月刊バスケットボール10月号

マルカネンへのリベンジ&同郷サイブルとの対戦…ジョシュ・ホーキンソンの濃密な1次ラウンド


オーストラリアとの3戦目を終え、日本代表は「FIBAワールドカップ2023」の1次ラウンドの全日程を消化。1勝2敗でグループEを3位通過し、8月31日からの17-32位決定戦に進むこととなった。

8月29日終了時点で日本はアジアの国の中で唯一の白星を挙げており、アジア1位に着けているが、その大きな助けとなっているのがジョシュ・ホーキンソンである。

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ドイツとの初戦では9得点、10リバウンドを挙げて相手の強力なインサイド陣とわたり合い、フィンランド戦では4本のオフェンスリバウンドを含む19リバウンド。さらには14/15のフリースローを決め切って28得点とモンスターパフォーマンスで勝利の立て役者の一人となった。そして、オーストラリア戦でも33得点、7リバウンドとすばらしいスタッツを記録した。

そんなホーキンソンだが、フィンランド戦後は脱水症状に見舞われたため、記者への取材対応をスキップし、回復に努めた。オーストラリア戦後に同試合とフィンランド戦について話を聞くと、興味深い内容のエピソードを語ってくれた。

6年越しにかなった
マルカネンへのリベンジマッチ


まずはフィンランド戦だが、「月刊バスケットボール9月号」でも紹介したように、ホーキンソンはフィンランドのエース、ラウリ・マルカネンと大学時代に対戦歴がある。当時ワシントン州大4年だったホーキンソンに対して、マルカネンはアリゾナ大のフレッシュマンだった。2校は同じPac-12カンファレンスに属するため、シーズン中に2度対戦したのだが、勝利したのは2戦ともアリゾナ大。1戦目が62-79で両者のスタッツはホーキンソンが9得点、5リバウンド、4アシスト、マルカネンが16得点、13リバウンド。2戦目が59-78で前者が7得点、8リバウンド、後者が19得点、11リバウンドだった。

ホーキンソンは「大学時代に良いバトルをしたし、当時から彼が本当に良い選手なのは知っていました。(フィンランドと)対戦する前からメディアにもそのことを話していました」とマルカネンとの再戦、もといリベンチマッチを心待ちにしていた。


大学時代のリベンジを最高の舞台で達成!

試合中は渡邊雄太が主にマルカネンのマークを担当していたため、直接マッチアップする機会は少なかったが、絶妙なタイミングでカッティングしてマルカネンからアンドワンをもぎ取るシーンもあるなど、大学時代以上に力強く戦い続けるホーキンソンの姿が印象的だった。最終的に98-88で勝利し、個人スタッツもホーキンソンが28得点、19リバウンドに対して、マルカネンは27得点、12リバウンド。チームでも個人でも上回ってみせ、さらにはプレー・オブ・ザ・ゲームにも選ばれた。

「彼は本当に良い選手で、NBAでもオールスター級の選手です。だから僕も、自分がどれだけ良い選手になったかをアピールできてよかったです。僕はNBAにはいませんが、オールスター級の選手と対戦して、自分がそういう選手と良い勝負ができること、良いプレーができることを示すことができました」とホーキンソン。

2017年の対戦から6年、沖縄の地でのリベンジマッチは最高の形で実現したのだった。




同郷のサイブルと激突した
オーストラリア戦

ホーキンソンにまつわるもう一つのエピソードが、オーストラリアとの対戦にあった。実はホーキンソンがブーマーズ(オーストラリア代表の愛称)と対戦するのは今回が初めてではない。こちらも大学時代の話になるが、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック前にホーキンソンはPac-12のオールスターチームに選出され、メルボルンでブーマーズと対戦したことがあるそうだ。

そして、当時のオールスターチームでチームメイトだったのが、現オーストラリア代表のマティース・サイブル。

彼は生まれはアリゾナ州だが、生まれてすぐにオーストラリアに引っ越し、9歳の頃にホーキンソンと同じワシントン州に移り住んだ。いわば同郷の選手だ。


NBAでも指折りのディフェンダーとして活躍するサイブル

サイブルはホーキンソンよりも2つ年下で、「子どもの頃からAAUや高校などで対戦していた」そう。そして、大学は2人ともに地元に残ったわけだが、サイブルが進学したワシントン大は、ホーキンソンのワシントン州大と強力なライバル関係にあるチーム。サイブルも4年間大学に通ったため、彼らは大学でも2年間競い合った。結果は2勝2敗で、ホーキンソンが4年生だった2016-17シーズンにはワシントン州大が連勝を飾っている。

ホーキンソンはサイブルとの対戦について「リオの前にチームメイトとしてオーストラリアに行ったことがあるので、彼がオーストラリア代表に入ったのはちょっとクールで皮肉なこと。そして、自分は日本代表に入りました。おそらく、7、8年前のあの頃に、お互いがワールドカップで対戦することになるなんて言ったら、誰も信じなかったでしょうね(笑)。でも、こうして対戦できるのは本当にすばらしいことです」と、笑顔で語ってくれた。

日本にとってはまさに“死の組”だったグループEでの3試合だが、ホーキンソンにとっては大学時代を思い出す忘れがたい期間だったに違いない。

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■FIBAワールドカップ2023
ファーストラウンド・グループE日本代表試合予定
・8月25日(金)日本63-81ドイツ[11位] ●63-81
・8月27日(日)日本98-88フィンランド[24位] ○98-88
・8月29日(火)日本vs.オーストラリア[3位] ●89-109
※順位はFIBAランク



写真/石塚康隆 取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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