月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.02.06

倒され、吹き飛ばされながら強くなる川真田紘也(滋賀レイクス)

©B.LEAGUE

1月28日の福島ファイヤーボンズ戦を105-108で落とした滋賀レイクスは、その後131日に西地区首位攻防戦となる熊本ヴォルターズ戦に101-104で敗れ、さらに23日、4日にも現時点でのB2最高勝率で東地区首位を走るアルティーリ千葉に連敗を喫した。A千葉戦はその前の2試合に続きいずれも100失点以上だっただけでなく、どちらも30点以上離されての大敗(GAME1が68-105、GAME2が80-116)。今シーズンワーストの4連敗で、滋賀は西地区首位から3位に順位を下げている。


そんな厳しいチーム状況で、良い兆しの一つと言えそうなのが川真田紘也のプレーぶりだ。

川真田に関しては、FIBAアジアカップ2025予選Window1に臨む男子日本代表合宿参加メンバーに名を連ねることが、熊本戦当日に公になっていた。奇しくもその日以降3試合続いた上位チームとの対戦で、川真田はそれまでのシーズンアベレージ(平均6.5得点)を上回る平均9.3得点、3.0リバウンド、1.0アシスト、0.7ブロックを記録。数字にならないハッスルも含め、進化を感じさせていた。どんな部分が良かったのだろうか。





1/31 vs.熊本——“暴れマクリーンとのマッチアップ

第3Q終了時点で6点リードしていながら、第4Qに逆転されて敗れた熊本との一戦で、川真田は1358秒間の出場し、数字としてはフィールドゴール3本中2本を成功させて6得点、2リバウンドと1アシストを記録している。スタッツは控えめだが、ここでは別の部分に注目してみたい。


©B.LEAGUE

川真田はこの試合でジャメール・マクリーンとマッチアップする時間が長かった。身長203cmのマクリーンは“暴れマクリーン”の異名を持つセンターフォワードで、この試合でも最終的に22得点、10リバウンドと大いに暴れて熊本の勝利に貢献している。これを見れば、勝負として川真田がマクリーンを抑えたとは言えないことが明らかだ。しかし、第3Qまでは川真田のディフェンスも力強く、クォーター終了時点では6得点、6リバウンドだった。

川真田のハンドチェックに対し、マクリーンはかなり力を込めて振り払うような場面があり、バンプなどのコンタクトも遠慮なくしてきた。しかし第3Qまでの川真田はそのフィジカルさにイラつくことなくうまくいなし、またスウィッチして別のプレーヤーに対応する際にも、相手が突っ込んでいきたいコースにうまく立ちふさがる好ディフェンスができていたのだ。

オフェンスでは、タイミングよくガード陣にスクリーンをセットし、そこからオープンスペースにスリップ(ペイントに向かうカットムーブ)して、ボールを受けられる優位なポジションをたびたび確立した。第3Q残り31秒に、野本大智とのコンビで奪った自身6得点目(チームとしては75点目)がこの例だ。この場面で川真田は、トップ付近でドリブルする野本にハイスクリーンをしかけ、野本のドライブに合わせてペイントに走り込み、ボールを受けて軽やかなユーロステップからレイアップを流し込んだ。

この試合に関しては、トランジションやトラップでのディフェンス、リバウンドでもうひと頑張り期待したかった部分もある。特に第4Qにやや集中を欠いたような場面があったのが残念だ。この時間帯には、ディフェンス・リバウンドのボックスアウトがやや甘くなりマクリーンに奪われ、セカンドチャンスでダンクを叩き込まれている(ファウルもコールされスリーポイントプレー成功)。フィジカルな相手とのタフな戦いを闘志と冷静さを保って継続し、ハーフコートの攻防でのコミュニケーションやIQの高さも強く感じさせていただけに、あとはそれを試合終了までやり切るだけという印象だ。





文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 川真田紘也 滋賀レイクス

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