崎濱秀斗インタビュー「自分も日本代表みたいに、人に影響を与える選手になりたい」【ウインターカップ2023感動大賞/男子プレーヤー部門】
昨年12月に行われた「SoftBank ウインターカップ2023」において、激戦のトーナメントを勝ち抜いて日本一に就いた福岡第一。エースとして仲間をけん引し、卒業後は渡米が決まっている崎濱秀斗が、月刊バスケットボールが毎年投票を募っている「ウインターカップ感動大賞」の男子プレーヤー部門に選ばれた。クラッチタイムでの活躍で多くの観客の心をつかんだ司令塔に、大会の振り返りや高校時代の学び、そして渡米への意気込みを聞いた。
◼️ウインターカップ2023感動大賞 投票結果
1位 崎濱 秀斗(福岡第一No.17) 412票
2位 赤間 賢人(藤枝明誠No.12) 242票
3位 瀬川 琉久(東山No.5) 221票
4位 佐藤 友(東山No.4) 135票
5位 遠藤 龍之介(土浦日本大No.11) 86票
【表】ウインターカップ2023感動大賞の得票結果
「毎日の井手口先生の言葉が大切な学び」
──感動大賞、おめでとうございます。圧倒的な得票数でした。
率直にうれしいですし、何より投票してくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。そもそもケガで出場できるかも分からなかった大会で、チームメイトやトレーナーさんなどたくさんの方々のサポートがあってコートに立つことができました。最後の年に優勝できて、感動大賞にも選ばれて最高の気持ちです。
──部員115人の大所帯を、キャプテンとして引っ張ってきました。
引っ張るのは大変でしたが、周りの3年生に支えられ、ウインターカップは115人で我慢して戦えたからこそ優勝できたと思います。ウインターカップでは前年に悔しい思いをしていたので、卒業した先輩たちの分まで勝てたことがうれしかったです。
──ケガのコンディションが懸念される中で、下馬評を覆しての優勝でした。
個人的にはあまりパフォーマンスが上がらない大会で、調子の悪い時間帯も結構あったんですけど、本当にチームメイト全員が支えてくれて優勝できました。改めて、バスケットはチームスポーツだなと感じられたウインターカップだったと思います。
──大会が終わってリフレッシュできましたか?
足を完治させるためにも、今はしばらく休んで、英語の勉強を中心に生活しています。「スラムダンク奨学金」から提供していただき、朝10時から夕方の4時まではオンラインでの授業を受けさせてもらっているんです。TOEFLを受けるのでそれに向けた勉強や、アカデミックな英語…社会などを英語で学んでいる感じですね。それが終わった後は自分で英会話や課題を進めています。1日7、8時間くらいは英語漬けです。3月末に渡米するので、バスケットはその1か月くらい前から徐々に上げていこうと思っています。
──改めて、福岡第一での3年間でどんなことが成長できましたか?
福岡第一には自分が1年生の頃からトップクラスのガードの先輩たちがいて、練習の中でも本当に学ぶことが多かったですし、質の高い競争の中で自分のプレーを磨くことができました。それにバスケット以外の面も、井手口先生から人間性の部分をよく言われてきて、人としても成長できたかなと。先生は並里成選手(群馬)や河村勇輝選手(横浜BC)が高校時代、どう日々を過ごしていたかなどを教えてくれますし、毎日の井手口先生の言葉が、本当に大切な学びでした。先生の話を聞いて、特に自主練の時間を大切にすることは、自分でもいろいろ考えながらシューティングの質を高めて3年間やってこられたと思います
──いよいよ渡米となりますが、現在はどんな心境ですか?
中学3年生の頃から将来はアメリカに挑戦したいと思っていましたし、一番は楽しみ、という気持ちが大きいです。不安も少しはありますが、やっぱり自分でやると決めたことなので、弱音を吐いたらダメかなと思っています。
──渡米経験のある選手から何かアドバイスをもらったことはありますか?
テーブス流河選手(ボストンカレッジ進学予定)や、スラムダンク奨学金で僕の前に渡米した伊久江ロイ英輝選手(セントトーマスモアスクール)、木村圭吾選手(群馬)らに連絡を取っていろいろ質問させてもらいました。例えばテーブス選手には、アメリカでこの身長でやっていくために絶対に必要なものは何ですかと質問して、どんな体勢でも決められるシュート力が一番大事だというお話をうかがいました。そこは意識して練習しています。
──今後の目標や意気込みをお願いします。
今回「スラムダンク奨学金」で行かせてもらうので、選考で落ちた人の思いも背負っていますし、日本を代表して行くわけなので、それに恥じないようしっかり全力でやろうと思っています。バスケットだけでなく勉強も頑張りたいです。
向こうではみんな背が高くて身体能力も高いと思うので、今までのような得点で引っ張るスタイルは通用しないかもしれないし、チームのシステムなども違うと思います。まずはチームのシステムを理解して、その中で自分のやるべきこと、得点以外のアシストやディフェンスも磨いて成長したいです。速さを武器に得点しつつ、味方を生かすようなアシストができる選手になれればと思います。
今の目標はディビジョン1の大学からオファーをもらうこと。死ぬ気でやらなければ、大学からのオファーはかからないと思っています。富永啓生選手(ネブラスカ大)のように、ハイメジャー(強豪)な大学で活躍したいです。
あとは明確な目標というわけではありませんが、自分は2年生のときにスペインと試合をさせてもらってから、スペインのバスケットスタイルもすごく好きで。NBAだけでなく、ユーロリーグにも興味があるので、いつかチャンスがあれば挑戦したいです。
──ちなみに昨年はワールドカップも盛り上がりましたが、日本代表を見てどんなことを感じましたか?
自分の地元の沖縄でワールドカップが開催され、日本がすばらしい歴史を残して、本当にたくさんの人たちに感動を与えてバスケットボールもメジャーになってきていると思います。そこは自分も、日本代表の選手たちに負けじとアメリカでしっかり活躍したいです。そうすれば、「アメリカでバスケットがしたい」という子も増えると思うので。自分も日本代表の選手たちみたいに、人に影響を与える選手になりたいです。
──後輩たちに一言お願いします。
ウインターカップで優勝してプレッシャーはあると思うし、それを感じないようにと言っても難しいかもしれません。でもできる限り過去の記録は気にせず、自分たちらしいバスケットをして、一番はバスケットを楽しんでほしいです。笑顔を絶やさず、毎日楽しみながら頑張ってくれればと。つらいことは絶対あると思いますが、それを乗り越えたら楽しくなってくると思うので。自分もアメリカで頑張るので、後輩たちにも頑張ってほしいし、応援しています。
Profile
さきはま・しゅうと/福岡第一高3年/177cm/PG/沖縄県出身/西福岡中
写真/JBA、取材・文/中村麻衣子(本誌編集部)