月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.03.04

アルティーリ千葉がB2東地区連覇達成――悲願のB1昇格・B2制覇に一歩前進

©Altiri Chiba

B2東地区で首位を独走していたアルティーリ千葉が、33日の新潟アルビレックスBB戦勝利と同日の越谷アルファーズの黒星により、同地区優勝を決めた。昨シーズンに続く連覇達成だ。


クラブとBリーグの島田慎二チェアマンから、さっそく以下のメッセージが発信されている。

☆クラブからのメッセージ

ファン、パートナー、地域、関係者の皆様の温かいサポートのおかげで、最短での地区優勝を達成することができました。 A-xx(アックス=アルティーリ千葉ファン)の皆様の熱いご声援に感謝申し上げます。
5月から始まる「B2 PLAYOFFS 2023-24」の全試合ホーム開催に向けて、また最大の目標であるB1昇格・B2優勝に向けて、残る試合も勝利を積み重ねて参ります。
最後まで、アルティーリ千葉への熱いご声援をよろしくお願いいたします。

☆島田慎二チェアマン

アルティーリ千葉のみなさん、「B.LEAGUE 2023-24 シーズン B2・東地区優勝」、誠におめでとうございます! 2大会連続2回目の地区優勝となります。今シーズンも攻撃力の高さで相手を圧倒するハイスコアゲームを展開していたことが印象的です。3月上旬とかなり早い段階での地区優勝となりますが、残るリーグ戦はもちろん、今後控える「B2 PLAYOFFS 2023-24」でも多くの人を魅了するアルティーリ千葉らしい試合を楽しみにしています。





ファンを巻き込む驚異のチーム力で現在16連勝中、直近10試合中8試合で100得点越え

クラブはすでにB2東地区連覇を記念するTシャツとキャップの販売も発表しており、3月9日(土)に千葉ポートアリーナで行われる神戸ストークスとのホームゲームから先行販売がスタートするとのことだ(3月11日[月]よりオンラインにて受注販売も開始)。

アルティーリ千葉は、2月16日に青森ワッツを倒した時点ですでにB2 PLAYOFFS 2023-24への進出を決めていたが、東地区優勝により、クォーターファイナルのホーム開催権とセミファイナルに勝ち上がった場合のホーム開催権を手にした。また、残る15試合で6勝して勝利数が48に到達した時点で、リーグ最高勝率タイ以上が確実となり、ファイナルに進出した場合のホーム開催権も獲得できる(ほかの上位チームの動向いかんで、6勝より少ない勝利数でも達成できる可能性がある)。

今シーズンのアルティーリ千葉は、序盤戦から現在に至るまで傑出した強さを見せ続けている。新潟を101-95で破った3日の一戦を終えた時点で通算成績は423敗(勝率.933)で、同地区2位の越谷とのゲーム差は16ゲーム。ここまで西地区のチームには首位の滋賀を含めて一度も負けておらず、その滋賀も9ゲーム引き離している。

昨年115日の青森ワッツ戦から1230日の神戸戦まではクラブ新記録となる18連勝。年明けの16日に福島ファイヤーボンズに敗れたかと思えば、翌7日からは再び連勝をスタートさせ、現在それは16まで伸びて進行中だ。しかも2月に入ってからの直近10試合では、8試合が100得点越え(平均103.5得点)と破壊力が一段と強まってきている。

チームスタッツでは平均得点(91.5)、平均アシスト(23.6)、平均リバウンド(42.6)、平均ブロック(3.5)、3P成功率(37.1%)、フィールドゴール成功率(50.3%)がリーグトップ。平均スティール(7.1)が5位タイ、フリースロー成功率(73.0%)がリーグ5位、そして平均失点(76.2)もリーグで4番目に少ないという好成績だ。フリースローに関しては、トップ5に入る確率が“悪くない”だけではなく、アテンプト数(23.6)と成功数(17.2)がリーグトップ。フィジカルなプレーでファウルを誘い、実質的にはフリースローの戦いでもリーグで最も点数を獲れるチームだ。

これらの好成績の要因はいくつも見つかるが、キャプテンの大塚裕土が3P成功率リーグ1位(42.1%)、ガードの杉本慶がリーグ3位の6.1アシストとリーグ5位の1.5スティールなど、アンドレ・レマニスHCのバスケットボールを理解している既存戦力のハイレベルで安定した活躍がその土台となっているのは間違いないところ。そこに、ディフェンス面の強化を狙って昨オフ補強した新戦力(アレックス・デイビス、デレク・パードン、前田怜緒、熊谷尚也)の貢献ぶりが非常に大きなインパクトをもたらしている。

身長206cmのデイビスは、最大の得点源でもあるブランドン・アシュリー(平均17.2、リーグ9位)とともにブロックランキングのトップ10入り(デイビスが平均1.23位、アシュリーが1.16位)。パードンはリバウンド(9.7)でリーグ7位に入っている。前田と熊谷はトップ10入りの数値こそないものの、前田は得点(9.2)、3P成功率(35.5%)、アシスト(3.6)、スティール(1.1)がキャリアハイペースであり、熊谷は平均得点(6.6)と3P成功率(37.5%)、リバウンド(2.1)が直近5シーズンの最高値(東地区優勝を決めた3日の新潟戦では3Pショットを5本すべて成功させて21得点[どちらもキャリアハイ]の大活躍)。いずれも十分期待に応えていると言えるだろう。

昨年11月下旬には、Bリーグ歴代最長身となる226cmのビッグセンター、リュウ チュアンシンがアジア枠で加わり、フロントラインの層がそれまで以上に厚みを増した。リュウはまだ数値的には驚くべきインパクトとまではいかない(平均4.8得点、2.9リバウンドなど)かもしれないが、東地区優勝にあと1勝と迫った2日の新潟戦では、1817秒の出場でフィールドゴール10本中8本を沈めてキャリアハイとなる19得点など、徐々に本領を発揮し始めている。

特別指定枠で即戦力となっている黒川虎徹までを含めたロスターの力強さに加えて、今シーズンから“A-xx(アックス)”という愛称を得たアルティーリ千葉ファンの後押しも力強い。新潟での「優勝決定戦」でもアルティーリ千葉のユニフォームを着たA-xxの盛んな声援が聞かれたが、ここまでのホームゲーム22試合では平均4960人の入場者数を記録しており、シーズン通算ではすでに109114人に到達している。これはB2において断トツの数字。B.LEAGUE PREMIER参入の基準を満たす平均4000人(ホーム30試合で12万人)を達成するにはあと10886人だが、アルティーリ千葉がバンビシャス奈良との開幕節2試合で10587人の入場者数を記録していたことを思えば、東地区優勝記念のセレモニーも予定されている3月10日(日)の神戸戦GAME2で、このハードルもクリアできてしまう可能性がありそうだ。

戦力としては申し分ない駒がそろっている。しかしここからは、ベストコンディションで残る日程を乗り切ること、短期シリーズを勝ち切るスカウティングと遂行力など、個々のプレーヤーのバスケットボール的な技能とは別の要素も重要性を増してくるだろう。A-xxの大声援を背に受けながら、東地区チャンピオンが昨年果たせなかった悲願のB1昇格とB2制覇を目指す挑戦の結末やいかに。勝負の時がいよいよすぐそこに迫ってきた。





文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: アルティーリ千葉 B2リーグ

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