月刊バスケットボール1月号

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2023.10.16

10.18(水)EASL@沖縄アリーナ展望――琉球ゴールデンキングスはソウルSKナイツ(韓国)相手にBリーグ王者の実力を示すことができるか

東アジアスーパーリーグ(EASL)の2023-24シーズン第2戦が、1018日(水)に沖縄アリーナで開催される。対戦するのは昨シーズンBリーグ初制覇を成し遂げたホームの琉球ゴールデンキングスと、韓国のプロリーグKBLにおける昨シーズンの準優勝チーム、ソウルSKナイツだ。


琉球は、今春3月に日本で開催されたEASLチャンピオンズウィークでは8チーム中の4位フィニッシュ。東アジアの頂点を目指すのはもちろんだが、勝ち切れなかった春の悔しさを晴らすためにも、ホームで負けられない開幕戦となる。

2023-24シーズンの琉球はジャック・クーリー、渡邉飛勇とフロントラインでの活躍を期待された戦力を欠きながら、開幕4連勝とBリーグ最強クラブらしい戦いぶりだ。しかし、国内リーグと並行開催で国際遠征が伴うEASLは、コンディショニングやスカウティングの面で戦い方が難しくなることが容易に推察できる。世界に向けて日本の王者たる実力を知らしめる舞台にもなるEASLで、国内と同じことができるだろうか。ここでは琉球とソウルの直近情報をまとめ、両者の対戦を展望してみたい。

接戦を勝ち切るしぶとさを見せる琉球

琉球は開幕節で佐賀バルーナーズに連勝した後、1014日・15日の第2節ではサンロッカーズ渋谷にも連勝してここまで40敗。しかもそのうち3勝は1桁得点差の熱戦を勝ち切るしぶとさだ。

前述のとおり故障者がいるが、新加入のフォワード、ヴィック・ローがいずれもチームトップの平均17.8得点に9.8リバウンドとインパクトあふれる活躍を見せている。84-822点差で逃げ切った15日の渋谷戦も、ローが第4Q残り5秒に決勝ミドルジャンパーを沈めた。第19回アジア競技大会に日本代表として出場したことでリーグ参戦が第2節からに遅れた今村佳太は、渋谷との2試合でさっそく3P成功率62.5%(8本中5本成功)と平均14.5得点を記録して好調なスタートを切った。コンボガードの岸本隆一も、3Pアテンプト平均7.8本で3.5本を決めての45.2%、平均12.8得点という活躍は対戦相手にとって頭痛の種でしかないだろう。



10月15日のサンロッカーズ渋谷戦での岸本隆一(写真/©B.LEAGUE)

進境著しいフィリピン出身のフォワード、カール・タマヨの存在も大きい。身長202cmとサイズもあるタマヨは、ロングレンジ・シューティングもトランジションもドライブも脅威だ。クーリーに代わるリバウンダーとしては、新加入のアレックス・カークがローに次ぐ平均8.0本(得点もチーム3位の13.8)と奮闘中。このほかのメンバーも含め、チームからは自信が感じられる。

爆発的オフェンス力を持つソウル


キム・スンヒョン(写真/©EASL)

一方のソウルはEASLチャンピオンズウィークの準優勝チームで、韓国の国内リーグKBLでは2021-22シーズンに王座に就き、2022-23シーズンもファイナル進出を果たしている。1015日に閉幕したばかりのKBLカップでも4強入りを果たした。この大会では予選ラウンドでソウル・サムスン・サンダースに91-87、コヤン・ソノ・スカイガナーズに88-80で勝利。最後は準決勝で蔚山モービスフィバスに88-89で黒星を喫したが、今シーズンもリーグの上位で戦える力は十分に示している。

最も注意すべきプレーヤーとしては、KBLの昨シーズンで最優秀外国籍選手賞に輝いたジャミール・ワーニーが挙げられる。身長199cmのフォワードで、今春のEASLチャンピオンズウィークでは3試合で平均24.3得点、15.0リバウンド、7.7アシストのアベレージを残していた。2017年にはアメリカ代表としてFIBAアメリカップ優勝に貢献したこともあるプレーヤーだ。このときはチーム2位の平均12.8得点にチームトップの8.6リバウンドを記録していた。

直近のKBLカップでもワーニーの活躍は爆発的。108日に行われたソウル・サムスン・サンダースとの初戦は3Pショットを5本中2本決めての33得点に10リバウンド、6アシスト。全3試合で26.3得点、10.0リバウンド、5.3アシストだった。ワーニーをいかに封じるかは、琉球にとって第一に大きなチャレンジと言って間違いない。


ジャミル・ワーニー(写真/©EASL)

もう一人の要警戒人物は、韓国代表のスター、キム・スンヒョンだ。身長187cmのガードで、今春のEASLチャンピオンズウィークでは平均22.7得点、2.7リバウンド、7.3アシストの成績を残した。2022-23シーズンはKBLのリーグMVPで、韓国国内の報道を見ると今シーズンはKBL最高年俸プレーヤーという記事も見つかる。先の第19回アジア競技大会にも出場していた。

実は、このキムがKBLカップでは出場していなかった。これはやや気にかかる出来事だが、仮にキムが不在だとしてもソウルのチーム力が高いことはKBLカップの結果からも明らかだ。特に3Pシューティングに関しては、KBLカップの3試合でチームとして38.7%(75本中29本成功)と高確率で、14日の蔚山戦では、1点差で敗れたものの47.4%(19本中9本成功)と驚くべき数字をたたき出していた。

特に身長196cmのフォワード、ホ・イルヨンは、KBLカップの3試合で12本中8本成功の成功率66.7%と絶好調。身長200cmのビッグマン、オ・セグンもインサイドだけではなくアウトサイドでも脅威となれる存在で、同じ3試合で7本中3本の3Pショットを決めていた。彼らはワーニーとキムに加えて注目すべきプレーヤーだ。

さて、この両チームの対戦は、どちらもEASLチャンピオンズウィークに出場していたことなどからも、お互いにさほどスカウティングで苦労することはないのではないだろうか。ソウル側でキム・スンヒョンが出場するかどうか、琉球側では右足首のコンディションを見ながらBリーグ第2節を2試合とも欠場した田代直希がどうなるかも気になるが、ある程度の準備ができた状態で激突する形は予想できる。

その上での見どころは、個々にはお互いの外国籍スター、琉球のローとソウルのワーニーのスコアリングショー、岸本や今村(琉球)、ホ(ソウル)らのシューティング。チームとしては、高い得点力を示しているソウルに対して琉球のディフェンスとリバウンドがどんな威力を見せるか。予想や比較は難しいが、80点以下の我慢比べならば琉球有利、90点に迫るかそれを越える打ち合いなら、それはソウルが主導権を握り勝機を見出す展開なのではないだろうか。

EASL琉球ゴールデンキングスvsソウルSKナイツ
日時: 1018日(水) 19:00 TIP-OFF
会場: 沖縄アリーナ
チケット情報



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 琉球ゴールデンキングス EASL東アジアスーパーリーグ

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