月刊バスケットボール6月号

中学(U15)

2024.03.26

秋田ノーザンハピネッツU15が2代目女王に!Bユース女子は部活動、町クラブに並ぶ女子バスケ界発展の新たな育成環境となるか?

秋田U15が昨年の雪辱を晴らし2代目女王に!

3月23〜25日にかけて、レイクアリーナ箱根で開催された「不二家 PRESENTS B.CLUB U15 WOMEN’S CHAMPIONSHIP2023-24 FINALSTAGE」。Bユース女子の公式戦の機会創出やチーム間の交流を主な目的に、川崎ブレイブサンダースが主体となって昨年、第1回大会を開催。福島ファイヤーボンズU15が初代女王に輝いた。

今大会は開催日が1日増え、初日の予選リーグを経て2、3日目の順位決定リーグでチャンピオンを決めるフォーマット。初日の結果により、1〜5位リーグには以下の5チームが勝ち残った。

・秋田ノーザンハピネッツU15
・三遠ネオフェニックスU15
・茨城ロボッツU15
・山形ワイヴァンズU15
・U15川崎ブレイブサンダース

※以下、本文中のクラブ名は略称

1〜5位リーグを戦った末、秋田と三遠が共に3勝0敗。勝った方が優勝という状況で大会最終日の最終戦に直接対決による事実上の“優勝決定戦”が行われた。

試合は序盤から両者の激しい攻防が繰り広げられ、クロスゲームが続く。秋田は#21 高橋志奈(157cm/中2)が積極的なペイントアタックを見せてチームを引っ張ると、三遠も#14 星野伶奈(160cm/中3)を起点に、#10 北郷愛莉(169cm/中2)、#8 西村みらい(151cm/中1)らが鋭いドライブで秋田ゴールを強襲。お互い激しくディフェンスの前にもボールを失わず、ハイレベルな攻防が繰り広げられた。

1Qは14-11で秋田のリード。2Qもどちらかのリズムになることはなく、三遠が持ち前の鋭いドライブからディフェンスを切り崩せば、秋田もスイッチディフェンスですかさず対応するなど、アジャスト合戦が繰り広げられる。前半を終えてスコアは25-24と秋田が1点をリードするのみだった。

しかし、3Qで大きく試合が動く。秋田の内村祥也コーチは「秋田の持ち味であるボールへの執着心やチームもために戦うことをやり切れていなかったので、前半は競った展開でした」と前半を振り返り、ハーフタイムに選手たちを「俺はお前たちを信じるしかできないから、やってきたことをやろう」と鼓舞。


秋田U15 #1森田

指揮官の言葉で本来のバスケットを取り戻したチームは3Q開始から攻防にギアを上げ、一気に試合の主導権を握る。中でも輝きを見せたのが中学1年生の#1 森田心花(165cm)で、長身を生かしたダイナミックなドライブやスムーズな3Pシュートなどでこのクォーターに一挙11得点。チームとしてもフィジカルの強さを全面に押し出し、ディフェンスやルーズボールの争いでも三遠を上回っていく。点差はみるみる広がり、3Q終了時で58-40までリードを拡大。この8分間のみを切り取れば、スコアは33-15だった。

4Qには三遠が#14 星野の強烈なドライブからの連続得点で詰め寄る場面もあったが、最後は秋田のエース#3 嶋森羽奏(175cm/中3)が攻防で存在感を放ち試合を締め括った。ビッグクォーターとなった3Qの爆発、およびエースのゲームクロージングが最終スコア80-59での勝利に結び付いたのだった。


秋田U15 #3嶋森

秋田は昨年、福島との優勝決定戦に敗れて準優勝。今大会はその雪辱を晴らすと共に、チームの成長を感じさせるタイトル獲得となった。特に、昨年大会でも大会ベスト5に輝いた#3 嶋森は大きくフィジカルアップし、インサイドでの巧みなステップワークも相まってどのチームも対応できない圧倒的な存在感を発揮。ドリブルワークや3Pシュートなど高校生顔負けのスキルも披露し、プレータイムを制限しながらも決勝では16得点。#21 高橋、#1 森田ら下級生も台頭し、各学年の確かなレベルアップが感じられた。

一方、敗れた三遠も中学1、2年生主体ながら大健闘。9チーム中7位だった昨年から大きくジャンプアップし、特に大会3位となった茨城との直接対戦では59-26の大勝。年齢的なこともあって多くの選手が150cm前後とまだ小柄だが、ドライブの切れ味と自分よりも大きな相手とのぶつかり合いの中でフィニッシュに持ち込める軸の強さを持ち、個の力と連係プレーをミックスした面白いチームに仕上がっていた。茨城戦の出来には小畑亜章子コーチも「今年1番の試合だった」と最大級の評価。大会を通してもドライブを軸としたチームの強みを遺憾なく発揮してみせたのだ。


三遠U15 #14星野


写真/山田勉、取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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