月刊バスケットボール5月号

千葉ジェッツ、天皇杯連覇に一歩前進——セミファイナルで宇都宮ブレックスに大逆転勝利

比江島慎をかわしてレイアップを狙う富樫勇樹(写真/©月刊バスケットボール[山岡邦彦])

99回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会が214日にセミファイナルを迎え、船橋アリーナではいよいよ前回大会優勝チームである千葉ジェッツが初登場。クォーターファイナルまでの戦いを勝ち上がった宇都宮ブレックスと対戦した。勝利したのは千葉J。序盤宇都宮にビッグランを許したが、最大21点差のビハインドをひっくり返す劇的な展開の末、78-72で勝利した。


宇都宮、試合開始直後からの16-0のラン実らず

1Qは、ファイナルスコアを思い浮かべるのが難しいような展開で始まった。宇都宮は遠藤祐亮の3Pショットで先制すると、竹内公輔がセカンドチャンスでゴールを奪い、ファウルも誘ってフリースローで3ポイントプレーに成功。6-0とリードした後も、竹内が富樫勇樹からのパスをインターセプトし、そこから転じた速い展開のオフェンスで荒尾岳のファウルを誘うなど優位に試合を進めた。この時点でまだティップオフから223秒しかたっていなかったが、千葉Jにとってはいきなり、ジョン・パトリックHCがタイムアウトを取らざるを得ない苦しい流れとなった。

勢いづいた宇都宮はタイムアウト明けにもぐんぐん加速。エースの比江島慎が3Pショット、ドライブ、さらにはフリースローと得点を重ね、開始から6分もたたず16-0と大きく引き離す。千葉Jはこのクォーターの残り335秒に富樫がフリースローを2本沈めてようやく初得点を記録したが、最初の10分間は24-6とほぼ完全に宇都宮ペースで進んだ。


序盤に連続得点で宇都宮を勢いづけた比江島慎。痛恨のファウルアウトに試合後の会見では「千葉を越えられなかった…」と悔しさのにじむコメントを残した(写真/©月刊バスケットボール[山岡邦彦])

2Qも開始早々に良い形を作ったのは宇都宮。アイザック・フォトゥがグラント・ジェレットのミスショットからプットバックを成功させ、26-620点差に引き離す。しかし、千葉Jが続くオフェンスですぐに取り返したあたりから、様相が変わっていく。このオフェンス・ポゼッションでは、富樫とジョン・ムーニーの高い位置でのピックプレーから、ボールが金近廉を介してムーニー、そして逆サイドからゴール下に切れてきたゼイビア・クックスへとスムーズに渡りイージーバスケット。以降ハーフタイムまでは、一時宇都宮が21点差までリードを広げる場面はあったものの、両チームが得点を取り合う流れとなった。

その間徐々に存在感を強めていったのは、試合後「(序盤の宇都宮のディフェンスを)みんなが怖がっているように感じていた」と振り返った富樫だ。富樫はこのクォーターだけで8得点、2アシストを記録したが、特に前半終了間際にしぶとく決め切ったドライビング・レイアップは、チームを勇気づける一撃だったのではないだろうか。





それでも第3Q45-29と宇都宮がリードした状態で始まっていたが、今度は千葉Jが前半のお返しとばかりにビッグランを繰り出す。このクォーターはアイラ・ブラウンの3Pショットで千葉Jが先制。すると千葉Jはそこから約4分半を16-4と優位に展開し、49-454点差まで追い上げた。

こうなると、ホームのブースターの大歓声に背中を押された千葉Jは、攻守に力強さを取り戻していく。第3Q終了間際にはまたしても富樫がクラッチぶりを発揮。3Pショットを決めてついには58-551ポゼッション差に持ち込み、最終クォーターを迎えることとなった。

最後の10分間は接戦が続いたが、宇都宮は67-67の同点で迎えた残り424秒に比江島がファウルアウト。勝負をかけたい終盤の時間帯にエースを欠いた宇都宮に、勝ち切る力は残っていなかった。

千葉Jは最終的に、富樫が3Pショット9本中5本を成功させて29得点、9アシスト、2リバウンドの大活躍。また、ムーニーが19得点に12リバウンド、クックスが11得点に10リバウンドと二人がダブルダブルを記録している。宇都宮はD.J.・ニュービルが14得点、5リバウンド、6アシスト、2スティールとオールラウンドに活躍したほか、フォトゥも13得点に9リバウンドとダブルダブルに近い数字をたたき出した。悔しい思いをした比江島も11得点、3リバウンド、3アシスト、1スティールに1ブロックと、攻守の奮闘が数字に表れている。





連覇をかけたファイナルは琉球とのリマッチ

この結果千葉J 3年連続のファイナル進出。また、同日沖縄アリーナで行われたもう一方のセミファイナルで琉球ゴールデンキングスが川崎ブレイブサンダースを98-70で破ったことにより、ファイナルは2年連続で千葉Jと琉球の対戦に決まった。昨年のB1チャンピオンシップファイナルも含めドラマの多い顔合わせだが、試合後の会見でパトリックHCは、琉球について「スカウティングをまったくしていなくて、答えられないんです」と多くを語っていない。


天皇杯決勝進出を決め笑顔で声援にこたえる富樫(写真/©月刊バスケットボール山岡邦彦])

確かに両チームは、B1の2023-24シーズンではここまで対戦していない(唯一の対戦機会は4月6日(土)、7日(日)に沖縄アリーナで開催)。かつ天皇杯は一発勝負なので、実際にやってみないとわからないというのは、ある程度本音に違いない。千葉Jが連覇と通算5度目の優勝を成し遂げるか。あるいは琉球が沖縄の名を歴代王者のリストに初めて刻むことになるのか。決戦のファイナルは316日(土)に、さいたまスーパーアリーナで開催される。



取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 天皇杯 宇都宮ブレックス千葉ジェッツ

PICK UP

RELATED