元U17日本代表ガードの平良彰吾(横浜エクセレンス)、ペップHC指揮下での進化に期待
B3第2節を終わって3勝1敗の3位という成績の横浜エクセレンスで、9年前にU17日本代表のポイントガードとしてFIBA U19バスケットボールワールドカップ2014に出場した平良彰吾が光る活躍を見せている。
湘南ユナイテッドBCをホームの横浜武道館に迎えてのホーム開幕戦となった第2節は、GAME1・2ともスターターとしてコートに立ち、GAME1で7得点に1アシスト、GAME2ではいずれもシーズンハイの14得点と3アシストを記録し、マン・オブ・ザ・マッチに選出された。16日(月)の初日に2,096人、翌17日も1,623人と、平日夜にもかかわらず大勢のファンが集まった中、チームは初戦を83-69で制すると、続くGAME2も77-72のスコアで連勝を手にしている。
GAME2は、第4Q開始時に60-50と10点リードしていたが、そこから14連続失点を喫し残り6分を切って60-64と劣勢に立たされる厳しい展開。横浜エクセレンスはここから試合終了までを17-8のランで乗り切るのだが、平良はその流れで65-66の1点差に追い上げるフリースロー2本、69-70と再び1点差に迫る3Pショットとプレッシャーがかかる場面で落ち着いてビッグプレーを成功させ、さらに残り36秒に自らのスティールからレイアップを沈めて73-72と逆転に成功してからは一人で6連続得点を奪って試合を決めた。この間の平良はフィールドゴール成功率100%(3P1/1、2P2/2)、フリースロー成功率100%(4/4)での11得点に1スティール。「Shogo Time」か「Show Time」か。試合終了間際に増子 匠からのパスを受けて平良がレイアップを沈めたときには、横浜武道館が割れんばかりの大歓声に包まれていた。
フワっと浮き上がるように空中に飛びあがり、高い打点からジャンプショットを放つ平良彰吾(写真/©月刊バスケットボールWEB)
興奮冷めやらぬ試合終了直後、平良は笑顔で囲み取材に応じた。以下、集まったメディアとのやり取りを紹介しよう。
オフェンスの組み立てをよくして飛躍を期す
——今日の試合をどう振り返りますか?
最初、いい流れだったと思うんですけど、最後のクォーターでミスから相手に得点を許して、ディフェンスで守り切れない状態だったので、ディフェンスから強度を上げてプレーしようと続けて、最後に逆転できてよかったと思います。
——第4Qの逆転ショットも平良選手でした。
僕は空いたシュートを打っただけで、それが決まってくれました。強気にプレーできたのは良かったと思います。
——自分で得点しようという意識はあったのですか?
そうですね。時間も限られていましたし、展開が重いところもあったので、自分がやろうという気持ちはありました。
——最後も決めきりました。乗ってきている感覚はありますか?
昨日の試合でもまだまだできていないところ、足りないところがいっぱいあったんですけど、少しずつ改善できているかなとは思います。
——昨シーズン所属した古巣の湘南Uが相手でしたが、意識をしていましたか?
ホームでの開幕戦が湘南Uだと聞いてすごく楽しみにしていた試合でした。やってやろうというところはありました。
——やってやれましたか?
(笑顔で)自分の力を出し切れたので良かったと思います。
——ホームのブースターの声援がすごかったと思いますが、初めてそれを浴びてどんな感想ですか?
本当にいい雰囲気で、いい体育館でたくさんの人に応援してもらえるのは力になると改めて思いました。最後に勝った後もみんなの声が聞こえて、やっぱりみんなに支えてもらっているなと感じました。
——今はどんな目標を持っていますか?
B3優勝、プレーオフに行ってB2昇格することが目標です。
笑顔でインタビューに答える平良(写真/©月刊バスケットボールWEB)
——個人的にはシーズンハイの14得点、3アシスト。どの辺がうまくいきましたか?
相手がプレッシャーをかけてくるところで、最初はそれにつかまってあまりいいプレーができませんでした。途中でパス離れをよくしたことで、味方もプレーしやすくなったのが一番良かったかなと思います。
——身体能力の高さが印象に残ります。どのくらい高く飛んでいるんですか? ダンクもできそうじゃないですか!
ダンクまではいきません(笑) リングはつかめるんですけど…。
——コーチは最後にいいプレーを見せたことを高く評価していましたが、もっとできるという話もしていました。ご自身ではどこが課題ですか?
オフェンスのオーガナイズ、組み立てるというところです。そこをもっと伸ばしてほしいと、今日の試合前にも言われましたし、自分でも課題だと思っています。
——ショットメークだけではなくプレーメークもということですね。
そうですね。
——ペップさんのバスケットボールにはどんな感じにフィットしていますか?
ディフェンスの強度を上げろというのが特徴で、そこは自分に合っていると思います。
——お父さんはどんな風に見守ってくれていますか?
あんまり口を出してくることはないですが、「もっとこうしたらうまくできるよ」という感じでいつも声をかけてくれるし、いいときは「よかったね!」と言ってくれます。たまに試合も見に来てくれたりするので、小さいころから教わってきたことが、自分の経験にプラスになっていると思います。
「頑張り屋で大志があるので、きっとうまくなる」(ペップHC)
平良の父、勝利さんは沖縄出身者として初めて男子日本代表に名を連ねた名ガードだ。父親譲りの沖縄のリズムなども感じているのかと尋ねると、「僕は千葉出身なのでその辺はわからないです」と答えていたが、実際にはどうなのだろう。横浜市には沖縄にゆかりのある人々が多く暮らす鶴見区もあるが、そんな人たちの平良評もいつか聞いてみたいところだ。
平良は、通称ペップこと新任ヘッドコーチのジョゼップ・クラロス・カナルス氏の下でプレーするのが今シーズンで2度目(3シーズン目)となる。前回はライジングゼファー福岡に在籍した2019-20シーズン(拓殖大学在学時の特別指定枠)から翌2020-21シーズンにかけて。ペップHCは若手でもガーベッジタイムにコートに立たせるのではなくより大きな責任を持ってプレーさせることで成長を促す手腕にも定評がある人物だ。
この日の活躍についてペップHCは、古巣相手に平良が燃えていることを事前に感じていたことを試合後の取材で明かしながら、「平良は昨シーズン湘南Uでプレーしていましたが、契約更新ができなかったプレーヤーです。だから最後の流れも、この試合も彼にとって大事なところだと認識していました。最後の活躍はうれしいですね」と活躍を祝福していた。ただし、さらなる成長を願って背中を押すことも忘れていない。「でも、ほかの出場時間はもっとうまくできるはず。彼は頑張り屋だし、大志も持っているのでもっとうまくなると思っていますよ」
司令塔としてオフェンスのオーガナイズが課題という平良だが、ディフェンス面の奮闘を含めペップHCの信頼と期待を受け活躍の機会を得ている(写真/©月刊バスケットボールWEB)
最後に今シーズンのスタート4試合での数字を見ておこう。平均7.8得点、フィールドゴール成功率47.6%、3P成功率44.4%(9本中4本成功)、フリースロー成功率87.5%、1.3リバウンド、1.5アシスト0.5スティール、1.0ターンオーバーというところだが、昨シーズン30%を割ってしまった3Pショットの確率は現時点まではキャリアハイだ。このショットメークを武器にして、自身が課題と考えているプレーメイクを改善することができれば、ペップHCの信頼も一層高まることだろう。