月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.04.23

青森ワッツが2024-25シーズンのB2ライセンス交付と新経営体制を発表――新オーナー企業は株式会社メルコグループ

青森ワッツの2023-24レギュラーシーズンのホームフィナーレとなった4月14日のバンビシャス奈良戦後、コート上で行われた記念撮影会。チーム関係者だけでなく、ともに苦境に立ち向かった大勢の人々の姿がある(写真/©B.LEAGUE)

B2の青森ワッツを運営する青森スポーツクリエイション株式会社(以下ASC)は、継続審議対象となっていた2024-25シーズンのB2ライセンス交付が4月23日のBリーグ理事会で決定したことと、新オーナー企業に株式会社メルコグループ(代表取締役: 牧寛之、本社: 東京都千代田区丸の内一丁目11-1)が決定したことを発表した。


ASCの北谷稔行代表取締役社長は、クラブ公式サイトを介して「様々な事があった厳しい2023-24シーズンを乗り越えて、このようなご報告ができたのは、ブースターの皆様、パートナーの皆様、株主の皆様、青森ワッツを応援してくださった皆様のおかげです」と報告した。「本当に心から感謝申し上げます。青森ワッツは2024-25シーズンもB2のステージで戦えることになりました」




なお、北谷代表は、新体制への移行に伴い取締役ゼネラルマネージャーに就任するとのことだ。

青森ワッツは今シーズン、2931敗(勝率.483、東地区4位、ワイルドカード上位)の成績でプレーオフ進出を決めている。しかしそこまでに至る過程は、選手やコーチはもちろんクラブ関係者にとって、単に「厳しい」という一言で言い表せるようなものではなかったはずだ。シーズン半ばの216日に、突如ヘッドコーチを含むコーチ陣の刷新を発表。さらにその6日後には、大株主だったANEW Holdings株式会社の破産で経営破綻の危機に陥ったことが判明する。この窮地にクラブは、37日から応援口座を開設するなどして広く一般の人々からの支援を募る資金集めにも乗り出した。

経営破綻を回避するとともに今年度末(20246月期)期限での債務超過解消、今期決算の黒字化、今後の資金繰りの安定化。究極的な難題の解決に向け、応援口座は5000万円という高い目標を据えて始められた。それは絶体絶命とさえ思える状況だったが、4月19日、クラブは同口座への支援額10,863,916円を含め運転資金5,000万円を確保できる見通しが立った旨を発表。23日のライセンス交付と新経営体制発表を迎えることができた。

今シーズンの後半戦は、非常に不安定な状況でプレーせざるを得なかった青森ワッツ。コーチ交代まで21勝18敗と勝ち越していながら、その後8勝13敗と苦戦した流れにも、経営状況が反映されている。しかしプレーオフ開幕を前に、クラブとチームの関係者、クラブのブースター、さらには青森以外のクラブの関係者やブースターも含めた多くの人々の尽力が、最大限に望ましい形で実った。

5月3日から始まるプレーオフのクォーターファイナルは、西地区1位の滋賀レイクス(44勝16敗、勝率.733)が相手。敵地で上位相手の対戦は非常に難しいに違いないが、レギュラーシーズンの対戦は、その敵地で1勝1敗のタイだ。ポイントガードの池田祐一がアシスト王に輝くという、チームを勢いづける朗報も舞い込んだ。勝負がどうなるかはわからない。






平均7.9アシストの池田祐一がB2アシスト王に輝いたニュースも、関係者やブースターを喜ばせたに違いない(写真/©B.LEAGUE)

しかし、勝負と別の結果はすでに出た。本来プロバスケットボールチームがプロバスケットボールチームとしてコート上で向き合うべきものに、青森ワッツは向き合うことができる。周囲の人々も、健全な題材についてハラハラドキドキすることができる。クラブ関係者、ブースター、リーグ関係者を含むあらゆる支援者にとって、それは勝利だ。

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文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 青森ワッツ

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