藤本巧太(鹿児島レブナイズ)、新天地で内面の成長を実感する2023-24シーズン
©月刊バスケットボール
鹿児島レブナイズに新たに加わったポイントガードの藤本巧太は、昨シーズンまでの2シーズン所属したアルティーリ千葉において、バックアップの立場で活躍してきたプレーヤーだ。創設初シーズンはB3からB2への昇格、昨シーズンはB2リーグ最高勝率と東地区優勝という成果を上げた新興クラブのアルティーリ千葉で、スピード感に満ちたオフェンスと闘志あふれるディフェンスは明るい輝きを放っていた。2016-17シーズン以来のB2返り咲き昇格を目指し、クラブが新たに招聘した指揮官フェルナンド・カレロ・ヒルHCは、そんな藤本をスターティング・ガードに据えている。
これまでよりも責任の重い立場でシーズンに臨んでいるその藤本に、10月14日の東京ユナイテッドBC戦後に心境を聞いてみた。この日は10,358人の大観衆が詰めかけた有明アリーナメインコートで、80-94のスコアでシーズン初黒星を喫した後。フェルナンド・カレロHCの藤本評は「今日は最高の出来とは言えなかったかも…」と控えめで、藤本のコメントも「やられてはいけないところでやられてしまいました。練習してきたことができなかったのが敗因」と厳しい言葉から始まった。
©月刊バスケットボールWEB
ディフェンスからチームの士気を高めたい
——個人的には、今日(10月14日)の出来はどうでしたか?
いつもベストと言いたいんですけど、コーチが言うとおり今日はチームを勝たせられるようなプレーをできなかったです。一番の自分の反省点としては、最後に追いついていったときにコントロールして追い抜くまでできなかったこと(残り5分22秒では72-76の4点差だった)。明日はゲームをしっかり見ながら、自分たちがどうやったら勝てるのか、リードを保てるのか、リードできるのかというところを常に考えてプレーしていきたいと思います。
――これまでと違いスターターに定着することで、どんな思いを持っていますか?
チームの一人として良い意味で、一番先頭でディフェンスしているというのもあるので、もっとプレッシャーをかけてチームの士気を高めたり、ガードとしてチームの雰囲気が良くなるようなゲーム展開をしていくことが自分の役目だと思っています。
――レブナイズにはどんなふうにフィットしていけていますか?
僕が感じているのは、アルティーリ千葉でやっていたバスケットボールも、今レブナイズでやっているバスケットボールも共通する部分が多いということです。バスケットボールの基本的なルールやコンセプトはあまり変わりません。セットオフェンスやチームディフェンスは、選手に応じて作っている部分もあるので変わる部分もあるとは思うんですが、今まで積んできた経験はこれからもどんどん自分の力になってくれると思っています。
——2年前の自分と比べてどんなところが伸びたか、今でも課題になっているところはどこか?
自分が一番伸びたのは素直さだと思います。プロに入ってからの2年間でいろんな人に教えてもらう機会が多くなって、(学生時代には)一番上の立場で教えてきた後、教えてもらうことを素直に受け止めて自分の力にしていくこと伸びたと思います。
——吸収力みたいなことですか?
そうですね。それと、逆に課題と言えば、先ほども言いましたけど勝てるチームにするためにどうすればよいか考えることです。ポイントガードというのは大事なポジションだと思いますし、要するに1点でも上回れば勝ちなので、どうやってそれをできるか。それを考えるのが自分の課題だと思います。
©月刊バスケットボールWEB
リーグ首位で臨むホーム開幕戦で連勝を期す
フェルナンド・カレロHCは、この試合での藤本に対する評価こそ控えめだったが、「コウタはグレートプレーヤー。エナジーもすごくあるし、今シーズン彼と一緒に戦えることをすごくうれしく思っています」と期待の方も大きい。「今シーズンはうちのメインガードで頑張ってもらうつもり。2シーズンB2のアルティーリ千葉で控えとして頑張った後ですから、ここではさらなる成長の機会にしてもらいたいと思っていますが、しっかり責任をもってプレーし、リスクを背負いながら得点も狙ってくれていてありがたいです」
このインタビューの翌日、再び9,128人という記録的な大観衆に囲まれた中で、鹿児島は勝利をつかんだ。スターターとしてことに立った藤本は、いずれもシーズンハイの12得点と3スティールに加えて2リバウンド、1アシストとオールラウンドな活躍を披露した。試合の流れとしては前日と対照的に、第4Q半ばまでのリードを最後の5分間で危うく失いかけるという、ファンとすればスリリングな展開だったが、藤本は終了後に「第4Q残り5分までは自分たちのプレーができた。これから勝っていくには、それを40分間続けられるようなチームになっていかなければ」とフロアリーダーらしいコメントを残している。
10月21日(土)・22日(日)のレギュラーシーズン第3節は、いよいよホーム開幕戦。鹿児島県総合体育センター体育館に山口パッツファイブを迎え撃つこの連戦を前に、フェルナンド・カレロHCは「やっと自分たちのホームで戦うことができることを嬉しく思う。鹿児島のブースターに楽しい試合をお見せしたいし、自分たちにとってもいい試合にしたい」と話し、藤本も「会場での応援がとても力になる。共に戦ってホーム2連勝したい」と燃えている。
41勝11敗(勝率.788)というクラブ創設以来歴代最高の成績で4位に入り、ホームコート・アドバンテージを持ってプレーオフに進出した昨シーズンは、横浜エクセレンスをホームに迎えてのクォーターファイナルで勝ち星を挙げることなく連敗し、悔しいフィナーレとなった。しかし今シーズン、10月17日までの日程消化時点で3勝1敗という成績は、8チームが同勝率で並ぶ中とはいえ得失点差により首位に立っている。ここまで白星のない山口を相手に、鹿児島がホームでどんな試合を展開するか、その中で藤本はどんな光を放つだろうか。B3の上位争いを占う上で面白い見どころを提供する対戦だ。
©月刊バスケットボールWEB