月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2024.05.29

広島初制覇!琉球に逆転を許さず、ミリングHC「勝ちじゃけぇ!勝ちじゃけぇ!勝ちじゃけぇ!」

広島が終始リードを保って初優勝を果たす


連覇を狙う琉球ゴールデンキングス(西地区2位)と初優勝を目指す広島ドラゴンフライズ(西地区3位/ワイルドカード)による「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」。GAME 1は、スタートダッシュに成功した琉球が反撃を絶って74-62で勝利。続くGAME 2は、良い立ち上がりを見せた広島が一度逆転を許したものの、堅守から得点につなげて再逆転。72-63で逃げ切って逆王手をかけた。5月28日、横浜アリーナで行われたGAME 3は互いの意地が見られる素晴らしい試合になった。

琉球はGAME1、2と同じ#7アレン・ダーラム、#14岸本隆一、#30今村佳太、#34小野寺祥太、#45ジャック・クーリーがスターターに。広島はGAME2と同じ#8ケリー・ブラックシアー・ジュニア、#12中村拓人、#13ドウェイン・エバンス、#15河田チリジ、#30山崎稜という5人で試合が始まった。
まずいい攻めを見せたのは広島。リバウンド争いで優位に立つと#8ブラックシアー・ジュニア、#12中村がシュートを成功。続けてボールマンに強烈なプレッシャーをかけていく。琉球は残り7分、#45クーリーがインサイドで決めてチーム初得点。さらに早い展開から#7ダーラムが、リバースレイアップを沈める。そのまま流れを作りたい琉球は、気迫のディフェンスを見せるが、広島は日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24で57.8%という3Pシュート成功率をマークしている#30山崎、そして#12中村が連続3Pシュートを成功。すぐに琉球#14岸本の3Pシュート、#4ローのフィールドゴールで12-12と追い疲れたが、終盤に#15河田のダンク、#7船生誠也の3Pシュートで追加点を奪って17-12として1Qを終えた。






2Qは立ち上がりから3Pシュートの応酬に。広島はまず#10上澤俊喜が3Pシュートを沈めると、すぐに琉球#15松脇圭志がディープ3Pを成功させる。その後も、うまくズレを作って攻めていく広島は、#8ブラックシアー・ジュニア、#24ニック・メイヨが立て続けに3Pシュートを決めて26-15と2桁差に広げた。これ以上離されたくない琉球は、#14岸本をコートに戻す。すると、すぐにディープ3Pを成功。さらに#4ローの3Pプレー、速攻につないで4点差とした。その後も僅差で進んでいったが、広島の35-29でハーフタイムを迎えた。前半、2Pシュートでは広島が8/16で琉球が7/16、3Pシュートでは広島が6/16、琉球が3/13といずれも広島が上回った。

3Qファーストオフェンスで、琉球は#30今村がこの試合初得点を奪うと、続くオフェンスでもフローターを決めて33-35と迫る。しかし、広島は同点にさせない。#8ブラックシアー・ジュニアのペイントエリアでの得点、#30山崎のコーナースリー、#13エバンスのレイアップ、フリースローと続けて46-35と再び2桁差に広げた。琉球は終盤に、#7ダーラムのキックアウトから#4ローが3Pシュート、広島#15河田から4ファウル目を引き出して#30今村がフリースローを2本きっちり決め、40-46と6点差にして3Qを終えた。





流れは琉球に傾きつつあるかと思われたが、4Q開始から得点を重ねたのは広島。#30山崎のアシストで#24メイヨの3Pにつなぐと#30山崎のフリースロー、#34三谷桂司朗のレイアップで追加点。琉球は#45クーリーがインサイドで、#30今村がレイアップを決めたが、残り5分で広島の53-44と9点差を作った。
オフィシャルタイムアウト後、琉球は#30今村がディフェンスを切り裂いてレイアップを成功。7点差となるが、直後に広島#30山崎は3Pシュートの機会をきっちり決めて56-46。さらに#13エバンスが、連続してターンシュートを決める。残り2分16秒で60-46に。琉球はバックコートからプレッシャーをかけていき、ファウルゲームを展開したものの、広島が65-50で勝利。一度もリードを許すなく逃げ切り、ワイルドカードから初優勝を果たした。
スタッツを見ると2Pシュート(広島14/32、琉球14/32)、フリースロー(広島10/14、琉球10/13)はほぼ同じ。3Pシュートは広島が9/26で琉球は4/24と差が付いている。




■日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24
チャンピオンシップ最優秀選手賞(MVP)
#30 山崎 稜(広島)

■日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24
日本生命ファイナル賞
#12 中村拓人(広島)




<オンコートインタビュー>
■カイル・ミリングHC
――優勝おめでとうございます。
「ありがとうございました」

――今の気持ちを教えて下さい。
「まず琉球さんに感謝したいと思います。ファンの皆さん、スタッフの皆さんと本当に素晴らしいゲームを一緒に作ることができて、本当に素晴らしいと思います。ファンの皆さん、琉球のチームスタッフ、チーム全員が本当に素晴らしいチームだと思っています。ありがとうございました」

――強敵の琉球を50点に抑えるディフェンスが光りました。
「私たちの強みはディフェンスですので、この1シーズンを通してコーチングスタッフと選手たち1人1人がこのスタイルを信じてくれて、日々努力をしてくれて、ここまで勝ち抜いてきたんだと思います。ここまで信じてくれて。選手たちに本当に感謝したいと思います」

――ワイルドカードで進出し、中地区の王者を倒し、次に西地区の王者を破り、そして前年度のチャンピオンを破ってチャンピオンに駆け上がりました。チームの成長をどう感じていますか?
「ディフェンスも私達の強みなんですけど、それ以上にチームの魂、チームスピリッツが私達の最大の強みだと信じていました。私が就任した3年前、広島ドラゴンフライズは下位のチームでしたが、コーチングスタッフを含めてスタッフ全員が僕らを信じてくれて、ここまで来られたと思っています。本当に彼らの努力に尊敬しています」

――共に日本一に上り詰めたのがアリーナを沸かしたファンの皆さんです。改めて優勝の報告をお願いします。
「皆さん、3回ね。1、2、3、勝ちじゃけぇ!勝ちじゃけぇ! 勝ちじゃけぇ!」

■#2朝山正悟
――優勝おめでとうございます。
「はい! 皆さん、ありがとうございました」

――現役最後の試合でこの光景です。今のお気持ちはいかがでしょうか。
「いや、もう何も言うことないですね。本当に夢のようです。この舞台、この景色を見させていただいたカイルコーチ、コーチングスタッフ、フロントスタッフ、最高のチームメイト、今日最高のライバルチームと戦えた、この瞬間は本当に最高でした。ありがとうございました」

――このGAME3もなかなか点差が開かない、本当に接戦でした。どういう風にご覧になっていましたか。
「本当に第3戦、そしてファイナルの舞台にふさわしい、そういった試合展開だったと思います。その中でどっちに転ぶかわからない、その中で自分たちが我慢して、最後まで勝利をみんなが信じて勝ち取った、そんな試合だったと思います」

――1つ1つのプレーに拍手を送って、タイムアウトになった時は選手を出迎えていました。どんなことを考えてチームに貢献しようと思っていたんでしょうか?
「ファイナルの舞台に立つことはなかったんですけど、みんなと一緒のように戦った。そのことだけは本当に自分自身も胸を張って言えることなので、もうただただ自分ができること、そこを考えて、とにかくチームの勝利に貢献できるようにと考えていました」

――朝山選手は、チームの初期からプレーしてこられました。Bリーグに参入した時は、B2からのスタートで日本一まで駆け上がりました。クラブの成長をどうご覧になっていましたか。
「本当に今日来てくださっている方の中にはB2時代の本当に苦しい時期を支えてくださった方もたくさんいると思います。クラブに携わった全ての人たちの思いだとか、色々なものが繋がって今日この場があるんだと思っています。本当に感謝しかありません。ありがとうございます」

――改めてファンに優勝の報告をお願いします。
広島は本当に最高のチームです。僕自身もこんな終わり方はないと思っています。皆さんの声援が最高の力になりました。ありがとうございました。




■#12中村拓人
――優勝おめでとうございます。
「ありがとうございます」

――優勝の味はいかがですか?
「本当に最高ですね。この舞台でチームメイトと一緒に、ブースターの皆さんと一緒に戦えたファイナルは、本当に楽しくやることができました。ありがとうございます」

――GAME2でも笑顔でプレーしている姿がすごく印象的でした。プレッシャーなどはなかったですか?
「本当に挑戦者の気持ちというのがあったので、この舞台を楽しんでやろうというのは思っていたので、自然と笑顔が出てきました」

――今日のGAME3は互いにディフェンス強度が高く、なかなか得点が入らないという展開でした。どういうことを考えてゲームコントロールしていたでしょうか。
「僕たちはディフェンスのチームなので、そこは自信を持ってこの舞台に来ましたし、苦しい時間帯もあったんですけど、チームメイトと一緒に助け合いながら守れて、本当によかったです」

――落ち着いてドライブで決めたり、要所での3Pシュート決めたりもありました。
「本当にチームメイトのおかげですね。スクリーンをかけてくれたり、チームメイトが決めてくれたり、僕だけではなかったので、チームメイトに感謝したいと思います」

――チームメイトで言いますと、朝山選手と1試合でも多く戦いたい、そしてケガで離脱した寺嶋(良)選手の分も、という思いもあったと思います。
「朝(朝山)さんと最後まで一緒に戦いたいと思っていましたし、何より僕は良(寺嶋)さんへの思いというのが本当に強かったので、不安になることもあったんですけど、そんなことよりもチームメイトがいてくれたおかげで、僕自身、自信をもってプレーできたので最後までこの舞台でプレーできたことをうれしく思います」

――日本一まで駆け上がりました広島のファンに向けて一言お願いいたします。
「本当にたくさんの応援ありがとうございました」


★日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24レポートは
6月25日発売「月刊バスケットボール」8月号に掲載します


写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)

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