月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.03.29

「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2024」ベスト4が決定、3連覇中だった名古屋D U15は琉球U15に惜敗

琉球U15の#54越圭司(写真/©B.LEAGUE)

劇的勝利もあった決勝トーナメント初日


東京体育館(東京都渋谷区)で開催されている「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2024」。大会3日目となる3月29日からは予選リーグを勝ち上がった12チームによる決勝トーナメントがスタート。ベスト4進出チームが決まった。

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まずは8チームが対戦し、勝利チームが、シード4チームと対戦するベスト8進出となる。シードとなった4チームは昨年度優勝の名古屋D U15、準優勝の福岡U15、3位の横浜BC U15の3チームと、4位だった島根U15を破るなどして予選リーグを突破した静岡 U15。


悔し涙を流した長崎U15の2年生エース、#34畠野玲心

ベスト8を懸ける戦いは長崎 U15×岩手 U15、福島 U15×東京Z U15、越谷 U15× SR渋谷 U15、琉球 U15×佐賀 U15の4試合。接戦となりながら、終盤に振り切られ64-74と敗戦となった長崎U15の米須楽人HCは、「選手たちで話し合って、昨年のベスト8を超えるベスト4を目指していました。そしてトップチームと同じヴェルカスタイルで、どこのチームよりも速くというのを目標にして練習してきました。そうしたスタイルは見せられたのでは」と振り返った。2年生エースの#34畠野玲心は「自分がチームを勝たせようという気持ちで臨みましたが、かないませんでした」と悔し涙を流した。また、前半同点と琉球 U15に対し善戦した佐賀 U15の水町亮介HCは「うちはディフェンスで頑張るしかないチーム。前半はそれがうまくいっていたのですが、後半は琉球さんが一枚上手でした」と敗戦の弁。キャプテンの#5山口遥士も「前半はディフェンスで頑張れたのですが、琉球さんは3Pシュートも体の当たりも強かったです」と悔しさをにじませた。他の2試合は福島U15とSR渋谷 U15がそれぞれ勝ち上がった。


佐賀 U15は琉球 U15に好勝負を演じた

劇的エンディングもあった準々決勝


続いて行われた準々決勝は1試合目から延長にもつれる好ゲームとなった。1回戦から勝ち上がった岩手 U15だが、4Qにエース#6佐藤翔真が負傷でコートを離れるアクシデントが発生。「確かにオフェンス面では不安がありましたが、ディフェンス面ではコートに出ている選手たちを信頼していました」と斎藤智美HCが振り返ったように、ディフェンスで粘りを見せて静岡U15に食らい付いた。延長も両者譲らず、ラストプレーで静岡U15の#7森田悠月が放った3Pシュートがみごとに決まり、59-56で勝利を収めた。「攻められていなかったので積極的にいこうとは思っていましたが、外れたらどうしようとも心によぎりました」と#7森田。「うちはだれがエースとかではなく、チームで戦っています。試合ごとに活躍する選手も違います。3年間を経て、本当にチームになりました」と高村成寿HCは初のベスト4進出の喜びを表した。


静岡U15は#7森田悠月のクラッチシュートで劇的勝利

注目の顔合わせとなったのは名古屋D U15と琉球U15のカード。名古屋D U15を3連覇に導いた末広朋也HCが今シーズンより琉球U15を指導しているからだ。現在の名古屋D U15の吉田英司HCは、末広HCと共に名古屋Dのユーススタッフを務めていたこともあり、師弟対決でもある。
先に流れをつかんだのは名古屋D U15だったが、琉球U15が徐々に盛り返し、34-31と3点リードして折り返す。後半に入りジリジリと点差を開いていく琉球U15は#54越圭司のドライブでバスケットカウントを奪うと59‐47と点差を2桁に乗せた。その後も#54越の3Pシュートなどで一気に流れを作り試合を決めた。
53‐71で敗れた名古屋D U15の吉田HCは「この試合が一番の山場と考えて臨んでいました。末広コーチとの戦いですし、#54の越選手も元チームメイトなので、選手たちも負けたくない相手でした。そうした気持ちが現れ、試合の出だしも最高の立ち上がりができました。琉球さんの高さに負けないよう、ラインナップもビッグマン2人を入れるなどもしました。一方で、うちの弱いところは3Q、4Qの出だしなのですが、そこを突かれ、点差を付けられたあと、粘り切れませんでした。チームとして団結できる何かがあれば変わったと思うのですが、それはわれわれコーチ陣の責任ですし、これからのチームの課題です」とこの試合への並々ならない思いがあったことを語る。その言葉のとおり、試合後、選手たちが泣き崩れるシーンが印象的だった。
一方で、「やるならば決勝でやりたい試合でした」と琉球U15の末広HCも古巣であり、教え子たちとの対戦への胸中を明かした。「終わったあと、彼らが涙を流していたのを見て、全力を尽くして向かってきてくれたことを感じました。琉球に勝つための工夫をしていたと思いますし、我々も同様です。そうした意味ではお互いが成長できるいい時間でした」とかつての教え子たちをたたえた。

ベスト4に進んだ残る2チームは横浜BC U15とSR渋谷U15。横浜BC U15は予選リーグからの好調ぶりを継続し、福島U15を圧倒。SR渋谷U15は昨年準優勝の福岡U15を退け、Jr.ウインターカップに続くベスト4入りを果たした。


師弟対決となった琉球U15戦に敗れ、名古屋D U15の連覇が途絶えた

●決勝トーナメント結果
[1回戦]
長崎 U15 64‐74 岩手 U15
福島 U15 64‐56 東京Z U15
越谷 U15 59‐75 SR渋谷 U15
琉球 U15 55‐45 佐賀 U15
[準々決勝]
岩手 U15 56‐59 静岡 U15
福島 U15 39‐77 横浜BC U15
福岡 U15 52‐60 SR渋谷 U15
名古屋D U15 53‐71 琉球 U15

●3月30日 対戦スケジュール
[9~12位決定戦]
佐賀 U15‐長崎 U15
越谷 U15‐ 東京Z U15
[5~8位決定戦]
名古屋D U15‐岩手 U15
福岡 U15‐福島 U15
[準決勝]
琉球 U15‐静岡 U15
SR渋谷 U15‐横浜BC U15

文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/©B.LEAGUE

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