月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.12.02

千葉ジェッツU18関谷間、17歳が進む夢への一歩[B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2023]

「プロは本当に緻密に練習をしていると感じた」


「今日はチームに良い印象を与えられたと思うので、個人としてはまずまずの出来だったと思います。チームとして、というモットーがジェッツにはあるので、今日は全員をまとめていくことを意識して戦いました」

【動画】千葉J公開の関谷間紹介動画をチェック

千葉ジェッツU18の#00関谷間(せきや・あいま)は、99-60で勝利した秋田ノーザンハピネッツU18との「B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2023」 3回戦をそう振り返った。初戦(2回戦)の大阪エヴェッサU18戦はコンディション調整のため欠場となったが、秋田戦はベンチから出場。プレータイム制限は設けられていたものの、ひとたびコートに立つとほかの選手とは異なる独特のオーラを醸していた。



武器は184cmの身長ながらボースハンドダンクもできるという身体能力と、高校生離れした筋骨隆々の肉体を生かしたドライブだ。秋田戦でも厳しいマークをものともせずにペイントに割って入り、わずか13分のプレータイムで10得点、6リバウンド。

ダブルチームをかけられても冷静に空いている味方にパスを飛ばし、決して無理にディフェンスを崩しにいくわけではない。だからこそ、相手はうかつに関谷へのディフェンスを仕掛けることができなくなる。本人もチームの連係を第一に考え「まず自分で攻めないとディフェンスも寄ってこないので、攻めることは意識しつつ、ヘルプが寄ってきたら空いているところにさばく。基本的なところを意識しています」と、しっかりと状況判断しながら戦っている。



「基本的なところを意識しています」と語る関谷間


向上心が強く、将来はアメリカの大学に入学し、プロとなってハイレベルな環境でプレーしたいという関谷。高校進学の際には複数のオファーもあったというが、海外とのコネクションが豊富なクラブチームのTokyo Samuraiでプレーすることを選択。今年の頭までは同クラブで活動していた。

転機となったのが、Tokyo Samuraiが毎年6月に行っているショーケースだ。そこにはBリーグ関係者も多数視察に来ており、居合わせた千葉Jトップチームの池内勇太GMの目に留まり、それを聞いたヘッドコーチのジョン・パトリックもその実力を認めたことで千葉J U18への加入が決まった。ユースでの活動はもちろん、トップチームでの活動も視野に入れてのリクルートだったのだろう。早速トップチームの練習にも参加し、10月にはユース育成特別枠で選手登録もされている。国内最高峰のB1の中でも強豪とされる千葉Jに身を置ける今の立ち位置は、関谷にとっては願ってもない好環境だ。

実際、トップチームの練習に参加したことで「トップに行くと自分のサイズで今のプレースタイルではやっていけないので、将来的には1〜3番がこなせる選手になっていきたいです。トップチームの練習に初めて参加して思ったことは、本当に緻密に練習しているということ。ディフェンス一つ取っても一歩動くだけで相手の見え方やポジションが変わると教わって、そういうところまで突き詰めていかなければトップにはいけないんだなと感じました。それに、トップチームの選手は本当にシュートを落とさないんです。そこはまだまだなので、自分に必要なものだと思っています」と肌で感じた部分も多く、そのギャップにも目を輝かせる。



そんな関谷についてU18チームを指揮する阿蘓宗之HCは「彼はプレーのみならず素直で真面目な性格の子なので、人間的なところもプロ向きだなと思います。トップチームの練習に参加したことなどによるおごりも全くなく、大学生や社会人1年目の子と話しているくらいの成熟度です」と彼の人間性について触れる。

関谷の存在はチームメイトにも大きな刺激になっているようで「チームの中で『関谷のようになればトップチームにも絡めるんだ』という基準ができました。それは大きなことです。プレー的にはまだ入って4か月ですし、その間にトップチーム参加やケガもあってコンビネーションの面などはまだまだですが、そういう姿勢を示してくれたことはすごく大きいです」と阿蘓HC。関谷自身も「基本的なことを積み重ねてプロが出来上がっていると思うので、ハンズアップやポジション移動などのチームでやることを徹底しようというところはU18にも持ち帰っています」とトップチームでの経験をユースチームに還元している。

ユースチームでは金近廉のようなオールラウンドな活躍を、そして将来的には大倉颯太のようなプレースタイルを目指していきたいという。地に足をつけながらも、得難い経験を重ねる17歳、関谷間の成長をこれからも見守りたい。


写真・取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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