバウンド、1.7ブロックと攻守で堅実な貢献ぶり。今後目指すべきプレーヤー像を聞くと「求められたことをやりたい」とチームプレーヤーらしい言葉が返ってきた。また、年を経るとともに現在のような「長時間労働」が困難にありはしないかという問いに対しては、「これから年齢とともに体が衰えていってもちゃんと40分間走れるだけの体を常に準備しておきます」と頼もしい回答を聞かせてくれた。

ホーバスHC、渡邊と同様に河村もやはり結果として目標達成に至らなかったことについては「悔しい気持ちでいっぱいです」と残念な思い。ただ、「日本のバスケットボールがどんなものなのか、進化した姿は世界中に伝わったと思います。あとは結果を出すだけ。いいところもあれば、3連敗ということで足りなかったものもあったと思うので、このオリンピックは必ず日本がもっともっと強くなるきっかけになると思います」と総括は前向きだ。昨夏のワールドカップで世界レベルの実力を見せつけた河村は、パリ2024で平均20.3得点、3P成功率40.6％、7.7アシストを記録し、すでに各国のトッププレーヤーからリスペクトを得る存在。大いに自信を深めたことだろう。

ファンの声援も大きな力に

コーチも選手も悔しい結果を分かち合いながら前向きな思いを共有して帰国したことが感じられる会見だったが、そのような心境になれた要因にはファンの力もあったようだ。ホーバスHCは「今日羽田空港に着いて、あれだけの応援を見てすごくびっくりしたしうれしいです」と笑顔。渡邊は大会中のアリーナの様子について、「ドイツ戦も、フランス戦もブラジル戦も日本への声援がすごくて。フランス戦はもちろんアウェイでしたけど、僕たちがいいプレーをした時の歓声は、やっていてアウェイ感を感じないぐらいすごかったです」と振り返った。

その感覚は河村も同じで、「3試合ともホームじゃないかと感じるぐらいの声援と雰囲気」だったそうだ。「日本からたくさんの方に応援してもらっているのも僕たちは感じていて、だからこそ結果で恩返ししたかった」と話す河村の瞳には厳しさが宿っていたが、若きライジングスターは「皆さんの応援は本当にかけがえのない素晴らしいものだったなと感じています」と丁寧に感謝を言葉にしていた。