月刊バスケットボール8月号

富永啓生がカリーブランド契約選手に。憧れのカリーからもらった希望を伝えていきたい

東洋英和の生徒たちが描いた歓迎のボード



NCAAディビジョン1のネブラスカ大を卒業し、日本代表の強化合宿に合流した富永啓生が、アンダーアーマーが展開する「カリーブランド」の契約選手となったことが発表され、615日に調印式が行われた。カリーブランドは3Pシュート通算成功数のNBA記録を持つステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ) のシグネチャーブランドで、富永は同ブランドの世界で4人目、アジア出身としては初めての契約選手となった。


今回の契約に際しカリーは「ケイセイをカリーブランドファミリーの一員に迎え入れることをとてもうれしく思っているよ。また、これをきっかけに、我々のブランドミッションをアメリカ以外の広い社会に伝えていくことができることを期待している。ケイセイはバスケットボールに対する熱意があり、世界中のアスリートに常にインスピレーションを与え続けている選手であると思っているんだ。私たちの力強いパートナーである日本のアンダーアーマーのメンバーと共に、すばらしいアスリートのラインアップが強化されていることにとても喜びを感じている。ケイセイと他の『カリーブランド』の契約選手と共に今後もバスケットボール界にインパクトといい流れを届けていこう」とコメントを寄せている。

憧れの存在であるカリーブランドの一員となった富永は「夢の一つがかなった」と喜びを表した。「カリー選手も大学時代はそこまで評価されていなかったのですが、NBAのトップ選手に上り詰めました。自分にも似たような部分があるのかなと思いますし、アンダードッグの選手として見習ってやっていきたい」と話す。同席したアンダーアーマーの日本総代理店・株式会社ドームの北島義典代表取締役CEOも「アンダードッグとは『勝つ見込みのない人、チームに対して使うのですが、アンダーアーマーというブランドが1996年にスポーツ市場に参入したとき、多くの人がすでに強力なブランドが大きなシェアを占めている成熟した市場で、アンダーアーマーの参入は難しいだろうという見方がありました』とブランドの歴史を振り返りながら、「アンダーアーマーの根底には、アンダードッグの精神、『負けても、負けても這い上がる』『勝つためには誰よりも努力する』というものがあります。富永選手も決して大柄な体格ではありませんが、3Pシュートを武器にして、アメリカでも大きな選手に立ち向かい、アンダードッグの精神を持ち合わせています」と契約に至った背景を明かした。


また、2018年、2019年と同社のイベントでカリーと対面したことがある富永は、そのときにカリーからかけられた「やるべきことをやり続けろ。どんな辛いことがあってもあきらめずにやり続けろ」といった言葉が、アメリカでの挑戦を続けるなかで苦しかったときにも支えになったと語った。

SNSでもメッセージをもらうなどしたカリーを「神」と敬う富永。アンダーアーマーでのイベントで、そうした「神」と出会う機会を得たことが自分の力になったことを振り返り「これからは自分がカリー選手のように、これからの子どもたちや、バスケットボールをやっている選手たちに、機会、希望を与えられるような選手になっていきたい」と抱負を話した。




カリーブランドとの契約発表後に富永は東洋英和女学院中学・高等部を訪れ、シューティング・クリニックを行った。2018年にカリーのイベントの会場となった同校は、富永にとってカリーとの出会の地。最高の思い出の詰まった体育館でのクリニックに、「5年前には逆の立場だったのですが、昨日のことのようで…。カリー選手が自分に伝えてもらったことを、また次の世代に伝えていければ」と臨んだ。選手たちに「一番意識していることは、フォロースルーでしっかりと指先をリングに向けること。また、手だけで打つのではなく脚も使って」などとアドバイスを送り、ハーフラインからの3Pシュートや後ろ向きでのシュートに挑戦するなど、参加者からのリクエストに最大限に応えてみせた。東洋英和高等部3年生のキャプテン高松奈央さんは高校最後の大会を終えて引退したばかりだが、憧れの富永選手によるクリニックということで志願して参加。「シュート対決をしてもらったり、シュートを間近で見られたりと貴重な経験をさせてもらいました」と感謝の気持ちを表した。カリーから富永へと伝えられた希望の力は、確実に次の世代へと継承されていっているようだ。

まずは日本代表としてパリ・オリンピックで全力を尽くし、その後NBA入りを目指して活動していくという富永にとって、カリーブランドとの契約は大きな後押しとなるに違いない。



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