月刊バスケットボール1月号

Bリーグ

2024.02.23

2/24(土)・25(日)アルティーリ千葉 vs. 熊本ヴォルターズを120%楽しむ4つのポイント

©B.LEAGUE

B2レギュラーシーズンが終盤戦に差し掛かった第23節は、現在東地区首位のアルティーリ千葉(383敗、勝率.927)が西地区3位の熊本ヴォルターズ(2813敗、勝率.683)をホームの千葉ポートアリーナで迎え撃つ注目の対戦が行われる。今シーズン初顔合わせであり、千葉ポートアリーナでの対戦はまったくの初めて。プレーオフで対戦する可能性も十分にある両チームが、毎試合5,000人近くの大観衆で盛り上がるこの会場でどんなドラマを繰り広げるだろうか。その注目ポイントを4つ挙げて展望してみたい。


1. インサイドと表裏一体——アルティーリ千葉の3Pシューティング

18
連勝が途切れたかと思えば、1試合落としただけで再び連勝をスタートさせ現在12まで伸ばしているA千葉は、得点(90.4)、フィールドゴール成功率(49.6%)、3P成功率(36.9%)、リバウンド(43.0)、アシスト(23.7)、ブロック(3.6)がリーグトップだ。しかしこの中で特にユニークな傾向にあるのは3Pシューティングではないだろうか。成功率はリーグトップだが、アテンプト数(21.4)はリーグ最少。ビッグマンが攻守でペイントを支配するフィジカルなプレーを基軸に、その結果ペリメーターで生まれる得点機を逃さず高確率で決めているのだ。

個別には、大塚裕土が3P成功率が43.8%(84/192)でリーグトップだが、1月のバイウイーク明け以降の11試合では49.1%(27/55)とさらに好調だ。210日の山形ワイヴァンズ戦では、81-82の劣勢で迎えた第4Q残り3分19秒に左コーナーから、87-87の同点で迎えた残り1分11秒に右コーナーからビッグショットを沈めて94-87の勝利を引き寄せた。もう一人のベテラン岡田優介も、35.4%という現時点での3P成功率以上の怖さがある。2月18日の青森ワッツ戦では5本中3本を沈めたが、特に35-42と7点差を追う第2Q残り1分19秒に、トランジションで黒川虎徹からのロングパスを受けてドリブルなしで放り込んだ一撃などは、相手に与えたダメージが大きかったに違いない。ここで流れを引き寄せたA千葉はハーフタイムまでに追いつき、後半逆転して102-78で勝利している。

熊本との2試合でも、インサイドとの表裏一体で展開されるロングレンジゲームの切れ味をどれだけ出せるかが、A千葉にとっては勝利のカギの一つだろう。


大ベテランの岡田優介はキャプテン大塚裕土とともに相変わらず勝負強いシューターとして存在感を見せている(写真/©B.LEAGUE)





2. スティールランキングトップ10をにぎわす熊本ヴォルターズ勢

A千葉と熊本の平均失点を確認すると、A千葉が75.4(リーグ5位)であるのに対し、熊本は81.8(同8位)と比較的大きな差がある。しかし、特にこの両チームの対戦では、失点の多い熊本のディフェンスに注目してみるのも面白そうだ。なぜなら熊本にはスティールランキングでトップ10に入るプレーヤーがアーロン・ホワイト(1.64位)、山本翔太(1.48位)、ジャメール・マクリーン(1.310位)と3人おり、逆にA千葉はターンオーバー数がリーグ最多(14.3)のチームだからだ。


熊本ヴォルターズの平均7.9スティールはリーグ2位の好成績で、アルティーリ千葉(7.2、リーグ6位)を上回っている。写真の山本翔太ら3人がリーグのトップ10に名を連ね、アベレージ1.0以上は4人を数える(写真/©B.LEAGUE)

A
千葉がこの平均ターンオーバー数で9割越えの勝率を残しているといっても、総数が増えればその分難しい展開になるのは間違いない。スティールの名手たちはどれだけプレッシャーをかけ続けられるだろうか。実際にスティールできなくても、一つ一つのポゼッションでこれまで奏功してきたディフェンスを徹底し続けることで、相手のリズムを狂わせられる可能性も高まる。特に、高い位置でのピックから始まるオフェンスに対して、ガードからビッグマンへのパスを簡単に通させない工夫や、ボールを受けたビッグマンからさらに別のカッターやシューターへと渡るエキストラパスを読めるかどうか。何本かがスティールになり、さらに何本かをパスディフレクションやミスショットで終わらせるような連係ができれば、熊本の勝機は広がる。

ただし実際に勝利するには、そのディフェンスと並行して自らのターンオーバーを平均(12.6、リーグ6位)よりも少なく抑え、平均得点(85.1)を上回るようなオフェンスも必要だ。片輪ではなく攻守の両輪でそのようなプレーができるかどうかが熊本にとってのカギではないだろうか。





文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 熊本ヴォルターズ アルティーリ千葉B2リーグ

PICK UP

RELATED