月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.01.24

渡邉伶音(ライジングゼファー福岡特別指定選手/福岡大附大濠2年)のBリーグデビュー、ロペスHCも「故郷の千葉で実現できてよかった」

Bリーグでデビューを果たした渡邉伶音(写真中央、白のユニフォーム㊷ ©B.LEAGUE)

ライジングゼファー福岡に特別指定選手として加わっている渡邉伶音が、121日に千葉ポートアリーナで行われたアルティーリ千葉とのアウェイゲームでBリーグデビューを果たした。


渡邉は福岡大附大濠の2年生で、身長206cmのビッグマンだ。昨年末のウインターカップでは中心的存在として母校の準優勝に大きく貢献し、大会ベストファイブに選出された。U17U19日本代表としてワールドカップの舞台を踏んでおり、特に昨年のU19ワールドカップでは日本初のベスト8進出の力となった。

千葉県松戸市出身の渡邉にとって、今節はリーグ首位のチームを相手に故郷へ錦を飾る機会。「その時」は、5,089人の大観衆が集まったGAME2の第1Q残り325秒、13-15と競った状況で訪れた。コートに入った渡邉は、さっそく前田怜緒のドライビングレイアップに立ちはだかって得点を阻止するナイスディフェンスで存在感を示すと、続けて今度は相手のビッグマン、アレックス・デイビスのゴール下でのプットバックをブロックしてみせた。

同Qの残り139秒には、阿部友和との連係で相手ディフェンスに一瞬の隙ができたところを突いてペイントにアタック。渾身のレイアップは惜しくもリムに弾かれたが、ブロックに跳んできた熊谷尚也と見応えある空中戦を披露した。


熊谷尚也が待ち構えるゴール下に猛然とアタックする渡邉(写真/©B.LEAGUE)





残念ながら試合には59-88で敗れ、得点もなかった渡邉だが、試合後は「ずっと夢に見てきた舞台に初めて立つことができて、まずはすごくうれしかったです」と感慨深げ。前述のレイアップのほかにも何度かあった得点機を生かせなかったのはやはり悔しかったようで、「積極的にアタックできたのは良かったのですけど、決め切るべきシュートを決めきれなかったことが反省点です」と振り返っている。しかし、「緊張もあり大舞台で力が発揮できなかった」という中で、B12度ブロック王に輝いたデイビスを止めた1ブロックは、現在の拠点である福岡への立派な手土産だろう。

モンチョ・ロペスHCは、試合後の会見で渡邉について以下のように評価と期待を語っている。

「若くて潜在能力が高い渡邉は将来、日本のバスケットボール界にとってとても重要な存在になると思います。我々とのプレーを楽しみながら、一生懸命頑張ってくれればそれでいいし、実際頑張ってくれています。強豪高でプレーして、ユースレベルの日本代表を経験したプレーヤーとはいえ、大人のバスケットボールは難しく、身体的にも内面的にもより高いものを求められるということを肌で感じているでしょう。バスケットボールの知識を深めて、体の使い方を身につけて、良いタイミングで良いところにいられるようなプレーヤーになってくれたらうれしいですね」

デビュー戦の出来自体についても、「今日は故郷の千葉に帰ってきて、リーグでも最強のチームを相手に初めてプロとしてプレーしたのですから、非常に難しかったはずです。でもここでデビューできてよかった。うれしいことですよ」とロペスHCのコメントは前向きだった。


モンチョ・ロペスHCの指示を聞く渡邉。17歳の表情にはまだあどけなさが感じられる(写真/©B.LEAGUE)

前日の試合で、ブライス・ワシントンとギャビン・ウェアの外国籍ビッグマン・コンビが故障したこともあり、渡邉の出場機会は今後増えてくる可能性もある。ロペスHCは、渡邉の加入によりビッグマンが一人増えたことで、練習内容が良くなっていることもほのめかしていた。福岡は今節の連敗で西地区3位に順位を落としただけに、内心ではデビューしたての渡邉が上昇の起爆剤になることも期待しているのではないだろうか。

次節は渡邉にとって高校の先輩にあたる日本代表の井上宗一郎ら、ユニークな能力を持つビッグマンがそろう越谷アルファーズをホームに迎えての2連戦。渡邉の出場と活躍も期待したくなる対戦だ。





取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 福岡大附大濠 ライジングゼファー福岡

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