月刊バスケットボール6月号

3x3

2024.02.20

【第9回3x3 日本選手権大会】男子はUTSUNOMIYA BREXが3連覇! 女子はboldiiiesが初優勝!

「今シーズン最強だったALPHASを打ち破ることができた」(BREX#11齊藤洋介)

今年で9回目を迎えた「3x3 日本選手権大会」のファイナルラウンドが2月17、18日に大森ベルポート(東京都品川区)で開催された。

東・中・西日本エリアの各大会を勝ち上がった上位16チームが一堂に集結し、トーナメント形式で頂点を争うファイナルラウンド。

男子決勝を争ったのは、3連覇を目指すUTSUNOMIYA BREXと、初優勝を狙うALPHAS。UTSUNOMIYA BREXは、昨年までの連覇に大きく貢献したドゥサン・ポポビッチ、ドゥサン・サマルジッチという2人のセルビア人プレーヤーがチームを去ったが、精神的支柱で、BREXの“顔”でもある#11齊藤洋介を軸に、#2斉藤諒馬、#21テオドール・アタナソフ、#24仲西佑起の4人で参戦。準決勝では、初めてベスト 4 まで勝ち上がってきた信州松本ダイナブラックスの果敢な挑戦を18-17という接戦で退け決勝へ進出。もう一方のブロックからは、チーム結成2シーズン目ながら昨秋、「3x3.EXE PREMIER 2023 PLAYOFFS」と「三井不動産 3x3 JAPAN TOUR 2023 FINAL」の2つのビッグタイトルを制したALPHASが、東京2020オリンピック日本代表の#91落合知也、「3x3.EXE PREMIER 2023 PLAYOFFS」でMVPを獲得した#11ペター・シュチュアーを中心に連戦を切り抜け、決勝へと勝ち進んできた。

決勝序盤はお互いの激しいディフェンスでなかなか得点を決め切れない展開となったが、#3デビン・ギリガンのゴール下で先制したALPHASが、その後、#13小澤崚の2Pや#91落合の得点などで中盤までに10-4とリードする。しかし、これまで試合後半の驚くべき集中力で劣勢を何度も跳ね返し、タイトルを獲得してきたBREXはここから本領を発揮。残り5分34秒で、#11齊藤から託されたパスを#2斉藤がみごと2Pでゴールを射抜いたのを起点に、#21アタナソフのゴール下、#24仲西のレイアップなどで11-9まで追い上げると、残り3分28秒には#24仲西が2Pを成功させ、12-12の同点に。そして残り3分9秒には#21アタナソフの2Pも決まって、ついに13-14と逆転。さらに#11齊藤や#2斉藤の2Pも決まりBREXが波に乗る。ALPHASも粘りを見せるが、残りジャスト2分に#24中西がレイアップを決め、BREXが21-17でノックアウト勝ち。みごと3連覇を達成した。

メンバーが大きく変わり、変革の時を迎えたBREX。「3x3.EXE PREMIER PLAYOFFS」「3x3 JAPAN TOUR FINAL」の2つのタイトルを失ったこの1年間だったが、38歳、#11齊藤の求心力は残る1つのタイトルに向けてみごと発揮され、“BREXここにあり”という存在感を見せ付けた。#11齊藤は表彰式のスピーチで、「今シーズンはALPHASがいろいろな大会を制覇しました。去年までは僕らがその位置にいたのですが、やはりすごく悔しかったです」と本音を吐露。そして「ALPHASがすごく強いということは重々承知していましたが、昨日、今日と正直、僕はALPHASを倒すことだけを考えてやってきました。なので、勝ったことが本当にうれしいですし、遠く宇都宮から足を運んで、声を出して応援してくださる皆さん、そして普段から練習をともにしているチームメイトのみんな、スタッフを含めて、みんなが駆け付けてくれたことによって、今シーズン最強だったALPHASを打ち破ることができたと思っています」と感謝を述べた。そして、「また少し休んだら新しいシーズンが開幕します。チーム、そしてファン全員で一丸となって、宇都宮を背負って世界と戦いたいと思います」と、早くも次なる挑戦への意欲を見せた。

なお、この優勝に伴いBREXには「2024 FIBAワールドツアーマスターズ アジア・オセアニア大陸大会」の出場権が与えられる(予定)。


みごと3連覇を達成したUTSUNOMIYA BREX。左より#21テオドール・アタナソフ、#11齊藤洋介、#2斉藤諒馬、#24仲西佑起(写真/JBA)


「やりたい人たちが集まって日本一を目指せるのが3x3の魅力」(boldiiies#25桂葵)

女子決勝を争ったのは、「3x3.EXE PREMIER PLAYOFFS」を2022、2023年と連覇しているYOKOHAMA GFLOWと、初の決勝進出となるboldiiies。ただし、チーム名こそ異なれ、boldiiiesのメンバーは昨秋の「3x3 JAPAN TOUR FINAL」を制したBEEFMANの#25桂葵、#3浅羽麻子、#37大橋実奈という、国内3x3シーンではなじみ深い顔ぶれ。「JAPAN TOUR FINAL」では日体大4年生の小野寺佑奈がメンバーに名を連ねていたが、今回は、桂とともにDusseldorf ZOOSの一員として、昨夏の女子国際ツアー大会「FIBA 3×3 ウィメンズシリーズ」に参戦した #12アマ・デグビオンが4人目の選手として加わった。

試合は、開始から20秒ほどで#37大橋のジャンプシュートによりboldiiiesが先制。GFLOWもすかさず#8井齊沙耶のゴール下で返し、序盤から競り合いの様相を見せた。その後、残り8分22秒にGFLOW#9吉武忍が相手ブロックをうまくかわしながら2Pを決め切り5-2と一歩リード。しかし、boldiiies も負けじと#12デグビオンのフリースローで1点を返した後、7分16秒には#3浅羽の鮮やかな2Pで5-5の同点に。その直後、GFLOW#5矢上若菜も2Pでお返しと、“取られたら取り返す”という意地の張り合いに。

時間の経過とともに両チームの攻防が激しさを増す中、中盤はGFLOWが先行し、boldiiiesが追いかける展開に。そして3分25秒には、#5矢上の2PでGFLOWが15-11と差を広げる。しかしboldiiiesも1分53秒に#9吉武がドライブを決め17-15とした後、#25桂の連続得点で1分26秒には17-18とついに逆転。さらに#37大橋、#25桂のシュートで17-20と差を広げたところでタイムアップ。連戦で疲労もたまっているはずの決勝、その最終盤に高い集中力を発揮したboldiiiesがみごとな優勝を飾った。

表彰式のスピーチで#25桂は、「私たちは自分たちのことを“草バスケチーム”と呼んでいますが、(バスケを)やりたい人たちがこうして集まって日本一を目指せるのが3x3の魅力だと思うし、特に日本選手権は各都道府県予選から繋がって、こうやって日本一が目指せる場所なので、ぜひいろいろなチームに目指してほしいし、いろいろなチームと対戦できるのを楽しみにしています」とコメント。応援される立場の真摯な思いを語ったBREX#11齊藤に対して、#25桂の言葉はプレーヤー目線で3x3の魅力や身近な距離感を表すもの。対照的な2人のスピーチが印象的なフィナーレだった。


初優勝を飾ったboldiiies。左より#25桂葵、#37大橋実奈、#3浅羽麻子、#12アマ・デグビオン(写真/JBA)



MVPはBREX#21アタナソフ、boldiiies#3浅羽がいずれも初受賞となった(写真/JBA)





文/村山純一(月刊バスケットボール編集部)

写真/JBA

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