イースト2位バックスがまさかのヘッドコーチ解任、プランティACが暫定HCに
グリフィンHCがわずか43試合で解任
現地1月23日(日本時間24日)、NBAミルウォーキー・バックスはエイドリアン・グリフィンヘッドコーチを解任し、アシスタントコーチのジョー・プランティが代行を務めると発表した。イースタン・カンファレンス2位(30勝13敗)、リーグでも2位タイの成績を残しているチームがなぜこの決断を下したのか? 現地報道ではディフェンス力が解任理由だと報道されている。
【表】バックスのチームスタッツをチェック
2021年のNBAチャンピオンであるバックスは、2度のシーズンMVP受賞者ヤニス・アデトクンポがエースのチーム。昨季レギュラーシーズンは58勝24敗をマークし、イースト第1シードでプレーオフに臨んだものの、1回戦でヒートに1勝4敗で敗退してしまう。すると優勝時も指揮していたマイク・ブッデンホルザーHCを解任。オフにトレイルブレイザーズからオールスター選手デイミアン・リラードを獲得し、新HCに据えて今季に臨んでいたが、グリフィンはわずか43試合、しかもイースト2位の成績を残しながら解任された形になってしまった。チームとしてはこのままではポストシーズンは勝ち抜けないと判断したということなのだろう。解任を決定したジョン・ホーストGMはチームを通じて「シーズン中の決断は難しいものだった。我々は新たなヘッドコーチを探している」と発表。簡単な決断ではなかったとしている。
解任の理由として伝えているのはディフェンスの悪さである。平均失点は120.5でリーグ25位、ディフェンス・レイティングは116.8で21位。セカンドチャンスでの失点(14.4で22位)、速攻での失点(15.0で23位)、ペイントエリアでの失点(54.0で25位)もリーグ下位となっている。西高東低と言われるNBAではあるが、イースト2位のチームとしてはお世辞にもいい数字とは言い難い。ちなみに平均得点は124.6でリーグ2位。スタッツ上、オフェンスが良いから勝てているというチームである。30勝13敗は悪い成績ではない。しかし、これではポストシーズンを勝ち抜くことはできないだろうというのが解任に至った理由なのだろう。
それでは優勝が見込める後任ヘッドコーチは誰になるのか?
「ESPN」のエイドリアン・ウォジュナロウスキー記者や「The Athletics」のシャムズ・シャラニア記者が有力候補として伝えているのがドック・リバースである。マジック、セルティックス、クリッパーズ、セブンティシクサーズでヘッドコーチを経験。2008年にはセルティックスでチャンピオンに導くなど経験値の高さは言うまでもない。昨季までセブンティシクサーズのHCを務めていたリバースは、実はバックスの要請で数週間、グリフィンHCの非公式コンサルタントとなっていたと伝えられている。その経緯の中で、リバースのほうがいいという考えに至った可能性もあるだろう。リバース以外ではウォリアーズのケニー・アトキンソンACも候補に上がっているという。
2005-06シーズンに途中からヒートのHCに就任したパット・ライリー(現ヒート社長)や2015-16シーズン後半からキャバリアーズHCに就任したティロン・ルー(現クリッパーズHC)など、シーズン途中にヘッドコーチが交代し、チャンピオンになった例はある。果たしてバックスは今季、どんな結末を迎えるだろうか。
文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)
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