月刊バスケットボール6月号

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2024.04.21

【第3回WUBS】高麗大学校(韓国)は日韓大学王者対決の借りを返せるか

高麗大のキャプテンを務めるキム テフン(写真/©月刊バスケットボール)

昨夏の第2WUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=世界大学バスケットボール選手権)に韓国の大学王者として初めて出場した高麗大学校は、初戦でラドフォード大(アメリカ)に63-100と敗れた後、東海大との日韓王者対決となった5-8位決定戦も50-59で落とし、7-8位決定戦でシドニー大から84-69で初勝利を挙げて12敗の7位という成績で帰国した。この結果は不本意だったに違いない。


しかし高麗大は、その後韓国の大学リーグであるUリーグ2023では前年に続く連覇を達成。9月に行われたUリーグ2023プレーオフで再び韓国の王者として第3WUBSへの出場権を得た。また、新チームは319日に開幕したUリーグ2024を戦っている最中だが、3月中の2位試合は漢陽大学校との初戦が81-51、明知大学校との第2戦が96-55の勝利。昨シーズンの勢いはまったく変わっていない。はたしてどのようなチームなのだろうか。第2WUBSUリーグ2023を振り返りながら、特徴を紹介してみたい。

2023年のU19韓国代表が4人在籍する韓国大学界の王者

まずはUリーグ2023だが、レギュラーシーズンは131敗で、祥明大学校との最終戦に67-68で敗れるまで開幕から全試合を2桁点差で制していた。平均得点84.6でも2位以下を9.1点以上引き離すなど、群を抜く強さであり、レギュラーシーズンの上位8チームで王座を競うプレーオフではクォーターファイナルで慶熙大学校を90-73、セミファイナルで檀国大学校を79-64で下してファイナルに進出すると、最後は延世大とのライバル対決60-57で制して連覇を達成してた。

2WUBSでは、主力の上級生ムン ジョンヒュン(F/194cm)とシン ジュヨン(C/201cm)が出場していなかったことでUリーグとは異なる戦い方だったのは間違いないだろう。両者は、ラドフォード大との一戦で13得点を挙げたパク ムービン(G/184cm)とともに、帰国後KBLドラフト1巡目で指名を受けて現在はプロで活躍しているタレントだ(一方でラドフォード大は完全にオフシーズンの来日しており、東海大もキャプテン黒川虎徹がワールドユニバーシティゲームスからの帰国直後など、それぞれに異なる事情を抱えていたので、これを成績に対する言い訳と考えるべきではないだろう)。

ムン、シン、パクが抜けた高麗大は、高確率の3Pショットが魅力のキム テフン(G/190cm)がキャプテンを務め、パク ジュンヒョン(F/190cm)が副キャプテン。17人のメンバーには昨年WUBS経験者も多く残っており、そのうちの一人であるムン ヨヒョン(G/180cm)と新メンバー3人がFIBA U19ワールドカップ2023に出場した韓国代表という強力な顔ぶれだ。ちなみにキム テフンもFIBA U19ワールドカップ2021で韓国代表として活躍した経歴を持っている。

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昨年の大会で最も安定感のあるパフォーマンスを披露していたのは、新キャプテンのキム テフンだった。平均8.7得点、3P成功率40.0%という数字は驚くべきとまではいわないが、3試合を通じてコートに立つ時間も長く並の少ないプレーが光った。逆に、出場機会が試合によって変動したものの“大活躍”と呼べる活躍で爪痕を残したのはムン ヨヒョン(東海大戦で18得点、3リバウンド、2アシストに1スティール)とキム ドエン(G/183cm=最終日のシドニー大戦で20得点、8リバウンド、4アシスト、1スティール、1ブロック)だった。ムン ヨヒョンはFIBA U19ワールドカップ2023でも大会全体の13位となる平均14.1得点に4.9アシストを記録したガードで、今後の韓国男子バスケットボール界を展望する上でも注目株と言えるプレーヤーだ。


FIBA U19ワールドカップ2023で韓国代表の大黒柱として活躍したムン ヨヒョン。第2回WUBSでの東海大との日韓大学王者対決でも、敗れたとはいえゲームハイの18得点で気を吐いていた(写真/©月刊バスケットボール)


第2回WUBS最終日のシドニー大戦で20得点を記録したキム ドエン。高麗大唯一の勝利に大きく貢献した(写真/©月刊バスケットボール)

サイズ的にはヨー ミンス(F/202cm)、ヤン ジューン(C/200cm)、そして新顔でU19韓国代表のリー ドヨン(C/200cm)と200cm越えのタレントが3人。また、シューター陣では身長193cmのキム ジョンヒュン ダニエルや、高校時代に韓国同世代では最高のシューターと呼ばれるほど注目を浴びた身長190cmのシム ジョーイォンという楽しみなタレントも名を連ねている。戦力のバランスが良く、現に進行中のUリーグでも結果を出しているだけに、第3WUBSで来日する高麗大は昨年以上に脅威を感じさせるチームだ。


身長200cmのヤン ジューン。今年の高麗大には、ヤンを含め200cm越えのビッグマンが3人在籍している(写真/©月刊バスケットボール)

今夏の大会で、高麗大と白鷗大の日韓王者対決が実現するかどうかはまだわからない。しかしそんな機会があるとすれば、何回戦であれ、最終登録メンバーがどんな顔ぶれであれ、高麗大は2年連続で悔しい思いをしたくはないだろう。昨年の7位から一つでも高く順位を上げるための奮闘はもちろん、そんなドラマにも注目してみると、第3回WUBSがいっそう見応えのある大会として楽しめる違いない。



柴田 健/月刊バスケットボールWEB

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