月刊バスケットボール6月号

“帰ってきた”クリストファー・スミスが天皇杯連覇に大きく貢献「水くみでも声掛けでも何でもサポートしたいと思っていた」

帰還3戦目でチームハイの26得点!


3月10日の東アジアスーパーリーグ(EASL)の優勝から6日、千葉ジェッツは琉球ゴールデンキングスとの天皇杯ファイナルを制し、1週間で2つ目のタイトルを獲得する偉業を達成した。

特に、48-32とリードして迎えた後半は終始千葉Jが試合を支配。今大会MVPの富樫勇樹を筆頭に、ジョン・ムーニー、小川麻斗、金近廉、ゼイビア・クックス、アイラ・ブラウンらがそれぞれに自分の役割をこなし、最終スコア117-69という思わぬ大差での決着とした。後半に限ると、そのスコアは69-37だった。

【写真29点】千葉ジェッツvs.琉球ゴールデンキングス

中でもこの試合で大きなインパクトを放ったのはクリストファー・スミスだ。試合最初の得点を持ち味の3Pシュートで記録すると、前半は7得点。迎えた後半は終始アグレッシブにプレーし、特に3Qにはバスケットカウント2本に3Pも1本決め切るなど、6分15秒にコートインしてからクォーターエンドまでに14得点を固め打ち。最終的にゲームハイの26得点をマークし、千葉J優勝の立て役者となったのだ。



昨季終了後に千葉Jを退団し、今季はオーストラリアNBLのブリスベン・ブレッツでプレーしていたスミス。だが、ディージェイ・ステフェンズのインジュアリーリスト登録に伴い、NBLのシーズンが終わった3月1日に千葉Jに戻ってきた。すると、初戦の広島戦でいきなり23得点を挙げ、群馬との2戦目には33得点。千葉Jにとっては救世主と呼べる活躍で、天皇杯連覇にも大きく貢献した。





スミスは試合後のフラッシュインタビューで以下のように答えていた。

「すばらしい試合でした。チーム全体で3P成功率56.8%、チームで遂行できて良かったです。流れを持ってきたいという思いでプレーしていて、今週2つ目のタイトル(EASLと天皇杯)が取れたので良かったです。できることは何でもやるつもりです。スコアを期待されていると思いますが、リバウンドやディフェンスまで何でも全力でやりたい」

NBLでプレーしていた時期も千葉Jのことは気にかけていたそうで、「常に連絡は取り合っていたし、試合の結果も気にしていました。あとは、ファンの皆さんが『早く帰ってきて』という連絡をたくさんくれたんです。なので、いざチームに戻ることが決まったときはすごくうれしかったです」と、千葉J復帰はスミス自身にとっても喜ばしい出来事だった。

フィリピン・セブ島で行われたEASLファイナル4には外国籍選手の登録人数の都合でエントリーしていなかった。だが、優勝後の祝勝会では仲間の活躍を誰よりも喜び、小川麻斗とは特に仲良さげにじゃれあっていた。そのことについて尋ねると、「先ほど、(コート上の)インタビューでも言いましたが、チームメイトが一生懸命に戦っていたのはうれしいことですし、たとえプレーしていなくても、水を持ってきたり言葉をかけたりということも含めて、何でもサポートしたいとずっと思っていました」と、心境を明かしてくれた。





スミス自身にとっては、昨季のBリーグファイナルでは琉球にディフェンス包囲網を張られ、2試合で平均僅か9得点。レギュラーシーズンでは同14.4得点を挙げ、ベスト6thマンにも選ばれていただけに、不完全燃焼な思いが残って千葉Jを離れることになった。今でもあのシリーズを思い出すことがあるそうだが、「今日に関してはコーチが考えた戦術や、やるべきことに対してフォーカスすることもできました」と言い、9か月前の悔しい思いを払拭する機会ともなったようだ。

千葉Jを離れていた期間に、改めてチーム全体の絆の深さとファンのサポートの大きさを感じたというスミス。“帰ってきた”背番号34には、やはり赤のユニフォームがよく似合う。

写真/石塚康隆、取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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