月刊バスケットボール8月号

Bリーグ

2024.05.11

B2プレーオフ アルティーリ千葉対越谷アルファーズの見どころ――両チームとA-xx、アルファメイトの思い渦巻く千葉ポートアリーナ

ベルテックス静岡とのクォーターファイナルGAME2開始前、ブランドン・アシュリーはレオ・ライオンズのユニフォームを着ていた(写真/©B.LEAGUE)

5月11日(土)、「日本生命 B2 PLAYOFFS 2023-24」のセミファイナル、アルティーリ千葉対越谷アルファーズの見どころをまとめる。このシリーズを勝ち抜いたチームはB1昇格が決まる、負けたチームは、もう一方のセミファイナル(滋賀レイクス対山形ワイヴァンズ)の結果にもよるが、B2残留が濃厚となる。どちらも悲願をかなえるために、千葉ポートアリーナで全力をぶつけ合う。ティップオフはGAME1と翌12日(日)のGAME2が15:00、1勝1敗のタイになった場合のGAME3は13日(月)の19:00となっている。


簡単に今シーズンの両チームの対戦成績を振り返っておこう。B2どころかB1の歴代最高勝率さえ上回る56勝4敗、勝率.933という高成績で60試合を駆け抜け、東地区連覇を果たしたA千葉が、同地区2位で35勝25敗、勝率.583の越谷を5勝1敗でリードしていた。圧倒的にA千葉圧倒的優位? いや、そうとは言えない。

対戦結果を見ると、勝敗としてはA千葉が5勝1敗と優位だが、A千葉が喫した今シーズン唯一の2桁点差の黒星が越谷との2試合目(71-89)で、それは千葉ポートアリーナでの試合だった。また、6回あった直接対決での得失点差は477-476で、A千葉のリードはわずか1でしかない。それをさらに千葉ポートアリーナでの4試合に絞れば、331-328でリードしているのは越谷の方なのだ。両チームは互角だろう。

勝負の行方を左右する3つの要素——独特の雰囲気の中、先手必勝

シリーズの行方を左右する要素はどんなことになるだろうか。まず挙げたいのが先手必勝ということだ。それはもちろんGAME1を獲るということでもあるが、それ以上にGAME1への入り方が重要だ。

ホームで28勝2敗のA千葉は、キャプテンの大塚裕土が「負ける気がしない」というほど自信を持って戦えるホームコートだ。クォーターファイナルでは、その会場に連日6000人を超える大観衆が集まった(GAME1が6012人、GAME2が6018人)。

入場者数について面白い記録もある。越谷がA千葉を89-71で破った前述の今シーズン2度目の対戦(10月22日)の4506人は、A千葉のホームゲーム30試合中の最少記録だった。対して、最後に戦った4月13日、14日の2連戦では、GAME1が5542人、GAME2が5589人。両日ともクラブの入場者数記録を更新する数字だ。A千葉には、A-xx(A千葉ファンの呼称)の力が目に見える形で影響していると感じられる。

そんな中で、普段の力を思う存分発揮できることが両チームともに重要なカギとなる。昇格しようと思う前に、目の前の1ポゼッションをしっかりプレーすることをどれだけ積み重ねられるか。思いが先走っても、雰囲気に呑まれてもうまくはいかないだろう。GAME1のティップオフからの1分間、5分間。両チームがここをどんな形で乗り切るか、まずは注目だ。





勝負の行方を左右する3つの要素——リバウンドとルーズボール

6試合の直接対決で、勝敗に大きな影響を及ぼしたデータの一つがリバウンドだ。A千葉は平均41.9本でリーグ1位、越谷が41.8本で2位とほぼ互角で、オフェンス・リバウンドでもA千葉13.8(リーグ2位)、越谷12.9(同4位)とどちらもリーグのトップ5。ここは両チームの持ち味であり、以下のとおり直接対決では、特にオフェンス・リバウンドとそれに付随するセカンドチャンスが勝敗に直結する結果が出ている。

10/21 A千葉87-80越谷 OR A千葉17-11越谷 2ndCP A千葉20-13越谷
10/22 A千葉71-89越谷 OR A千葉11-20越谷 2ndCP A千葉6-29越谷
12/3 越谷65-68A千葉 OR A千葉12-10越谷 2ndCP A千葉14-6越谷
12/4 越谷80-81A千葉 OR A千葉13-13越谷 2ndCP A千葉15-14越谷
4/13 A千葉87-83越谷 OR A千葉13-12越谷 2ndCP A千葉17-9越谷
4/14 A千葉83-79越谷 OR A千葉17-8越谷 2ndCP A千葉19-10越谷

両チームともロスター変動があったので、特に参考となるのは最後の2試合かもしれないが、いずれにしてもこの項目から勝負の行方を占うことができるのではないだろうか。ロングリバウンドやルーズボールも含めて、執念を体現できること。しぶとくボールを獲り切り、それを40分間、80分間続けるタフさとしぶとさを見せたチームが勝つ。

勝負の行方を左右する3つの要素——フリースロー

もう一つ触れたいのがフリースローだ。シーズン通算では、A千葉が72.7%(17.1/23.6)で5位だったのに対し、越谷が69.2%(15.0/21.6)で、これはリーグ11位だった。A千葉は成功数とアテンプト数がともにリーグ1位で、実は越谷も成功数は4位でアテンプト数は5位だ。越谷の相対的な順位は別として、両チームはアグレッシブでフィジカルなプレーで相手のファウルを誘い、多くのフリースローを得点につなげるというのを一つのスタイルにしているのだ。

この点について、千葉ポートアリーナでは特異な傾向がある。

A千葉は、敗れた2度目の対戦で53.8%(7/13)と低調だったが、3度の勝利では81.5%(22/27)、61.5%(8/13)、64.7%(11/17)で、全体で71.9%(13.7/19.0)とシーズンアベレージに近い数値を残せている。ところが一方の越谷は、勝利した2度目の対戦で58.8%(20/34)を記録したのが最高で、ほかの3試合は47.1%(16/34)、46.7%(7/15)、53.3%(8/15)。4試合通算は52.0%(12.8/24.5)で、確率も成功数もシーズン平均を下回っている。

ここにも会場をブラックネイビーに染めるA-xxの強力な存在感がある。しかし今回、ネギばんばんをキラキラ輝かせるアルファメイト(越谷のブースター)も大勢やってくるに違いない。双方の応援で、この特異な傾向にどんな変化がみられるだろうか。

A千葉はファウル数がリーグで4番目に少ない18.7だが、越谷との対戦では21.8と約3個増えている。これは越谷がフィジカルに攻めた結果だろう。A千葉としては、ファウルを抑えながら越谷のフィジカリティーに対抗することが重要で、できる限りフリースローを与えないことと、ファウルトラブルを避ける必要がある。越谷は、少しでも多くフリースローラインに立ち、きっちり仕事をすることがカギになるのは間違いなさそうだ。

以上を踏まえ、キープレーヤーが誰かと言えば、両チームのキャプテンを務める大塚裕土と長谷川智也だ。両チームとも、一心不乱に自分たちらしいプレーをするために必要なのは折れない心。コート内外で両者はどんな姿勢を見せるだろうか。A-xxもアルファメイトも、全員2人についていく。




大塚裕土(写真上)と長谷川智也(写真下)。両チームのキャプテンを務める2人の試合に対するアプローチは、シリーズの流れを左右する要因だ(写真/©B.LEAGUE)

多くの人々にとって非常に大きな意義を持つシリーズがいよいよ始まる。両チームの健闘を心から願いたい。





文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB)

タグ: 越谷アルファーズ B2プレーオフアルティーリ千葉

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