月刊バスケットボール6月号

【ウインターカップ2023】聖和学園のルーキーがかみ締めた初めての冬の舞台


京都精華学園戦で今大会初の2桁得点


「ウインターカップは初めてということもあって、出だしがあまり良くなくて、試合が終わってからうまくいかなくて泣いたこともありました。でも、先輩たちとの試合は一試合一試合が大事だから、悔いを残さないようにやり切ろうという思いがありました」

聖和学園のルーキー#13齋藤凌花は、そう大会を振り返った。


『ウインターカップ2023』特設ページ(日程・出場校&選手名鑑・トーナメント表)

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今年度の東北地区では敵なしだった聖和学園において、1年生で唯一主力として活躍し、ウインターカップでも3回戦と本日の準々決勝ではスタメンを任された。まだまだ細身で、フィジカル面では相手の上級生に劣る部分があるが、切れ味鋭いドライブや3Pシュートからは高いポテンシャルを感じさせた。

中学時代は地元・福島県の福島ファイヤーボンズU15のエースとして活躍。今年3月に開催された「B.LEAGUE U15 WOMENS CHAMPIONSHIP」ではチームを優勝に導き、自身も大会MVPに輝いている。しかし、Bユース女子の大会自体が少なかっこともあって、その実力はなかなか日の目を見ることはなかった。


3月の「B.LEAGUE U15 WOMENS CHAMPIONSHIP」では素晴らしいプレーでMVPを獲得(写真:月刊バスケットボール)

聖和学園に入学したのも、練習会に参加して小野裕コーチに見いだされたから。現在は仙台に単身赴任している父と2人暮らしで高校に通っているそうだ。

6月の東北大会やインターハイでも流れを変える起爆材として出場してきたが、まだまだ遠慮が見られた。だが、齋藤の力を信じた先輩たちが伸び伸びプレーできる環境を作ってくれた。「練習や試合のときに先輩が『自分の得意なプレーをもっとやっていいんだよ』とすごく後押ししてくれました。それが、今日の試合で積極的にドライブなどをすることにつながったのかなと思います」と齋藤。

京都精華学園に挑んだ準々決勝では、チーム最多タイの15本のシュートを放ち12得点。32分近く出ながら無得点に終わった3回戦とは見違えるようなプレーを、夏の女王相手にやってのけたのだ。

U18日清食品トップリーグでも京都精華学園とは対戦したが、齋藤はその試合を体調不良で欠場。だからこそ、「京都精華学園とやるのがすごく楽しみな気持ちがあったので、あんまり何も考えずに自分の得意なことをやり切ろうという気持ちでやれました」と、いつも以上のアグレッシブさを見せた。

そのプレーには小野コーチも「留学生を怖がらずに最後までフィニッシュにいくことがテーマでした。今日はプルアップのジャンプシュートはやめて、ブロックされてもいいからいってみようと。そういう意味では齋藤は本当にポテンシャルが高いので、将来が楽しみになる部分を見せてくれました」と目を細めた。齋藤のような才能が自らチームに転がり込んできてくれたことは、小野コーチにとっても予想だにしない幸運だったに違いない。

結果的には57-84で敗れて聖和学園の冬はインターハイと同じくベスト8で幕を閉じた。ただ、齋藤にとってはあまりにも濃密で、楽しい4日間だった。齋藤は高校バスケの1年目をこう振り返った。

「レベルの高い先輩方と一緒にプレーすることができてすごく誇りに思えました。ウインターカップは日本全国からいろんなトップの高校がやってくる中で試合ができて、楽しい時間でした。緊張はしたんですけど、一生懸命楽しくやることができました」

そして、しっかりと先も見据えている。

「来年の大会にも阿部(友愛)さんをはじめ、先輩方ともっと協力して、上を目指してやっていきたいです。個人としては自分の持ち味のドライブと3Pをもっと磨いて、チームに絶対に欠かせない存在になれるようにしたいです」

聖和学園のダイヤの原石は、このウインターカップで磨かれ、少しずつ光を放ち始めた。



3年生でキャプテンの#4高瀬ゆのかと



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「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」
(略称:SoftBank ウインターカップ2023 / ソフトバンク ウインターカップ2023)
■開催期日:2023年12月23日(土)~29日(金)
■会場:東京体育館(A,B,C,D,Mコート / 東京都渋谷区千駄ケ谷1-17-1※メイン会場)、武蔵野の森総合スポーツプラザ(E,F,G,Hコート / 東京都調布市西町290-11※サブ会場12月23日のみ)
■出場校:男女各60チーム(計120チーム)



文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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