月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2024.01.18

プロ初得点の千葉ジェッツ内尾聡理、盟友からのアシストに「彼がどこを見ているかほかの選手よりも分かっている」

プロ初得点は盟友からのアシスト

試合時間残り1分05秒、その時は訪れた。

オールスターウィークエンドを挟んで再開したBリーグ2023-24シーズンの第17節で秋田ノーザンハピネッツをホームに迎えた千葉ジェッツは、4Q残り1分25秒の時点で101-69と勝利を手中に収めていた。

そこでコートに入ったのが、中央大から特別指定選手として加わった内尾聡理だ。184cmのウィングは、福岡第一高時代から守備の名手として知られ、河村勇輝を中心とするチームでエースキラーという重要なタスクを担ってきた。

中央大では、持ち前のディフェンス力に加えて得点力も伸ばし、1年時から活躍。4年目のシーズンを終えた年明け1月10日に千葉J入りが発表されていた。

この試合がレギュラーシーズンデビュー戦ではあったものの、厳密にはオールスター前の東アジアスーパーリーグ(vs.安養正官庄レッドブースターズ/韓国)でプロデビューは果たしている。ただ、この試合では2Qに出番を得たものの、ターンオーバー1つにファウル1つ、1本だけ放った3Pシュートはエアボールに終わるなど、悔しさが残るデビュー戦となっていた。


初得点のシーン。小川からのアシストをレイアップで沈めた

挽回を期して臨んだ秋田戦では、コート入りからわずか20秒でインサイドにカッティングし、ペイント内でパスを受けてレイアップで初得点。この得点により、千葉Jはシーズンハイの103点目を記録した。

しかも、その得点をアシストしたのは福岡第一高で共に頂点を極めた盟友・小川麻斗だった。内尾はそのシーンを振り返り、「高校から一緒にやってきて、いろんなことを乗り越えてきた仲間とプロの舞台で一緒に試合に出られたのはうれしいですし、彼がどこを見ているのかはほかの選手よりも分かると思っているので、それが良い結果につながりました」と満足気な表情。

普段はポーカーフェイスの内尾だが、小川からのアシストであることに触れると、満面の笑みで質問に答えてくれた。

見せ場はもう一つあった。試合時間残り48秒にディージェイ・ステフェンズが拾ったリバウンドを小川が受け、福岡第一時代を彷彿させるトランジションでのクロスコートパスを内尾に送ったのだ。ゴールに一直線に向かった内尾はレイアップをフェイクにゴール下でフリーになったトビンマーカス海舟の得点を演出。チーム最後の得点を鮮やかなアシストで生み出してみせた。

「先週は納得できるプレーができなくて、個人的にはその悔しい気持ちがあった分、今日は初得点とアシストで絡めたので良かったです」

この回答は、淡々と答えるいつもの内尾だった。


2019年の福岡第一は河村を筆頭に盤石の強さを誇った(背番号54が内尾)

千葉Jは原修太や二上耀、大倉颯太とガードもしくはウィングプレーヤーにケガ人が続出しており、内尾は「ケガ人が混んでいて、自分にチャンスがあるという話も聞いていましたし、今までたくさん優勝しているチームに入ることでいろんな経験ができると思いました。レベルの高い選手との練習で、見たり学んだりできると思ったのが決め手になった」と、数あるオファーの中から千葉Jを選択。

背番号は大学時代は「2」を着けていたが、「2は(富樫勇樹の番号なので)絶対に着けられない(笑)」と新たに「18」を選択。小学生の頃に初めてもらった番号を背に、「もう一度、初心に戻ってやっていこう」と決意を込めた。

2019年にインターハイとウインターカップを圧倒的な強さで駆け上がった福岡第一高の先発メンバーは、いずれも今年が大学4年生の年。河村と小川はすでにプロ入りし、内尾もそこに加わった。神田壮一郎とクベマジョセフスティーブはまだ発表はないが、彼ら2人もプロで戦える実力は備えている。現時点では同世代の河村、小川、内尾の“福岡第一トリオ”(1学年上の松崎裕樹を加えるとカルテット)がそろう横浜ビー・コルセアーズ戦はファンにとっても非常に楽しみなことだ。

「(河村と)バチバチのマッチアップができるくらいまでプレータイムを勝ち取らないといけないので、まずは千葉ジェッツの一員として頑張っていきたい」(内尾)

横浜BCとは、2月10、11日にホームでの直接対決を迎える。そのときまでに内尾が安定したプレータイムを獲得するのは至難の業だ。だが、高校界を沸かせた福岡第一の黄金世代がプロの舞台で対戦相手として共演する──直接のマッチアップはもう少し先だとしても、これほどワクワクすることはない。



写真/©︎B.LEAGUE、JBA 取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

PICK UP