月刊バスケットボール1月号

UA NEXTトライアウト@東京 自分の可能性を信じる逸材たちが躍動

50名の腕自慢が集まった東京のトライアウト会場




「ゴーゴー」「ヘルプヘルプ」「ハリーアップハリーアップ」「ナイスナイス」。コートサイドで見守る選手からそうした声が自然発生し、10分間のピックアップゲームを終えた選手からは「オフェンスはいい感じだったから次はディフェンスを頑張ろう」「スイッチに気をつけよう」といった言葉が出るほどの熱戦が繰り広げられたのが、「UA NEXT」の東京トライアウト会場(7月15日)だ。

「UA NEXT」はアンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームが主催するイベントで、8月28日~30日の3日間、アンダーアーマー菅平アリーナ(長野県上田市)にて“世界を知る”特別なコーチによるトレーニングを受けられるというもの。高校1~3年生を対象としたこのイベント、昨年はBユース(U18)に所属する選手たちが沖縄でのキャンプに参加したが、『日ごろのクラブチームの練習とは一味違ってとてもよかった』と大好評だったもの。そこで今年は大阪と東京でトライアウトを行い、そこから選抜された12名が晴れてアンダーアーマー菅平アリーナでのキャンプに参加できる形式となった。

東京のトライアウト会場に姿を見せたのは50名。100名以上の応募があったため「フィジカルだけで選んだわけではないのですが、バスケットにおいては大事な要素の一つなので参考にはしました」(株式会社ドームの密川秋花氏)というセレクトを経て集まった選手たちは、自ら志願してきただけありドリブル、シュートといった基本スキルが高く、会場で初めて会った選手同士が組んでもレベルの高い内容を展開。1on1からのドライブでの突破、プルアップジャンパー、キックアウトからの3Pシュートを次々と決めていく。またサイズの大きい選手同士も空中戦をバチバチとやり合い、ファウルもあったが、それがより熱い戦いを生む要素ともなっていった。

選考では現在の能力、そして成長の可能性を考慮


ふだん一緒に練習しているチームメイトと戦うのとは違い、ピックアップゲームではどうしてもオフェンス有利になりがちで、しかも腕自慢の選手ばかりのためボールを失うことはほとんどないが、だからこそ「ディフェンスでは1対1でどれくらい守れるかを見ていました。ボールを奪えなくても、ボールに触りにいったり、オフェンスにダメージを与えている選手には自然と目がいきました」と言うのは、メインで選考に関わった大浦宗博氏(株式会社ERUTLUC)。

オフェンスについては、「ボールを持ちすぎると、どうしてもオフェンスが重くなるので、どれだけドリブルが有効打になっているか。いいタイミングでボールを離すことも大切です」と大浦氏。加えて、「ボールを持っている選手が1対1を積極的にやるので、それに伴って隣の選手はスペースを作っているか、リバウンドにしっかり入っているか、ということにも注目していました。あとは、スクリーンに引っ掛かったあとでも諦めずに追い掛けているか、切り返しのディフェンスでしっかり戻れているかということもチェックしていました」という。

今回の東京会場と、6月30日に大阪会場で行われたトライアウトに参加した選手の中から、誰が12名に選ばれるか決定するのは7月末だが、「UA NEXT には『次世代を担うバスケットボールプレーヤーへ世界基準の指導に触れる機会を提供する』というテーマがあります。現段階のスキルやパフォーマンスはもちろん評価しますが、それにプラスして今後アンダーアーマーが提供する世界基準のトレーニングを受けて成長できそうな人ということも選考材料となります」と密川氏。

能力とポテンシャルを持った選手たちが集まって特別な指導を受けるUA NEXTは、日本のバスケット界を代表するような未来スターを生み出す場となるかもしれない。

参加選手の声


木村 魁斗
(下妻第一高校3年生/177cm)


高校の外部コーチにすすめられてトライアウトを受けました。自分のバスケットがどこまで通用するのかということだけでなく、将来スポーツイベントなどを企画する職業に就きたいと思っていて、どのように運営されているのかも知りたくて応募しました(笑)。
自分が武器としているのは3Pシュートです。小さいころ父がバスケリングを買ってくれたので、暇さえあればシューティングばかりしていました。父はバスケットの指導者でもあったので、細かいテクニックをしっかり教えてもらえたこともよかったと思います。
ピックアップゲームでは、最初チームメイトとうまくコミュニケーションが取れませんでしたが、試合を重ねるごとにそのチームワークと仲がよくなり、『どんなスポーツをするしても、やっぱりコミュニケーションは大事だな』と感じました。


大野田 翠
(習志野高校3年生/170cm)


ステフィン・カリー選手が好きで、アンダーアーマーも好きだったので、ホームページでトライアウトのことを見つけてすぐに応募しました。
ポジションはガードで、プルアップジャンパーやピックを使ったプレー、アシスト、アウトナンバーになったときのパスなどが得意ですが、一番に考えているのはチームメイトのよさを引き出すこと。高校の監督がもともとガードの選手で、いろいろいと教えてもらったことで成長できたと思っています。
今回のトライアウトでもみんなの得意なことを聞いて、どうすればその選手が生きるかを考えてプレーしました。また相手選手の特徴を見極めるのも得意で、今回のピックアップゲームでも、自分がマッチアップする選手だけでなく、ほかの選手のことも見てチームメイトに特徴を伝えたりしました。


前田 ヘンリー有聖
(開志国際高校3年生/180cm)



トライアウトがあることはInstagramで知りました。将来アメリカでプレーするのが目標なので、それにつながるようなものが得られるんじゃないかと思い応募しました。
僕が信条としているのは『成長するためには練習あるのみ』です。身長180cmとバスケットボール選手としては小さいほうなので、外からのシュート力を上げること、競り負けない体を作ることを特に頑張っています。
ピックアップゲームでは積極的にドライブやシュートにいくこと、泥臭くリバウンドを頑張ること、チームメイトのみんなが分かりやすいように指示を出すこと、そしてチームメイトの意識が高まるような声かけをすることを心がけていました。
今回トライアウトに参加して一番印象に残ったのがみんな元気だったこと。特に勝利への執念が強く、やっぱり気持ちが大事だと改めて思いました。



会場ではシューズ試履会も行われ、トライアウトの合間にアンダーアーマーのバスケットボールシューズを履く選手が多く見られた。

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