アルティーリ千葉が身長226cmの中国代表ビッグマン、リュウ・チュアンシンとの契約合意を発表
B1昇格を目指してクラブ創設3シーズン目を戦っているアルティーリ千葉が、中国代表センターのリュウ・チュアンシン(漢字表記:劉 傳興)との契約に合意したことを11月24日に発表した。
リュウは1999年7月30日生まれ(中華人民共和国河南省濮陽市出身)の24歳で、身長226cm、体重130kgと規格外のサイズを持つビッグマンだ。FIBAアジアカップ2021予選と東京2020オリンピック最終予選で中国代表にも選出されており、前者では日本代表との対戦でも出場機会があった。また、昨シーズン中の今年3月に日本で開催されたEASLチャンピオンシップ・ウィークでも、ベイエリア・ドラゴンズのロスターに名を連ねていた。
アルティーリ千葉はリュウをアジア枠で登録することにより、ブランドン・アシュリー、アレックス・デイビス、デレク・パードンという有能で高さもある外国籍プレーヤーとあわせて超ビッグラインナップを組むことも可能となる。
リュウは母国の中国で2018年にプロデビューした後、2021-22シーズンにはオーストラリアに渡り、NBLのブリスベン・バレッツで1シーズンを過ごしている。バレッツはアルティーリ千葉のヘッドコーチを務めるアンドレ・レマニスがかつて率いたチーム。またベイエリア・ドラゴンズではオーストラリア代表HCでレマニスHCが恩師と慕うブライアン・ゴージャンの下でプレーしていた。このキャリア変遷は、アルティーリ千葉でもレマニスHCとの関係構築の助けになりそうだ。また千葉市には10,000人を超える中国からの移民が住んでおり、中国系コミュニティーもある。リュウにとってはオフコートの生活でもなじみやすい条件がありそうだ。
2021年6月のアジアカップ2021予選に中国代表として参加していた当時、中国代表を率いていたドゥー・フェンHCはリュウにあまり出場機会を与えていなかった。ドゥーHCが会見で、「今回は経験を積ませるために若手を連れてきている」と語っていたことからも、当時のリュウはその時点ではまだ将来的プロジェクト。ただし中国国内リーグCBAでは、青島イーグルスでプレーした2020-21シーズンに平均20分以上プレーして9得点、8リバウンド、1ブロックを超えるアベレージを残したとの記録も見つかる。
FIBAアジアカップ2021予選からの一コマ。フリースローを放つリュウの指先の高さを見ただけで驚くべきサイズ感を感じてもらえるだろう(写真/©FIBAAsiaCup2021)
EASLチャンピオンシップ・ウィークでベイエリア・ドラゴンズの一員として来日したときの様子は、ドラゴンズが宇都宮ブレックスと琉球ゴールデンキングスを相次いで破って3位に入ったチームだったので、覚えているファンも多いかもしれない。このときのリュウは3試合に平均14分33秒出場して平均5.7得点、3.3リバウンド、フィールドゴール成功率87.5%といったスタッツラインだった。
この数字を見ても、伸びしろがまだまだありそうなリュウだが、同時に、一度ゴール近辺でボールを持たせてしまったら、現段階でも簡単には止められがないパワーを持っていることは明らか。また226cm、130kgとは思えないほど走れる運動能力がある。バレッツでの1シーズンは平均6分の出場時間で2.9得点、1.7リバウンドにとどまっていたが、B2でどの程度の時間、どの程度のプレーを披露できるのか非常に興味深い。EASLと同等もしくはそれ以上の出場時間が可能だと想定すると、対戦相手のフロントラインは相当な負担を強いられることになるだろう。
アルティーリ千葉は24日現在13勝2敗(勝率.867)でB2東地区首位に立ち、B2全体トップの勝率を保持している。このオフには熊谷尚也、前田怜緒というB1タレントを獲得したほか、外国籍枠で新たに加わったデイビスはB1で2度ブロック王に輝いた実績を持ち、同じく新加入のパードンもオーストラリアNBLで昨シーズンオールNBLセカンドチーム入りを果たした実力者。オフの補強は相当なインパクトがあったが、リュウの加入はさらなるインパクトをもたらす可能性は大きい。
リュウがいつから公式戦に登場できるかは現時点では把握できていない。しかしファンにとっては、ホームでもアウェイでもアルティーリ千葉の試合に足を運ぶ理由が一つ増えたのではないだろうか。
文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)
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