月刊バスケットボール6月号

日本代表・馬場雄大がB1長崎ヴェルカと契約、パリ五輪に向けて「今までにない新しい自分を見せたい」

「最も成長できる環境だと思い、選びました」


9月26日、長崎ヴェルカは、2023-24シーズンで馬場雄大と契約合意したと発表した。5シーズンぶりの国内リーグ復帰となる馬場は記者会見の中で「今までにない自分を見せたい。新しい馬場雄大を見せたい」と語り、パリ五輪に向けて最も成長できる環境だと思い、長崎との契約を決めたと語った。長崎ヴェルカは2020年創設。昨季はB2西地区でプレーし、43勝17敗でポストシーズンに進出すると熊本、A千葉を下して決勝に進出。その舞台では佐賀に敗れたものの昇格を果たし、今季初のB1に挑む。

【SNS】長崎入りを伝えた馬場雄大の投稿をチェック

記者会見の冒頭、伊藤拓摩GMの経緯説明に続いて馬場は「Bリーグに戻ってくることになったからには、チームとして優勝を目指してやっていきたいと思います。拓摩さんも言っていましたが、僕にはNBA選手になりたいという夢がある。長崎ヴェルカにはGMの拓摩さんをはじめ、さまざまな方がアメリカでの経験を持っている方が多い。パリ五輪に向けて1年弱という期間しかありませんが、このチームが最も成長できる環境だと思い、選びました」と語った。

チームと馬場を結びつけたのは、馬場が“拓摩さん”と呼ぶ、前ヘッドコーチでもある伊藤拓摩GM。2019-20シーズン、馬場はGリーグのレジェンズでプレーしていたが、そのチームで伊藤GMはアシスタントコーチを務めていた。その後は、連絡を取り合う間柄となっていたが、「長崎でプレーするといった声がけはしなかった」と言う。それが変わったのがFIBAワールドカップ2023後で、来季の話をした際、馬場から海外だけでなく日本も考えていると聞いて、エージェントを通して交渉。契約に至ったとしている。



伊藤GMは期待することとして「馬場選手は、日本でもオーストラリアでも優勝経験があり、優勝が当たり前という選手。優勝という意識がチーム、選手、ファンに生まれると思いました。プレー面ではたくさんあるけれど、それは見てもらったらわかります。彼が持つプロとしての高いスタンダードは、チームにいい刺激を与えてくれると思います」と期待は大きいとコメント。

馬場はチーム入りを決めた理由について「まずパリ五輪を決められたことはうれしいことです。日本バスケにおいても、新たな歴史をつくることができたと思っています。一方で個人的なところは納得していません。もう少し、やりたかったし、自分の力を見せたかったという思いがあります。パリ五輪までにさらに成長して、夢、目標であるNBA選手というのを達成するというのが一番にあります。パリまで1年弱しかありません。今の自分にとって、経験あるスタッフの方に囲まれること、その中でプレーすることがベストなんじゃないかなと決断しました」と語った。また、ワールドカップで負ったケガのケアをしつつ開幕戦に向けてトレーニングをしていきたいとも語っている。もし開幕戦に間に合わなかったとしても早い段階でプレーを見ることができそうだ。




馬場は筑波大在学中にBリーグ「アルバルク東京」に入団すると、1年目に新人王を獲得、2年目はチームのリーグ2連覇に貢献し、MVPを受賞。そして2019-20シーズンにマーベリックスと契約を交わす。その後放出となるとGリーグ傘下のレジェンズで再びプレイし、翌年はオーストラリアNBL「メルボルン・ユナイテッド」に所属すると優勝に貢献。チームの最優秀守備選手賞に選ばれている。

2019年より海外挑戦を続けていた馬場は昨季、Gリーグ(NBA下部リーグ)のテキサス・レジェンズでプレイ。23試合に出場し、平均34.3分、12.3得点、4.9リバウンド、2.1アシストをマーク。フィールドゴール成功率では51.4%、3Pシュート成功率で40.8%と安定感あるプレイ。オフには日本代表としてFIBAワールドカップ2023に出場。48年ぶりとなる自力でのパリ五輪出場権奪取に貢献している。



Profile
馬場雄大(ばば ゆうだい)
生年月日:1995年11月7日
身長/体重:196cm/91kg
ポジション:SG/SF(シューティングガード/スモールフォワード)
国籍:日本
出身地:富山県
出身校:筑波大学
経歴:アルバルク東京(2017-19)―ダラス・マーベリックス(MGMリゾーツ NBAサマーリーグ(2019)―テキサス・レジェンズ(NBA Gリーグ)(2019-20)―メルボルン・ユナイテッド(オーストラリア、NBL)(2020-21)―テキサス・レジェンズ(2021-23)―長崎ヴェルカ(2023-)

▼代表歴
2011:U16日本代表
2012:U18日本代表
2015:ユニバーシアード日本代表
2016 -:日本代表
2017:東アジア選手権(3位)
FIBAアジアカップ
2019:FIBAワールドカップ予選
FIBAワールドカップ中国大会
2021:東京オリンピック
2023:FIBAワールドカップアジア予選
FIBAワールドカップ ※アジア1位となり「パリ2024オリンピック」への出場権獲得




文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

PICK UP

RELATED