月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.12.22

相楽伊織のバスケ大好記⑤「私が見た宇都宮、横浜BC、SR渋谷、千葉J」

若手が生き生きしている宇都宮! 横浜BCはまだチームビルディング中?


こんにちは。相楽伊織です。
今回は12月3日の横浜BC×宇都宮(57‐76)、12月16日の千葉J×SR渋谷(88‐93)の2試合を現地観戦しての4チームの私なりの感想を書きたいと思います。

【画像】相楽伊織さんが投稿した千葉J対SR渋谷後のツイートを見る



宇都宮は育成に力を入れていると感じました

まず宇都宮については、試合観戦に当たり改めて調べたところ、昨シーズンはチーム設立以来初めてチャンピオンシップ進出を逃したということを知ってビックリしました。その情報を持って試合を見たのですが、私の印象は『絶好調じゃん! メンバーもそこまで変わっていないのに、なぜ昨シーズンはダメだったのだろう?』というものです。

四家魁人選手(22歳)や高島伸司選手(23歳)といった若手選手もコートに出ると伸び伸びプレーしていて、『昔からの強豪チームは、若手を育てる力があるんだろうな。選手とスタッフが一丸となって、チームとして育成に力をいれているんだろうな』と感じました。

横浜BCとの試合は、序盤、重い感じの入りとなりましたが、PGの四家選手が広い視野を生かしたパス回しで潤滑油となってチームに活力を与えていましたし、高島選手には主力メンバーに劣らない頼もしさがありました。昨季、高島選手が特別指定選手として加入したときは、『この前は3Pシュート入っていたのに、今日は入らないなぁ~』と調子の波が大きかったイメージを持っていましたが、今回見た試合ではチームに完全に馴染んでいて欠かせない戦力になっていました。





完全に河村勇輝選手のチームとなっている横浜BC、しかしチームビルディングの途中なのかも

一方の横浜BCは、完全に河村勇輝選手のチーム、という感じでした。昨シーズンから河村選手の活躍が目立っていましたが、今シーズンはさらにその傾向が強くなっているのでは?という感じで、ジョシュ・スコット選手との連係プレーも見事でした。でも、そこが押さえられたときに点数が伸び悩んでいる印象で、キング開選手や杉浦佑成選手が打開しようと試みるのですが、そこも押さえられてしまったときに、誰を使えばいいのだろう?となっている気がしました。

私が見た宇都宮との試合では、57‐76と差をつけられての敗退だったのですが、オフェンス、ディフェンスともにチームとしてどういう動きをしたいのかが明確でない感じで、チームルールというか連係がうまくいっていない印象でした。横浜BCはスピードが持ち味のチームだと思いますが、それすらも宇都宮のペースに持っていかれて、本来の良さをなかなか出せていないな、と。昨シーズンは森川正明選手(長崎)が外から3Pシュートを決めれば、河村選手が中に切れ込んで、ゴール下にいるチャールズ・ジャクソン選手(京都)との連係も取れていましたが、まだそういうかたちができていなくてチームビルディングの途中なのかな?と思いました。

スタメンが頑張っているSR渋谷 千葉Jはディフェンスがすごかった


SR渋谷については、ジェフ・ギブス選手が入ってきてくれて、本当に助かっています。「どの立場で言ってるの?」という感じですが(笑)、本当にゴール下のパワープレーが頼もしくてありがたいです。

戦い方としては、私が見た千葉Jとの試合ではあまりタイムシェアをしていなかったので、『セカンドチームに自信がないのかな?』という印象を受けました。ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手やライアン・ケリー選手が戦線離脱していて苦しいチーム事情もあると思いますが…。期待したいのは田中大貴選手です。昨シーズン途中に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けたこともあり、まだ本調子ではないと思いますが、これから少しずつ上げていってくれるはずです!




田中大貴選手、期待しています!

それでも、スタメン5人全員のプレータイムが30~40分以上と長いと、選手も1Qから全力で走ってプレーできないんじゃないかな、と。見ている側としても、何かツライんです。タイムシェアをすれば、コートに出たとき常に全力でできるようになると思いますし、小島元基選手、津屋一弥選手、永吉佑也選手ももっとプレータイムがあれば持ち味を出してくれるはず。チームとしても、今のままだと長いシーズンを乗り切れないことは分かっていると思うので、今後どういう展開になるか見守りたいと思います。


千葉Jのディフェンスは見事です

そのSR渋谷に延長戦で敗れた千葉Jですが、ビックリしたのはディフェンスがめちゃめちゃ強かったこと。小川麻斗選手、荒尾岳選手など日本人選手もフィジカルが強くて、1on1でのディフェンスが素晴らしいだけでなく、SR渋谷がボールを回しても回しても3Pシュートを打つことができず、中にも入らせてもらえなかったのが印象的でした。また、今回初めて生で見たディー・ジェイ・ステフェンズ選手も跳躍力を生かしたディフェンスがすごくてビックリしました。

他に気になったのは、ゼイビア・クックス選手と大倉颯太選手、金近廉選手です。
クック選手は身長203cmと大きくてゴール下でプレーすることが多い選手ですが、技巧派でファウルのもらい方もうまいなと思いました。いろんなことを予測し計算しているバスケIQの高い選手、という印象を受けました。
大倉選手は2021年2月に右ひざの前十字靭帯断裂・内側側副靭帯断裂・半月板損傷という大けがをして、2021-22シーズンに復帰できたと思ったら、2022年11月に今度は左ひざの前十字靭帯断裂・内外側半月板損傷。初めて大倉選手のプレーを見たとき、『機動力があってパス回しがうまく、見ていて楽しいプレーをするな』と思っていたのですが、それから2度の大けがに悩まされていたので、今回、再び大倉選手の華のあるプレーを見ることができてうれしかったです。
金近選手は、ワールドカップで代表候補に選ばれたことを経て、自信を付けている感じでした。プレーの一つ一つが浮き足だっていないというか確実なプレーで、ショットセレクションも的確な印象を受けました。パリ2024オリンピックで活躍してくれるんじゃないかと期待しています。

そういえば、千葉J×SR渋谷の試合では、記者会見(囲み取材)にも行ってきました。両チームの監督さんの話を聞いたのですが、どんな戦術で戦ったのか、相手のどの選手を警戒していたのか、オーバータイムになるまでの心境、オーバータイムでの戦い方などを知ることができて、勉強になりましたし、見ていて『たぶんこうなのかな?』と思っていたことの実際の狙いが分かってスッキリもしました。今後の『バスケ大好記』では、そうした記者会見での部分も伝えていきたいと思っています。





Profile
相楽伊織 Iori Sagara
1997年11月26日、血液型0型 出身地:埼玉県出身、身長:164cm
2013年乃木坂46の2期生として加入。 愛称は「いおり」「いおちん」。特技はバスケ、ジャグリング。学校の都合で1年遅れて同期生に合流。2018年7月に卒業し、現在はファッショ ンモデルや女優として活動。 2020年にBリーグ「サンロッカーズ渋谷」チームナビゲーターに就任。バスケットボールの魅力をSNSでも発信している。
[Instagram] https://www.instagram.com/_iorisagara264_/
[X] https://twitter.com/1126iorisagara




文/相楽伊織

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