月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2023.11.01

B3リーグ2023-24シーズン序盤戦レビュー――第4節終了時点では鹿児島レブナイズが得失点差で首位

B3第4節を終えて首位に立つ鹿児島レブナイズの得点源、アンソニー・ゲインズ・ジュニア(写真後方は藤本巧太と東京ユナイテッドBCの新号 健: ©月刊バスケットボールWEB)

106日に開幕し、29日までに第4節までの72試合を消化したB3リーグ。約1ヵ月間の展開を、5つのポイントから振り返ってみよう。


1. わずか2ゲーム差以内に12チームの大混戦

B3
は昨シーズンも上位5チームが5ゲーム差以内でフィニッシュする激戦だったが、今シーズンの序盤戦はまさしく団子状態。12チームがわずか2ゲーム差の中にしのぎを削っており、突出したチームがいないのが大きな特徴だ。第4節終了時点では、昨シーズン4位フィニッシュでプレーオフのクォーターファイナルに終わった鹿児島レブナイズが62敗(勝率.750、得失点差+100)の成績できわどく首位に立っている。しかし、新規参入の福井ブローウィンズ、東京ユナイテッドBC、立川ダイスも勝敗成績は同じ。また5位以下も53敗の同率で5チームが並んでいる。

東京Uの早水将希HCは、14日のホーム開幕戦で鹿児島レブナイズを下した後の会見で、今シーズンの見通しについて「昨シーズン以上に混戦になり、たぶん8チームぐらいの混戦になるんじゃないかとみています」と話し、プレーオフをホームで戦うためにも1試合も落とせないという思いを明かしていた。

混戦の背景には、昨シーズンと違い新規参入2チーム、B2からの降格2チームという特別な意欲を持つ競争相手が存在していることがある。実際福井は先に触れたとおりトップグループで、もう一つに新規参入チームである徳島ガンバロウズも53敗の“第二グループ”にいる。降格組のアースフレンズ東京Zと香川ファイブアローズも、岐阜スゥープスとともに44敗で続いており、今後の展開は相当おもしろくなりそうだ。

【動画】10/28横浜エクセレンス vs 香川ファイブアローズハイライト映像

B3リーグ最新スタンディング(B3リーグ公式ウェブサイト)





2. 得失点差で首位、鹿児島レブナイズの強み

トップに立っている鹿児島レブナイズは、平均得点88.9がリーグ1位、平均失点75.8がリーグ2位(少ない方から)。開幕からの8試合中6試合のアウェイをを5勝1敗で乗り切ったことが好成績の要因だ。新任のフェルナンド・カレロ・ヒルHCは、昨シーズンB2最高勝率を収めたアルティーリ千葉で控えポイントガードとして活躍した新戦力の藤本巧太をスタートで起用しているが、ティム・ゲール、丹野合気、長尾光輝のバックコート陣がいずれも一定以上の活躍を続けてきた。特にゲールは3P成功率がチームトップの37.5%。得点源のアンソニー・ゲインズ・ジュニアの爆発力も頼もしく、平均18.5得点を記録している。今後チームのケミストリーが高まっていけば、この数字もさらに上昇していきそうだ。

3. 健闘する福井ブローウィンズ

新規参入の福井が、鹿児島と同率で得失点差わずか5点で2位という位置につけていることは、満田丈太郎や田渡修人らB1クラブから移籍してきたメンバーや伊佐 勉HCがチームを率いていることを見れば驚くにはあたらないかもしれないが、やはりクラブ運営全般という観点から高く評価されるべきことだろう。


7月20日に行われた福井ブローウィンズの新体制発表会より(写真/©FukuiBrowinds)

29日には、東京八王子ビートレインズを113-77のスコアで吹き飛ばした。この試合では、シューティングガードのトレイ・ボイドがフィールドゴール16本中13本成功(うち3Pショットは8本中6本成功)で37得点を稼ぐ大活躍を披露している。アベレージではボイドの平均23.63得点がリーグ2位、藤澤尚之もフリースロー成功率94.44%でリーグ3位とハイレベル。田渡もトップスリーにこそ入っていないもののチームトップの3P成功率47.6%21本中10本成功)と高確率を残している。

4. ワールドクラスのタレント、4試合に1試合は5点差以内の大激戦

今シーズンは、前述の福井だけでなく複数のチームに国内外のトップタレントが名を連ねていることにも注目したい。例えば横浜エクセレンスには、今夏のFIBAワールドカップ2023で5位に入ったラトビア代表のビッグマン、クラヴス・チャバルスがおり、ヘッドコーチはアンゴラ代表を率いたペップことジョゼップ・クラロス・カナルスが務めている。香川にはNCAAディビジョン1の名門コロンビア大を卒業し、帰国後は日本代表にも選ばれたシューターの松井啓十郎が在籍している。


ラトビア代表としてワールドカップでプレーした横浜エクセレンスのクラヴス・チャバルス(写真/©月刊バスケットボールWEB)

リーグ全体のデータに目を向けると、全72試合中19試合が最終スコアで5点差以内だった。その中で1ポゼッション差以内の試合も8試合(11.1%)ある。つまり4試合に1試合は大激戦で、10試合に1試合はまさしく最後の1秒まで手に汗握る展開だと言える。

14日に大田区総合体育館で行われた東京Z vs さいたまブロンコスの一戦は、東京Zの武本 祐ルイスが残り1秒を切ってから逆転レイアップを沈めて80-79で勝利するという劇的な幕切れとなった。28日に横浜エクセレンスがホームの横浜武道館に香川を迎え撃った一戦でも、横浜EXの谷口 淳が残り1秒で決勝3Pショットを沈め、ホームのブースターを大いに喜ばせた。

B1B2B3というカテゴリー分けはあるが、B3の競技レベルが低いという考えは一度忘れてもよいのではないだろうか。会場ではワールドクラスのエキサイティングなバスケットボールが待っている。





5. 盛況な観客動員――72試合で10.5万人越え

さて、最後に各地の盛り上がりの指標となる入場者数データに触れてみたい。第4節までに行われたB372試合には、合計で105,207人ものファンが来場していた。平均値は1,465.3人。最大値は14日に有明アリーナメインコートで行われた東京U vs 鹿児島レブナイズの一戦で、なんと10.358人ものファンが集まった。


10月14日に有明アリーナメインコートで行われた東京ユナイテッドBC vs 鹿児島レブナイズの場内は壮観だった(写真/©月刊バスケットボールWEB)

クラブごとのホームゲーム入場者数上位5傑は以下のようになる。

☆B3のホームゲーム平均入場者数ランキング上位5傑 ※カッコ内はホームゲーム消化数
1位 東京ユナイテッドBC 5,004.3人(4試合)
2位 鹿児島レブナイズ 2,545.0人(2試合)
3位 立川ダイス 2,248.3人(4試合)
4位 福井ブローウィンズ 2,061.8人(6試合)
5位 岐阜スゥープス 1,869.5人(2試合)

B3全体で、平均入場者数が1,000人を超えるクラブが12ある。また、1,000人以上の入場者数を記録した試合は42試合(58.3%)、2,000人以上が13試合(18.1%)、3,000人以上でも6試合(8.3%)だった。この現状は活況と言って間違いない。今シーズンを通じてどれくらいの人々が会場で声援を送ることになるか、毎試合の入場者数記録に注目してみてもおもしろいシーズンだ。



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 鹿児島レブナイズ 横浜エクセレンス東京ユナイテッドバスケットボールクラブB3リーグ福井ブローウィンズ

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