【ウインターカップ2023】最後はひときわ輝く笑顔で──京都精華学園 #4堀内桜花
中高6年間の集大成、優勝の喜びをかみ締める
試合終了のブザーが鳴り、堀内桜花はチームメイトたちと抱き合って喜びを爆発させた。1年時は桜花学園に敗れて涙を流し、2年時は優勝こそしたものの、その瞬間は喜びを爆発させるとまでは至っていない。
高校3年目、京都精華学園中時代を含めると6年目の最後の年で、しかも大接戦を制しての優勝。ようやく自分を認め、本当の意味で優勝をかみ締めることができたのだろう。
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「最初から最後まで40分間、気が抜けない戦いになったんですけど、最後に勝ててめっちゃうれしいです。今までのように接戦になるかもしれないし、岐阜女さんはすばらしいチーム。何が起こるかわからないというのはチームみんなで話していたので、今日の試合で勝ち切れてよかったです」
優勝後のフラッシュインタビューで堀内はそう喜びを言葉にした。
以前の彼女であれば、それを言葉にすることすらできなかったかもしれない。1、2年時は取材でも話す内容が頭に浮かばずに黙り込んでしまうことも多く、コートでの頼もしいプレーとは対照的な一面を見せていた。
しかし、3年生となった今年はキャプテンも務め、プレーだけでなくコート外でのインタビューなどでも京都精華学園を代表できる、正真正銘のチームの顔となった。もしかしたら、彼女の最も成長した部分は取材などへの受け答えの面かもしれない。
そんな話を本人にすると、「はい、もう6年目なので!」と笑いながら答えた。
プレーに目を移しても、決勝戦では13得点、10リバウンド、8アシストと、あわやトリプルダブルの大活躍。1年時はパスで見る者を魅了し、2年時は決勝で17本を記録したリバウンドで終尾を驚かせ、そして今年はその2つの武器をさらに伸ばしつつ、得点やゲームメイクの面でも絶対的な存在へと進化していった。
山本綱義アシスタントコーチは堀内について、「堀内は中学に入ってきた頃からパスとドリブルはかなりできるなという印象だったのですが、とにかく小さい子でね。当時は地面を縫うようなバスケットをしていたんですよ(笑)。だから、寮生活でとにかくご飯をたくさん食べさせて、今では169cmまで身長が伸びました。背が伸びたことでコートビジョンも変わってきたと思います」と振り返る。
パスコースが見えてしまうあまり、そこに楽しさを覚え、シュートを打てるタイミングでもパスを出してしまうこともあった。それでも、今年はそのバランスを考えながら打つべき場面では得点を狙い、前述した決勝のスコアもチームにとって大きな助けとなった。
筆者が初めて堀内を取材したのは、彼女が中学2年生だった2019年の和歌山全中。その試合は八王子一中に延長戦の末に敗北したが、ほかの選手とは異なる独特なオーラとプレースタイルが目を引いた。身長こそ165cmほどあったが、山本Aコーチが言うように「小柄」というのが第一印象だった。
それから1年半後のJr.ウインターカップでは決勝で四日市メリノール学院中に延長の末に逆転負け。堀内はコート中央で天を仰ぐように涙を流していた。その翌年のウインターカップも含めて、最初の数年は彼女が悔しがっている場面での取材がほとんど。昨年のインターハイ優勝以降も彼女が本当の意味で満面の笑みを浮かべているところは、ほとんど見たことがなかった。
だからこそ、優勝後に見せた彼女の笑顔はひときわ輝いて見えた。
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「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」
(略称:SoftBank ウインターカップ2023 / ソフトバンク ウインターカップ2023)
■開催期日:2023年12月23日(土)~29日(金)
■会場:東京体育館(A,B,C,D,Mコート / 東京都渋谷区千駄ケ谷1-17-1※メイン会場)、武蔵野の森総合スポーツプラザ(E,F,G,Hコート / 東京都調布市西町290-11※サブ会場12月23日のみ)
■出場校:男女各60チーム(計120チーム)
文/堀内涼(月刊バスケットボール)
タグ: ウインターカップ2023