月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.11.25

福島ファイヤーボンズに新加入の中国出身ビッグマン、リー シェンゼとは

©Fukushima Firebonds

福島ファイヤーボンズが1124日に発表した中国出身ビッグマン、リー シェンゼ獲得の一報は、故障もあり序盤戦で苦戦が続いているファイヤーボンズ自体はもちろん、ブースターを元気づけるビッグニュースに違いない。クラブ発信のリリースによれば、リーは中国のU15代表チームに選出され、その後スペイン、アメリカと海外生活を経験した国際派。また、ネット上の動画を見れば身長211cm、体重140kgとは思えない運動能力があることが感じられる楽しみな存在だ。


名前の漢字表記は李 圣哲で、ニックネームはビッグ リー。キャッチーな呼び名でファンにも大いに親しまれるのではないだろうか。以下、海外メディアの報道から、リーについての断片的な情報を拾ってまとめてみる。





☆ヤオミンと同じコーチから指導を受ける

上海出身のリーは、かつてNBAのヒューストン・ロケッツで活躍した中国出身のレジェンド、ヤオミンが幼少期に指導を受けたのと同じコーチの下でバスケットボールに親しんだことが伝えられている。この辺りは今後のさまざまな取材で深堀りされていく部分かもしれない。

☆英語が堪能

リーはユーロリーグのインタビューで英語での受け答えを難なくこなすほどのバイリンガルだ(3ヵ国語以上を話すかどうかは未確認)。スペイン時代に収録されたそのインタビューでリーは、幼少期にバスケットボールの世界でさらなる活躍を目指し、渡米して腕を磨くことを考えたものの、「当時は中国からアメリカへの留学が困難だったため、父の友人の伝手をたどってスペインに渡った」と話している。

☆クレイ・トンプソンの後輩

スペインからアメリカに渡ったリーは、カリフォルニア州にあるサンタ・マルガリータ・カトリック高でプレーした。同高はゴールデンステイト・ウォリアーズのシューター、クレイ・トンプソンの出身校としても知られる強豪。また、今シーズン広島ドラゴンフライズに所属しているケイン・ロバーツもここでプレーしていた。


倶楽部発表のリリースに掲載されたリーの写真はサンタ・マルガリータ・カトリック高校のユニフォームでの一枚(写真/©Fukushima Firebonds)

☆その後の進路

サンタ・マルガリータ・カトリック高卒業時の2018年には、リーはNCAAディビジョン1のブリガム・ヤング大進学のコミットメントを発表していた。しかしBYUのコーチ交代劇を受け、翌年春に双方合意の上で進路を変更。その後オレゴン州大進学が発表されている。ただし、コロナ禍も手伝い厳格な管理体制を敷いたNCAAで、リーはメディカルチェックを通ることができなかったようで、残念ながら同大の一員として公式戦のコートに立つ機会はなかった。

☆プロキャリア

リーは2021年に中国プロリーグCBAのドラフトで山東高速麒麟倶楽部(山東ハイスピードキリン)の指名を受けたがその後契約を断念したと伝えられている。詳細は不明だが、当時体重が150kgとされていたリーが、体重オーバーでメディカルチェックを通らなかったことが要因との推察もある。クラブのリリースによれば、その後リーは中国とチャイニーズ・タイペイでプレーする機会を得ており、今回福島に加わるにあたっての体重は140kgとの発表だ。減量とトレーニングにより、良好なコンディションを維持できていることを期待したい。

☆プレー上の特徴

前述のとおり、ネット上で見つかる動画クリップを見る限り、リーはかなり動けるビッグマンで、ミドルレンジからのショットも非常に柔らかなタッチを持っている。プロ入り前の姿とは言え、大きな体の使い方をよく心得た柔軟性の高いプレーぶりだ。

ファイヤーボンズの運営母体である福島スポーツエンタテインメント株式会社の西田 創代表取締役社長が、リリースの中で「彼の加入により、(グレゴリー)エチェニケ選手の負荷をコントロールすることができるだけでなく、ビッグラインナップの構成を含め、戦術の幅が大きく広がります」とコメントしている通り、オフェンスではかなり柔軟な展開に参加していけるのではないだろうか。もちろんサイズを生かしたディフェンス面でのリム・プロテクションなど、攻守両面での貢献を期待できる。





ファイヤーボンズは24日に、Xのクラブ公式アカウントでリーが1125日のライジングゼファー福岡戦から登録可能と伝えている。またリー自身も同日公開されたあいさつ動画の中で、「明日の試合を楽しみにしています」と話した。獲得発表早々のベンチ登録でプレーする機会を得られるか、またどんなパフォーマンスを披露するか注目だ。



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 福島ファイヤーボンズ B2リーグ

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