月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.02.04

「BリーグU16チャレンジカップ2024」名古屋D U16がCZ Academy U15に決勝でリベンジ!

閉会式の後には3か国の全6チームで集合写真を撮影

決勝カードは予選リーグの再戦に


2月3、4日の2日間、国立代々木競技場第二体育館を舞台に行われた「B.LEAGUE U16 CHALLENGE CUP 2024」。コロナ禍でしばらく海外チームの招へいを断念してきたが、今年は約5年ぶりに韓国(サムソン サンダーズ U15)とチェコ(CZ Academy U15)からの参加が実現。「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023」の上位4チーム(名古屋ダイヤモンドドルフィンズU16、ライジングゼファーフクオカ U16、横浜ビー・コルセアーズU16U16島根スサノオマジック)を交え、全6チームで熱戦が繰り広げられた。

 

大会初日はABの2グループに分かれて予選リーグが行われ、AグループからはCZ Academy U15と名古屋D U16が、Bグループからは横浜BC U16と福岡U16が2日目の決勝トーナメントへと進出。各グループ3位のU16島根とサムソンU15は交流戦へと回った。大会2日目は準決勝2試合と交流戦、そして決勝戦の4ゲームを実施し、下記の結果となった。

 

【2日目試合結果】


<準決勝>
CZ Academy U15 (A1位) 77‐56 ライジングゼファーフクオカ福岡 U16B2位)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U16A2位)U16 85‐73 横浜ビー・コルセアーズ U16B1位)
<交流戦>
U16 島根スサノオマジック(A3位) 88‐48 サムソン サンダーズ U15B3位)
<決勝戦>
CZ Academy U15 70‐83 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U16


大会2日目、まず行われたのがCZ Academy U15と福岡U16の準決勝だ。CZ Academy U15は、2027年にチェコで開催されるFIBA U19 ワールドカップに向けて強化をスタートさせた国内トップクラスの逸材たち。大会直前に選手がそろい、これが初めて大会出場とあって粗削りな部分はあるものの、エントリー平均身長191.8cmという驚異の高さを誇った。対する福岡U16は、平均177.3cm。今大会は全九州春季選⼿権⼤会の県予選と日程が重なったため中学3年生9人のみの登録で、鶴我隆博コーチに代わり山口昌也コーチが指揮を執った。試合は平面バスケットを展開した福岡U16が4Q途中まで10点差前後で食らいついたものの、最後は突き放されて56‐77で万事休す。山口コーチは「フィニッシュのところでフェイクをしてもブロックされてしまったり、3Pシュートも気持ち良く打たせてもらえなかったり…。でも、そこで弱気にならず、全員でディフェンスから走れたところは良かったです」と語り、課題と手応えの両方を手にした様子だ。

 

強いリーダーシップでチームを引っ張った福岡U16#6永善元希

 

もう一つの準決勝は、名古屋D U16と横浜BC U16のカード。横浜BC U16は体調不良により大黒柱の#11大越海藍とガードの#2阿部洸太の高校1年生2人が欠場するアクシデントに見舞われ、序盤から名古屋D U16にリードされる苦しい展開だった。だが、U15チームのキャプテン#4渡辺聖を起点に怒とうの追い上げを見せ、4Q残り6分40秒には2点差に。それでも、名古屋D U16はエースの#2若野瑛太ら主力をコートに戻して落ち着きを取り戻し、#14川邉蒼侑がバスケットカウントや3Pシュートを決めて逆転を許さなかった。結局、再びリードを広げた名古屋D U1685‐73で横浜BC U16を振り切り、決勝へと駒を進めた。

 

アクシデントを乗り越え怒とうの追い上げを見せた横浜BC U16

 

決勝戦の前には、予選リーグ3位のU16島根とサムソンU15による交流戦が行われた。初勝利を懸けたゲームは序盤から競り合いとなり、前半を終えてU16島根が僅かに5点リード(3328)。ただ、後半からディフェンスを強めたU16島根が3Qで一気にリードを広げ、最終的には8848で快勝を収めた。U16島根は今大会の2日間でCZ Academy U15、名古屋D U16、サムソンU15の3チームと対戦。特に海外チームとの試合は初めてで、キャプテン#7鈴木龍雅は「普段は味わえない高さやフィジカルを味わうことができました。強いチーム相手にどれだけ自分たちのバスケットをやり抜けるかを意識して、できた部分もあればできなかった部分もあり、今後につながる経験になりました」と収穫を語っていた。

 

U16島根は海外チームや優勝した名古屋D U16と対戦して貴重な経験を積んだ(写真は#7鈴木)

 

 

 

会心のゲームで名古屋D U16CZ Academy U15を下す

 大会を締めくくる決勝戦は、前日の予選リーグでも対戦したCZ Academy U15と名古屋D U16による再戦となった。予選リーグ、7592で敗れた名古屋D U16にとっては、挑戦者として臨むリベンジマッチ。吉田英司コーチが「前日の反省から、ディフェンスとリバウンドの部分を修正しました。特にトラップのディフェンスを今回変えて、ハーフコートに運ばれる前に前から当たってアドバンテージを取れるようにしました」と明かすように、序盤から激しいディフェンスを仕掛け、相手のミスを誘った。速攻から#2若野がバスケットカウントを決めるなど良い流れを作って1Qは2313とリード。2Qに入っても#6小川莞大の2連続3Pシュートなどで試合を優位に進め、#2若野のバスケットカウントや#14川邉のジャンパーで残り6分、371918点差を付けた。

 
絶妙なタイミングのずらし方で得点を量産した名古屋D U16#2若野


 流れを変えたいCZ Academy U15は、高さを生かしてリバウンドを掌握するものの、名古屋D U16の激しいディフェンスを前にタフショットを強いられる。#8マーティン プロカスカの活躍で大きくは離されずに付いていくが、名古屋D U16の勢いは止まらない。#14川邉の3Pシュートなどで、前半を終えて473215点リードに成功した。

勝負どころとなったのが3Qだ。序盤から一進一退の攻防が続いたが、#8プロカスカの連続ドライブでCZ Academy U15が一時8点差に迫る。それでも、名古屋D U16はこの苦しい場面で#14川邉が勝負強い3Pシュートを決め、エースの#2若野も落ち着いてシュートをねじ込んだ。#91村上航清も「相手は高さもあってフィジカルも強かったですが、リバウンドに対する意識では自分の方が上だと思って頑張りました」とリバウンドを量産。6653と、再びリードを2桁に乗せて我慢の3Qを切り抜けると、4Qは#13藤田翔の3Pシュートや#91村上のバスケットカウントが決まって大盛り上がり。その後もディフェンスの手を緩めなかった名古屋D U16が、最終スコア8370でうれしいリベンジを果たした。

 

 会心のゲームで優勝を飾り、「僕自身、選手たちから学ばせてもらっています。選手たちの頑張りには本当に拍手を送りたい」と称賛した吉田コーチ。名古屋Dは、U18チームが来週の1011日に行われる「B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2024」に出場予定で、#2若野は「今大会、海外チーム相手に通用したところを来週もしっかり生かして、優勝できるように頑張りたいです」と話していた。

 

CZ Academy U15#8プロカスカは力強いドライブでディフェンスを切り裂いた

 

 

一方、敗れたCZ Academy U15も、優勝チームに遜色ない実力を見せ、出場した日本の選手たちに大きな刺激を与えたことは確かだ。対戦したり間近でプレーを見たりした選手たちの口からは、「全員ミスマッチになるほど大きいし、みんながアタックしたりシュートを打ったりしてきて、バスケットIQの高さをすごく感じました」「2mの選手も中だけでなく外のプレーもしてくるので、規模が違うなと思ったし、世界レベルに行くためにはもっとプレーの精度を上げなければと感じました」といった驚きの声が上がった。まだまだ発展途上にあるU16世代にとって、早い段階で世界のレベルを知れたことは未来につながる財産となるだろう。

 

もともと、このチャレンジカップが創設されたのは、世界に挑戦する意識を高めるとともに「世界に通用する選手やチームの輩出」に向けた育成強化の礎を作る機会を提供することが狙い。5年ぶりに海外チームも参戦した今大会は、まさに各チームがそれぞれに“チャレンジ”し、Bリーグユースチームと海外チームとで交流を図りながら得難い経験を積む機会となった。中学3年生以下の選手たちは、3月末に開催される「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2024」にも、今大会の学びを生かしたいところだ。

 

 

■特設サイト

https://www.bleague.jp/u16-challengecup-2024/

 

 

 



文/中村麻衣子(月刊バスケットボール) 写真/石塚康隆

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