月刊バスケットボール1月号

東海大会は岐阜県勢が男女で優勝! 男子・美濃加茂、女子・岐阜女が強さを示す

桜花学園にリベンジを果たし喜びを爆発させた岐阜女

  • 関東ブロック大会2024バスケットライブ
全ブロック大会の締めくくりとして6月2930日の2日間、岐阜県の岐阜メモリアルセンターほかで「第71回東海高等学校バスケットボール競技」が開催された。男子は美濃加茂が悲願の初優勝、女子は岐阜女が桜花学園を下して3年ぶりの優勝となり、男女ともに岐阜県勢が地元のファンを沸かせた。

大会1日目を終え、男子は美濃加茂、高山西、中部大第一、藤枝明誠の4チーム、女子は岐阜女、浜松開誠館、安城学園、桜花学園の4チームが準決勝に勝ち上がった。

中でも男子岐阜3位の高山西は、桜丘との1回戦を延長戦の末に勝利。そのまま勢いに乗って続く2回戦で四日市工に快勝し、ベスト4へと名乗りを上げた。なお、岐阜2位の富田は2回戦で藤枝明誠と対戦。22点ビハインドで入った4Qに怒とうの反撃を見せて同点に追い付いたが、最後は#32野田凌吾、#13渡邊聖に勝負強い3Pシュートを決められ力尽きた。

機動力を生かした美濃加茂が藤枝明誠を圧倒

 大会2日目、男子準決勝のうち美濃加茂と高山西による岐阜県対決は、序盤、高山西が食らいついたものの、2Q以降、激しいディフェンスで相手のミスを誘った美濃加茂が先行。そのまま8359で勝利した。もう一方の準決勝、藤枝明誠と中部大第一は、前半まで接戦になるものの3Qで抜け出したのは藤枝明誠。追いすがる中部大第一を振り切り、下級生主体のチームながら価値ある勝利を手にした。


2年生の野津は今年の藤枝明誠のエーススコアラーだ

こうして決勝戦は、藤枝明誠と美濃加茂による昨年同様のカードとなった。前年大会は藤枝明誠が延長戦で勝利したが、今年度は美濃加茂が出だしから主導権を握る。序盤から#5後藤宙や#7関健朗が内外角から得点を重ね、開始3分で13‐3。その後も激しいディフェンスから速攻に走って#6エブナ・フェイバーのダンクや#4藤田大輝の得点などで勢いに乗り、前半を終えて6922と大差を付けた。後半はやや追い上げを許したものの、最終スコアは11173。圧倒的な強さで、東海新人大会に続く栄冠を手にした。

大会を終え、「準決勝の2Qと決勝の1Qは合格点を出したい。その時間帯は、ボールもよく動くし、ディフェンスも連動してバスケットができました」と美濃加茂の林龍幸コーチ。試合の中で緩む時間帯はあるものの、前からプレッシャーを仕掛け、4アウトの形で機動力を生かした戦い方には大きな手応えを得ている様子だ。新チームになってから高校生相手にはいまだ負けなしで、選手たちが口をそろえる目標は「日本一」。昨年のインターハイは無念の1回戦敗退だっただけに、1年越しの雪辱を果たしたい。


美濃加茂のダブルキャプテン、藤田(写真)と関の成長が今年のチームの好調ぶりを支えている

一方、準優勝となった藤枝明誠は、前日の2回戦で大黒柱#99ボヌ ロードプリンス チノンソがケガで離脱し、戦い方を大きく転換せざるを得なくなった。準決勝、決勝と1年生留学生の#44アメー エマニュエル チネメルンが奮闘したものの、最後は足を攣ってベンチへ。決勝では#19野津洸創が14得点、控えの#35柴田陽が18得点、#6槍垣奏太が19得点と、2年生トリオが積極性を見せたが、一矢報いることはできなかった。とはいえ、ガードの#32野田凌吾以外は主力がほぼ1、2年生の下級生チーム。大舞台での貴重な経験を胸に、インターハイに向けてさらに進化したいところだ。

東海新人・全関西と敗れていた岐阜女が桜花学園にリベンジ

女子準決勝では、岐阜女が浜松開誠館と、桜花学園が安城学園と対戦。堅いディフェンスでそれぞれ失点を40点台に抑え、快勝を収めて決勝へと駒を進めた。

“2強”対決となった女子決勝戦。出だしは桜花学園がリードしたものの、岐阜女も立て直して結局1Qは1313の同点となる。2Q以降もクロスゲームが続いたが、#9杉浦結菜のドライブ、#7ディヤイ ネイのゴール下シュートが決まり、2924と岐阜女が5点リードして後半へ。

3Q、なかなか得点が伸び悩む桜花学園。対する岐阜女も桜花学園の素早いカバーに阻まれて得点が止まる。ロースコアなまま僅かに岐阜女がリードして入った4Q、序盤で桜花学園は#14竹内みやのジャンプシュートで4747の同点に追い付いたものの、そこから岐阜女が連続得点。さらに#5安藤美優が足を攣って下がるが、交代で出てきた小松美羽がドライブをねじ込み、残り2分で岐阜女が6点リードを奪った。桜花学園はタイムアウトを挟むものの、その後も得点が伸びず。そのまま岐阜女が5851で勝利した。

新チームになってからここまで東海新人、全関西大会と桜花学園に敗れていた岐阜女だが、安江満夫コーチいわく「得点が伸びなかったのですが、ディフェンスは効いていたので、戦えるという手応えはありました」。その言葉どおり、この決勝戦は成長株の2年生が積極的に点を取りにいき、キャプテンの林がケガから復帰したこともあってディフェンスのみならずオフェンスでも良い流れをつかんだ。今年は例年に輪をかけて総合力の高いチームで、「突出した選手がいるというよりは全員が10点前後ずつ取れるので、相手からすればアジャストしにくいチームなのではないかと思います」と安江コーチは強みを語る。

一方、桜花学園の井上眞一コーチは「オフェンスのスペーシングが全然ダメで、ドライブで切っていけなかった。また、ディフェンス面でも簡単に3Pシュートを打たれ過ぎです」と攻防の両面で課題を得た様子。これでインターハイのシード権は岐阜女が得て、桜花学園はノーシードでの参戦となる。井上コーチは「下位回戦から留学生のいるチームを3つくらい倒さなければいけない可能性もある」と、インターハイに向けて警戒を強めていた。組み合わせで桜花学園がどこの山に入るのか、注目が集まる。


1年生ながら桜花学園でスターターに名を連ねる竹内


取材・文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)



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