【第2回WUBS】Day 2レポート - 白鷗大が決勝戦に進出、国立政治大もラドフォード大撃破で決勝へ
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8月12日にDay 2を迎えたWUBS(Sun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)は、準決勝2試合と5-8決定戦2試合が行われ、白鷗大(日本)と国立政治大(チャイニーズ・タイペイ)が大会最終日となる13日(日=Day3)の決勝戦に駒を進めた。日本からインカレ王者として出場している東海大も、高麗大(韓国)を相手に今大会初勝利を挙げ、5位決定戦進出を決めている。
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[Day 2第1試合(GAME5)]
東海大 59(10 19 19 11)
高麗大 50(13 15 16 06)
☆トップパフォーマー
東海大: ハーパージャン ローレンスジュニア(10得点、フィールドゴール成功率66.7%[6本中4本成功、ウチ3Pショットが3本中2本成功]、2リバウンド、1アシスト、3スティール、2ブロック)
高麗大: ムン ヨヒョン(18得点、3リバウンド、2アシスト、1スティール)
要所でダメージの大きな活躍をしたハーパージャン ローレンスジュニア(写真/©WUBS)
前日のGAME1で国立政治大(チャイニーズ・タイペイ)の1-3-1を攻めあぐねた東海大に対し、この日の高麗大はマンツーマン、2-3ゾーン、3-2ゾーンと変化をつけたディフェンスを仕掛けてきた。攻めても第1Qにパク ジョンハンが一人で8得点を稼ぐ活躍を見せるなど、13-10とリードを奪う。
しかし全体としては、ハイペースな展開を好む高麗大をロースコアに封じる、東海大のディフェンシブなバスケットボールが体現された試合となった。東海大は、第2Qのスタートでハーパージャン ローレンスジュニアのレイアップが決まって14-13と逆転すると、さらにハーパーの豪快なブロックショットも飛び出し、徐々に流れをつかんでいく。このクォーターの半ばにリードを奪い返されても、高麗大がゾーンを敷いたところで今度は西田公陽が3連続3Pショットで打開。西田はこの間にパス・ディフレクションからボールを奪い返す好ディフェンスも見せ、チームを勢いづけた。
高麗大は第4Qにわずか6得点に封じられるなど、東海大のディフェンスに非常に苦しんだ。試合後、ジョー ヒジョンHCに話を聞くと、「韓国では点差を開けて勝つことが多く、50点に封じられて負けることはほとんどありません」と東海大のディフェンスに脱帽。一方、東海大の陸川 章監督も「今日は何よりディフェンスの勝利」と持ち味を発揮しての白星に笑顔を見せていた。
[Day 2第2試合(GAME6)]
ペルバナス・インスティテュート 60(22 16 08 14)
シドニー大 56(14 13 19 10)
☆トップパフォーマー
ペルバナス: マナンサン・フェルナンド(10得点、16リバウンド、9アシスト、1スティール)
シドニー大: ミッチ・スミス(6得点、8リバウンド、1アシスト、1スティール、2ブロック)
ペルバナス・インスティテュートのマナンサン・フェルナンドは、特に終盤に殊勲の活躍で勝利に貢献した(写真/©WUBS)
Day 1の白鷗大との対戦では、最初の10分間に6-27と突き放されたペルバナス・インスティテュートは、この試合ではティップオフから10-0のランで先行し、前半を終えた時点でも38-27と優位を保っていた。シドニー大はペルバナス・インスティテュートの2-3ゾーンに手を焼き、本来のハイスコアリングな展開をさせてもらえない時間帯が長く続く。
しかし後半に入ると、センターのキャンベル・グリーンを中心にフィジカルなプレーで11点差を挽回。ペルバナス・インスティテュートも、シューティングガードのサンディー・イブラヒムを中心に得点を重ね、どちらも譲らぬ46-46の同点で最終クォーターに突入した。第4Qも接戦が続く中、53-51のペルバナス・インスティテュート2点リードで迎えた残り50秒、シドニー大はマシュー・ウェイチャーが速攻でファウルを受けフリースロー2本を沈め53-53の同点に。
それでも、最後の1分間の接戦でより自分たちらしくプレーできたのがペルバナス・インスティテュートの方だったようだ。シューティングガードのダニエル・サラメナが値千金の3Pショットを成功させて56-53とリードすると、残り20秒を切ってから両チームにファウルがかさむ中で、スモールフォワードのフェルナンド・マナンサンが貴重なリバウンド2本をつかみ、フリースロー4本を沈め勝利を手繰り寄せた。前日の試合で緊張が見られたペルバナス・インスティテュートのベンチから、終盤のフリースローに臨むマナンサンにコーチ陣が「楽しもう!」と声をかけていたのも印象的。厳しい時間帯に笑顔を思い出させたコーチングも勝因の一つだった。
[Day 2第3試合(GAME7)]
国立政治大 79(16 19 22 22)
ラドフォード大 75(21 18 17 19)
☆トップパフォーマー
国立政治大: ソン シンホウ(22得点、6リバウンド、2アシスト、1スティール)
ラドフォード大: ケニオン・ジャイルズ(22得点、4リバウンド、4アシスト、3スティール、1ブロック)
オフバランスの状態でレイアップを沈める国立政治大のソン シンホウ(右 写真/©WUBS)
Day 1の高麗大戦で100得点を挙げたラドフォード大に対し、国立政治大は早い時間帯からゾーンディフェンスを敷いて対抗。第1Q半ばまではラドフォード大の速いトランジションが目を引く展開で16-8とリードを奪ったが、二人のプレーメイカー、ユー アイチェとソン シンホーがボールハンドリングに長けたラドフォード大のガード陣にピッタリへばりつくディフェンスを見せ、オフェンスでも両ガードとフロントラインのムハマド・ラミン・バイェがペイントとミドルレンジで得点を重ね、第2Q残り3分を切って34-33とジリードを奪い返す好ゲームとなった。
39-35のラドフォード大リードで始まった第3Q序盤は、シューターのトレバー・ローの3Pショットやトレイ・ピアースのフィールドゴールなどでそのリードが48-39と拡大。しかしここから、国立政治大のディフェンスが非常に効果を挙げる流れとなった。しかも国立政治大はポイントガードのソンがドリブルドライブや3Pショットで次々とゴールを奪い、第3Q終了時点では57-56と逆転に成功していた。
1-3-1、2-3、ボックス&ワン、トライアングル&ツーのように見えるディフェンスも繰り出す変幻自在の国立政治大に対し、ラオフォード大はプレッシャーを受けながら考えさせられるような展開となり得点が止まる。その間に国立政治大はソンやバイェが得点を重ね、残り1分4秒にユー アイチェがフリースローを1本決めた時点で79-69とリードは2桁に広がっていた。厳しい展開のラドフォード大は、残り1分を切ってからプレスディフェンスでアグレッシブにボールを奪いに行き、その成功とともにケニオン・ジャイルズとカイル・バーンズの3Pショット成功で79-75まで追い上げたが、逆転には至らず試合終了となった。
国立政治大のチェン ツーウェイHCは試合後、会心の勝利に笑顔を見せながら、大会前にNCAAディビジョン2のチームとの試合を行うなどしっかり準備してきたことを明かしてくれた。現在チャイニーズ・タイペイの大学シーズンはオフだが、秋以降のリーグ戦開幕に向け、ち密な準備が相当進んでいることがうかがえる。また現在2年生のソンは、昨年から成長著しいガードで、「今大会でソンが自信を深められたことをチェンHCは大きな成果と捉えている」と語った。
敗れたラドフォード大のダリス・ニコルズHCは、「5対5の練習を十分できていないこの時期に、これだけのレベルのプレーを経験できたことは、負けたとしても収穫」と前を向くコメント。ガードのジャイルズも、「最後に追い上げた1分間、あれが僕らの姿です」としぶとく戦い続けたことに胸を張っていた。
Day 2第4試合(GAME8)
白鷗大 73(16 19 08 30)
アテネオ・デ・マニラ大 58(18 15 07 18)
☆トップパフォーマー
白鷗大: 佐藤涼成(10得点、3P成功率100%[2本いずれも成功]、7リバウンド、4アシスト、1スティール)
アテネオ・デ・マニラ大: ジョー・オバサ(8得点、5リバウンド、2アシスト1スティール、1ブロック)
5得点を挙げた八重樫ショーン龍は、そのすべてが終盤勝利を決定づけていく流れの中での重要な得点だった(写真/©WUBS)
白鷗大の佐藤涼成のフィールドゴールで幕を開けたこの試合は、両チームとも序盤は硬さがあったかミスが多く、得点が伸びない展開となった。その中で第1Q半ばに流れをつかんだのはアテネオ・デ・マニラ大で、開始約3分半過ぎにビッグマンのジョー・オバサが奪った得点で10-5と得点を2桁に乗せて先行していた。しかしこのクォーターの終盤に佐伯崚介が3Pショット2本を成功させ、さらにクォーター残り22秒にジョエル・モンガのゴールが決まったところでアテネオ・デ・マニラ大のリードは18-16と2点に縮まっていた。
第2Qに入ってもディフェンシブでロースコアな展開が続いたが、後半に入るとその傾向はさらに強まり、第3Qは両チームともフィールドゴールが3本ずつしか決められずに終わるという我慢比べとなった。この10分間のスコアは白鷗大が8得点、アテネオ・デ・マニラ大が7得点。しかし最終クォーターに入ると、白鷗大が30得点のスパートで一気に勝負をつけてしまった。
試合後、アテネオ・デ・マニラ大のタブ・ボールドウィンHCは、「白鷗大は非常にスマートなバスケットボールをしていました。我々に、ペリメーターで良いショットを許してくれなかった上に、インサイドでもビッグマンに良い仕事をされてしまいました」と白鷗大のディフェンスを称賛した。一方、白鷗大の網野友雄監督は、「第3Qの良くない流れの中で、『それでもスコアとしては8-7だよ』と話して、みんなで前を向けたのが大きかったです」と振り返る。
ボックススコアを見ると、白鷗大では脇 真大の15得点を筆頭に4人が2桁得点を記録したのに対し、アテネオ・デ・マニラ大はカイ・バルンガイの9得点が最高。これも白鷗大が、ボールが良く動くアテネオ・デ・マニラ大のオフェンスに引きずられるのではなく、先を読むかのようにシューターへのローテーションを的確に行い、40分間戦い切った成果だ。大会前に、「ディフェンスを土台にして得点も取れるように」と抱負を語った網野監督だが、この日の展開はそれを実践できた会心のゲームだったのではないだろうか。
WUBS最終日、見逃せない4試合を楽しもう
Day 2までの日程を終え、13日(日)のDay 3に行われる4試合は以下の組み合わせとなっている。
☆WUBS Day 3試合予定(8月13日[日] 会場: 国立競技場代々木第二体育館)
GAME9(11:00~) 7位決定戦 高麗大 vs. シドニー大
GAME10(13:30~) 5位決定戦 東海大 vs. ペルバナス・インスティテュート
GAME11(16:00~) 3位決定戦 ラドフォード大vs. アテネオ・デ・マニラ大
GAME12(18:30~) 決勝 国立政治大 vs. 白鷗大
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決勝戦に臨む国立政治大は、オフシーズンの大会であるWUBSにもかかわらず変化に富んだゾーンディフェンスの完成度も高く、ラドフォード大を倒して勢いづいているところ。対して網野監督が「学生たちのWUBSに向けた意欲が非常に高い」と話す白鷗大は、海外チームとの対戦で自分たちの実力を知りたいという思いがある中で二つの勝利を手にし、自信も膨らんでいることだろう。両チームが激突する決勝戦も熱戦が期待できそうだ。
WUBS2023はいよいよ13日が最終日。世界の大学生プレーヤーが集うバスケットボールの祭典を、見守る立場もプレーする立場も、率いる立場も、最後まで楽しもう。
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取材・文=柴田 健/月刊バスケットボールWEB