月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2023.10.28

秋田ノーザンハピネッツ・赤穂雷太、新天地で求められる初の役割「もっと伸ばしていきたい」

赤穂が乗り越えようとする“25歳の壁”


「25歳の壁」という言葉がある。社会に出て3年目の25歳ごろに直面しやすい人生の壁のことを言う。Bリーガーの“25歳”も簡単ではない。正にその年にある赤穂雷太は、新天地の秋田ノーザンハピネッツで新たな難しさに直面している。
196cmとサイズがあり、ボールをプッシュでき、ディフェンスも上々。シュートレンジも広い。ロール・プレイヤーとしてはこの上ない能力を持つ赤穂だが、新天地で求められているのは、“日本人エース”というべき役割だ。

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前田顕蔵ヘッドコーチは赤穂に求めることとして「今まで秋田にいなかったタイプで非常に良い仕事をしてくれています。体を張ってのディフェンス、シュートといろいろな力を使うことができる。秋田では、これまでのキャリアで使っていなかった部分を出してほしいと思っています」と期待を寄せている。
昨季、横浜BCのプレーオフ初進出に貢献した赤穂を、秋田に引き入れたのが前田HCだった。赤穂は、「顕蔵さんのバスケが本当に好きで、日本人が点数を取ってディフェンスをハードにやるというのは本当に自分のやりたいことでした。考えを伝えていただいてすぐに行きたいと決めました」と秋田に決めた経緯を説明している。ハードなディフェンスからのアップテンポなバスケを身上とする秋田だから、赤穂の特徴はフィットする。しかし、前田HCが求めているのはさらに上のパフォーマンスだ。



写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

「去年まではディフェンスだけという感じでしたが、『もっともっとアグレシップに自分で攻めていってほしい』と夏から顕蔵さんに言っていただいています」。赤穂にとって、これだけの出場時間、オフェンスの裁量を与えられるのは初めてのこと。だからこそ戸惑いや苦しみも生まれる。「相手のキーマンに付くことが多くて疲れも出て、頭が止まってしまうところがあります。前半は良くても後半でミスが出てしまっている」と試合を通しての安定感に加えて、「チームには本当にいいシューターもいっぱいいる。どこまでやっていいかは考える部分もあります」と自分で行くべきタイミングについても悩む。それでも「完璧に出来ていないところは本当に嫌だけど、夏から取り組んできたことは間違っていないと感じている。もっと伸ばしていきたいです」と改善していくと強調している。

赤穂は先日、日の丸を付けてアジア競技大会に出場した。実は、そのチームを率いたコーリー・ゲインズHCから求められたのも秋田と同様の役割だった。「『もっと自分で行っていい』『もっとやれ』と言っていただいて、試合の中でもアグレッシブにやってみて自分でもできるし、通用する部分も多いと感じました」と赤穂。国際大会で掴んだ自信も今季につながっているわけだ。


10月8日の開幕から7試合で2勝5敗、東地区5位というポジションにいる秋田。A東京戦後の記者会見で前田HCは「ある程度できた部分とオフェンスで点が入らない課題としっかり向き合いながら、チームが成長しながら勝てるように準備したいと思います」と改善して勝利に導きたいとしている。そのためにも赤穂のステップアップが必要。“これまでのキャアリアで使っていなかった部分を出してほしい”、ヘッドコーチの思いにどう応えていくか。“25歳の壁”を乗り越える、その過程を見守りたい。

写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

写真/堀内涼(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: 赤穂雷太

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