月刊バスケットボール6月号

Wリーグ

2024.04.01

シャンソン化粧品が番狂わせ、ENEOSと共にセミファイナル進出

4Q試合をひっくり返したシャンソン化粧品


Wリーグプレーオフが高崎アリーナ(群馬県高崎市)でスタートした。ステップラダー方式のトーナメントで、3月30日にセミクォーターファイナル、31日にクォーターファイナルが行われ、シーズン上位2チームが待ち受けるセミファイナルを目指す。クォーターファイナルまでは一発勝負、セミファイナルからは3戦2先勝方式となる。30日のセミクォーターファイナルで、シャンソン化粧品がアイシンを、トヨタ紡織が日立ハイテクを破って、クォーターファイナルに進出。31日にそれぞれシーズン4位のトヨタ自動車、3位のENEOSと対戦した。

【動画】Wリーグプレーオフ 2023-2024勝ち上がり表をチェック

クォーターファイナルは1試合目からいきなりアップセットが起きた。セミクォーターファイナルから勝ち上がったシャンソン化粧品が、試合終盤の逆転劇でトヨタ自動車から勝利をあげたのだ。試合は終始トヨタ自動車が優位に展開していた。前半に#15安間志織の3Pシュートで流れを作り、2桁の点差を奪うと、シャンソン化粧品が反撃を図るたびに、#23山本麻衣、#14平下愛佳らが3Pシュートなどでその流れを断ち切ってきた。



「フリースローでつながれてしまった」と大神雄子HCが試合後に語ったが、トヨタ自動車のアグレッシブなディフェンスは、反面、ファウルも多くなることもある。この試合も3Qには早々に相手にペナルティースローを与えてしまい、コツコツと点差を詰められた。一時18点差まで開いたものの、61-56とトヨタ自動車5点のリードで最終Qを迎えた。最終クォーターも#23山本の連続ドライブなどで10点差まで広げたが、そこからシャンソン化粧品が#45佐藤由璃果、#1小池遥と連続して3Pシュートを決めると、一気にゲームのムードが変わる。そこから点の取り合いが続き、残り1分を切ったところでファストブレイクから#14吉田舞衣の3Pシュートが決まり80-79とついに逆転。さらに残り21秒で#1小池も3Pシュートを決めて勝利を決定づけた。必死に食い下がるトヨタ自動車をしのぎ切り、88-82とシャンソン化粧品が勝利。セミファイナル進出を決めた。



「試合を通して29本のフリースロー試投を取れたのは良かったと思います。しっかりとペイントアタックしようというのは言い続けていたので」とシャンソン化粧品の鵜澤潤HC。シャンソン化粧品は29本得たフリースローから22得点を稼いだ。また「(トヨタ自動車の勢いを止められずに敷いていた)ゾーン・ディフェンスからマンツーマンに切り替えたことで、チームにアグレッシブさが戻った」とゲームの流れが変わったポイントを説明した。キャブテンの#1小池は「相手ペースの時間が長かったですが、自分たちのバスケットをやり続けようと声を掛け合っていました。最後の最後は気持ちだと思うので」と苦しみながらも勝ちをつかんだゲームを振り返った。


シャンソン化粧品#1小池遥

徐々にリードを広げたENEOSが勝利


続くENEOSとトヨタ紡織の対戦は、序盤は互角も、徐々にENEOSが差を開いていく展開。しかし、トヨタ紡織も粘りを見せ踏み止まる。38-26で迎えた後半も突き放しにかかるENEOSに対し、トヨタ紡織が押し返す。しかし、4Qの半ば、#10渡嘉敷来夢がインサイドで力強さを見せ、続けて#34宮崎早織がスティールからファストブレイクを決め、60-45と15点差、その後も#34宮崎が得点を続け、その差を19点まで広げた。トヨタ紡織も最後の力を振り絞るが及ばず、71-58でENEOSがセミファイナル進出となった。



「最後はリバウンド、1対1など基本的な部分でENEOSさんの方が上でした」とトヨタ紡織のキャプテン#45河村美幸は試合を振り返る。一方でルーカス・モンデーロHCは「トップチームに対して、ディフェンスでは対応できたと思います。ノーマークのシュートは打てましたが、シュートタッチが悪く、得点を伸ばせなかったのは残念でした。昨シーズンのチャンピオンに対し、よく戦うことができたと思います。選手たちは頑張ってくれ、誇りに思います」と話し、率いて1シーズン目のチームに一定の成果を感じているようだった。
勝利を挙げたENEOSのティモシー・ルイスHCは「いい試合でした。このチームは毎週成長しています。やっとピークに入ってきました。チームとしてプレーできるようになりました」と試合後に語ったが、この試合最多の19得点をあげた#10渡嘉敷も「去年も経験したのですが、やはり一発勝負ということで緊張感はありました。チーム全員で試合前から集中することができたのが、試合にも出たと思います」とチーム状況の良さを語った上で「個人的にはフリースローが、あまり良くなかったので」と課題を口にした。#10渡嘉敷のフリースローは6本中3本成功の50%。「この3本で負けることもある」と気持ちを引き締めていた。



4月6日から始まるセミファイナルは富士通対シャンソン、デンソー対ENEOSの組み合わせとなる。





■Wリーグ プレーオフ結果(3月30日、31日)
[セミクォーターファイナル/3月30日]
・シャンソン化粧品(5位) 85‐79 アイシン(8位)
・トヨタ紡織(6位) 82‐54 日立ハイテク(7位)

[クォーターファイナル/3月31日]
・トヨタ自動車(4位) 82‐88 シャンソン化粧品(5位)
ENEOS(3位) 71‐58 トヨタ紡織(6位)

・[セミファイナル予定] 
富士通(1位)×シャンソン化粧品(5位)
4月6日(土)14:00
4月7日(日)14:00
4月8日(月)19:00(※)

デンソー(2位)×ENEOS(3位)
4月6日(土)12:00
4月7日(日)12:00
4月8日(月)17:00(※)
※2戦で決着した場合は行われない





取材・文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/吉田宗彦

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